NHKアナウンス室

アナウンサー仕事の流儀

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インタビュー 赤木野々花

「やりたい!」を形にできる。
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ハープ奏者からアナウンサーへ。
  • 番組でハープを演奏することもありますが、はじめたのはいつごろですか?

    物心がついたころには弾いていましたね。母は私をハープ奏者にしたかったそうで、3歳から習いはじめました。地元の岡山にはハープの先生がいなかったので、神戸まで通って指導を受けたほか、福井県や長野県、フランスで開かれた、様々な講習会でも学んでいました。 そして、いつしか私自身もハープ奏者を目指すようになったんです。

  • アナウンサーを志望するようになったきっかけは何ですか?

    私のハープの先生は、「音楽の表現力を高めるためには音楽だけをやっていてはダメだ」、「いろいろなことを勉強して人間の幅を広げないと音楽の幅は広がらない」という考えの方でした。だから、大学では、国連の役割やアフリカの内戦、紛争について学ぶことにしました。 また、国際放送の『NHKワールドJAPAN』でアルバイトもはじめました。そこで国際報道の現場を間近で見ているうちに、アナウンサーに興味を持つようになったんです。 たとえば、海外の紛争地を取材したジャーナリストがいて、その情報をコメントにまとめ、映像を編集するスタッフがいる。そうした人々の思いを背負って最終表現者として視聴者に伝えるのがアナウンサーです。そんな仕事に魅力を感じるようになりました。

  • アナウンサーになるために、どのような準備をしましたか?

    アナウンサーを目指そうと決めたのは大学3年生のころでした。 とにかく表現力を身につけようと、『NHKニュース7』を毎日見ることにしました。 当時、番組の最後に日本の風物詩の映像が流れて、キャスターの武田真一アナウンサーが映像を引き立てるコメントをしていました。その30秒くらいの映像を録画し、まずはキャスターの声を消して、自分なりに描写します。そのあとキャスターのコメントを聞くんです。そんな練習を毎日していました。就活時代、私の先生は、武田アナウンサーだったんです(笑)。

4/08
「わからない」と、素直に言う。
  • 徳島放送局での新人時代、どんな思い出がありますか?

    徳島と言えば阿波踊りです。阿波踊りは8月ですが、5月の大型連休が終わったころから練習がはじまります。夜、まちのあちらこちらから、鳴り物の音や掛け声が聞こえてきます。徳島で暮らして、人々がどれだけ阿波踊りに情熱を注いでいるか、日々の生活の中で感じられました。
    阿波踊り本番で中継も担当しました。私は、踊っているみなさんが3ヶ月の間どれだけ練習してきたかを取材していたので、知らず知らず声が大きくなっていたようで、先輩から「そんなに声を張り上げなくてもいい!」と注意されてしまいました。私としては熱を込めてお伝えしたつもりだったのですが……どうやら空回りしていたようです(笑)。

  • 徳島ではどんなことを学びましたか?

    徳島放送局開局60周年の番組の司会をしたときのことです。それは、様々な分野で活躍している徳島出身者をゲストに、徳島にまつわる話を聞くという番組でした。
    60分番組で、台本も厚かったのですが、新人の私は自分の言葉だけでなく、一緒に司会を務める方のコメントまで、丸暗記しました。その様子を見ていた先輩から「丸暗記するのはいいけど、当日はそれを全部捨てなさい」と言われたんです。
    司会が、番組をよく理解した上で進行していくことは当然ですが、さらに出演者の反応を大事にする。ゲストは、番組中、どんな反応をしてどんなことを言うのかわかりません。台本はあくまで台本で、その通りに進むことはまずありません。もっと言えば、こちらの思った通りに進まないからおもしろい場合もあるんです。だから、司会者は、出演者の反応に柔軟に対応しながら、最後には番組の流れにもっていかなければならない。
    台本を丸暗記した私に「当日はそれを全部捨てなさい」と言ってくれた先輩の言葉は、そのためのものでした。

  • アナウンサーとして大切にしていることは何ですか?

    「わからないと、素直に言う」ことです。
    たとえば、打ち合わせをして、十分に理解できていない情報があったとします。もちろん、アナウンサーとして勉強して備えますが、それでも知らない情報はあります。そんな時は、恥ずかしいと思わず、「わからないので教えてください」と言うようにしています。よく理解しないままコメントしても伝わらないし、誤った情報を伝えてしまう恐れもあるからです。
    これは、入局したときからずっと心がけています。

4/15
チームで番組を作る喜び。
  • 『ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!』を紹介してください。

    名字は、その一つ一つにドラマがあり、その土地や職業へのリスペクトと愛情が込められています。先人たちが、どういう思いでその名字を付けたのかを知ることで「ああ、この名字で良かった!」と思っていただける番組だと思います。
    そして、3年目に入って、レギュラー出演者の中に家族のような雰囲気がでてきたなと思っています。しゃべりだしたら止まらない古舘伊知郎さんがいて、そこに澤部佑さんがツッコミを入れる。そんな2人を宮崎美子さんがたしなめる。そういう空気感も楽しんでほしいです。

  • 一緒に司会を務める古舘さんはどんな方ですか?

    番組に対する熱意がすごい。収録前には何度も打ち合わせを重ね、収録中も、視聴者に伝わりにくいと思ったら即座にわかりやすくかみ砕いてコメントします。より良い番組にするための努力は一切惜しまない方です。
    そういう番組に対する姿勢に刺激を受けています。

  • 『おやすみ日本 眠いいね』はどんな人に見てほしい番組ですか?

    深夜ラジオが好きな方にも楽しんでもらえるテレビ番組ではないかと思っています。『日本人のおなまえっ!』は、いろいろな情報をどんどんお届けしていますが、『おやすみ日本 眠いいね』は宮藤官九郎さんと又吉直樹さんのとりとめのないトークが、ゆったりとしたペースで進んでいきます。終了時間も正確には決まっていません。
    なかなか寝つけないなという夜があれば、ぜひ見ていただきたいですね。私も番組の最後にハープを弾くことがありますので、ぜひ聴いてください。

  • アナウンサーのどんなところにやりがいを感じていますか?

    たとえば、『日本人のおなまえっ!』で、ゲストがフリートークを交わすなか、ぜひ紹介したい情報をさりげなく盛り込めたときや、ゲストの良い反応を引き出せたときには、達成感があります。
    また、出演者やディレクター、カメラマンなど、チームで番組をつくっているという感覚も大好きです。子どものころから演奏してきたハープは、ずっと一人で弾いていたので、大勢で何かを成し遂げるということに憧れがあったのかもしれません。うまくいったときに、みんなで一緒に喜びを分かち合えるのもいいですよね。

4/22
「やりたい!」を形にできる。
  • リフレッシュ法を教えてください。

    今は、長風呂と筋力トレーニングです(笑)。
    お風呂は、本を読んだり、音楽を聴いたりしながら、1時間半くらい入っていることもあります。
    筋トレは体力をつけようと思ってはじめました。仕事でも遊びでも、体力が落ちると集中力も切れてしまうのでジムでトレーニングをしています。今では気持ちいい汗を流すことが、とてもいいリフレッシュになっています。
    そして、もっと体力がついたら何かスポーツをやりたいと思います。アナウンサーの同僚にはランニングをやっている人も多いのですが、わたしは1人で黙々と走るのは苦手なので、何か勝ち負けがあるスポーツをやりたいですね。

  • これから担当してみたい番組はありますか?

    実は、私はNHKの面接で「国際報道がやりたい!」と話していました。
    そして、東京に勤務するようになった2017年、『NHKワールドJAPAN』で、ディレクターとして番組を作ることができました。イラク北部の都市モスルが、過激派組織IS=イスラミックステートから解放されたタイミングで、「今のモスルは?」をテーマに、現地で取材していたジャーナリストに話を聞いた番組です。
    そのジャーナリストには、以前ラジオでインタビューしていたこともあり、番組制作に協力していただけました。そして、その方や、番組スタッフに支えられながら、自分が目指していた番組を作り上げることができたんです。
    NHKには、「やりたい!」という声をあげれば、それを形にできる土壌があると思います。
    だから、これからも何らかの形で国際報道に関わっていけたらうれしいですね。

  • 今、アナウンサーを目指している人に、アドバイスはありますか?

    NHKのアナウンサーは、中継、ナレーション、実況はもちろん、番組の企画や編集など、幅広い仕事があります。
    だから、「どうしたらアナンサーになれるか?」も大切ですが、「アナウンサーになって何をしたいか?」をよく考えてほしいなと思いますね。面接でも、「アナウンサーになってこれをやりたい!」と言える人のほうが、より熱意が伝わるのではないでしょうか。

  • ありがとうございました。

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