NHKアナウンス室

アナウンサー仕事の流儀

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インタビュー 稲塚貴一

アナウンサーって、おもしろい。
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きっかけはラジオ。
  • 学生のころはどんなことに夢中になっていましたか?

    やりたいことがたくさんあって大変でした。
    特に高校生のときは、放送部、写真部、アマチュア無線部、弦楽合奏同好会、そして生徒会もやっていましたから、勉強する時間がないくらい忙しかったですね(笑)。

  • 放送に興味をもったきっかけは何ですか?

    中学生のころからラジオをよく聴いていて、それでしゃべることに興味をもつようになりました。
    ラジオではパーソナリティの楽しい話やゲストとの会話があり、一方で朗読のような音声表現もあります。語り手の抑揚のつけ方やテンポで、同じ話でも伝わり方や印象が全然違ってきます。そういうところがおもしろいなと思って、高校では放送部に入ったんです。

  • NHK杯全国高校放送コンテストにも出場したんですよね。

    アナウンス部門で、高校1年のときに出場して全国4位になりました。これは奇跡です(笑)。地区予選をギリギリで通過して全国大会で思いがけず決勝(東京・NHKホール)に進んだので、まさか入賞するなんて……、自分でもびっくりしました。そして、2年のとき、なんと優勝することができたんです。

  • それがアナウンサーを目指した原点ですか?

    はい、高校のときからずっとアナウンサーという仕事に憧れがありました。ラジオを聴いたり、放送コンテストに出場したりするなかで、音声表現のおもしろさや奥深さを知ったことが大きかったと思います。自分で話し方を工夫することでさまざまな印象を与えることができる。そういう音声表現者になれたらいいなと思いアナウンサーを志望しました。
    それから、アナウンサーになったら、普通では会えない人に会えたり、なかなか行けない場所に行けたり、刺激に満ちた日々が送れるのではないかという、ちょっとミーハーな気持ちもありましたね(笑)。

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その場で感じたことを表現する。
  • 盛岡での新人時代にはどんな思い出がありますか?

    はじめは、ずっと落ち込んでいました。いまにして思えばそれほど気にすることではなかったのかもしれませんが、取材も中継リポートもスポーツ実況も、何をやってもうまくいかなかったことに悩んでいたんです。
    そんな中、ある放送をきっかけに、気持ちがガラリと変わりました!それは、岩手県沿岸の特産品を紹介する生中継です。数日前から体調を崩し、準備も十分にできなかったため、開き直って放送に臨みました。すると、紹介する特産品や生産者の言葉に集中することができて、とても楽しく、放送も好評だったんです。
    本番では、準備して覚えたことにとらわれず、その場で感じたことにしっかり反応することも大事なんですよね。そのことを知って、仕事がすごく楽しくなりました。

  • 沖縄にも勤務しましたね。

    実は、高校生のころから沖縄民謡が好きで、三線(さんしん)を習っていたこともあるんです。NHKの採用面接でも「沖縄民謡にかかわる仕事がしたい!」と沖縄の話ばかりしていました。だから、赴任が決まったときはうれしかったですね。
    でも、沖縄の民謡が好きなだけでは、仕事にはつながりません。沖縄の歴史や歌の背景を学び、たくさんの人を取材しました。「沖縄戦の時、収容所で、廃材で作った三線を弾いて歌って、お互いの絆を確かめていた」という話を聞き、「悲惨な戦争の中でも人々は歌を忘れなかった、沖縄は歌の島だ」と思いました。そういう歴史を学んだ上で、沖縄の歌を聴くと、心に迫るものがあります。そして、沖縄の歌が仕事につながっていきました。

  • どんな番組を担当したんですか?

    ラジオの公開放送のほか、テレビでは『沖縄の歌と踊り』という沖縄放送局の長寿番組も担当しました。年に一度、国立劇場で公開収録する番組で、司会を務めました。さらに、私は、オープニングで三線を持って登場し、一曲歌わせていただきました(笑)。収録に参加してくれたお客さんも喜んでくれて、放送後も、よく「三線、上手だったねー」と声をかけていただきました。

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アナウンサーは話を聞く仕事。
  • 現在、担当している『BSコンシェルジュ』を紹介してください。

    安めぐみさん、福田彩乃さんと一緒に、BSの番組を紹介しています。番組の見どころとともに、ゲストの素顔にも迫りたいと思っています。
    私は番組を進行する役割ですが、ゲストの言葉をよく聞いて、話を盛り上げて本音を引き出すのが楽しみです。
    アナウンサーはしゃべるのが仕事だと思われがちですが、話を聞くことがとても大切だと思っています。

  • 『コズミック フロントNEXT』と
    『0655』ではナレーションを担当していますね。

    『コズミック フロントNEXT』では、神秘と驚きにあふれている宇宙の謎を、いろいろな角度から解明していきます。私も「こんな大発見があったのか!」と驚かされることばかりです。
    また番組では、かなり専門的な話も出てきますが、できる限りわかりやすく、お伝えしています。宇宙に詳しい人には見ごたえたっぷり、詳しくない人にも「すごい発見じゃないか!」と楽しんでいただけるはずです。
    一方で、Eテレの『0655』は、ユニークな番組です。求められるナレーションもとてもユニークです。たとえば「日めくりアニメ」というコーナーでは、アニメーションにさまざまな声をつけます。それが、人間の声ならいいのですが、見たこともない架空の生き物も登場します。収録では、いろいろな声を出して試行錯誤しているのですが、ディレクターの注文は「4回目の声と7回目の声の中間で」など……、難しい(笑)。毎回、収録ではヘトヘトになります。でも、斬新なことにチャンレンジできるのは、たまらなく楽しいですよね。

  • 『ごごナマ』の中継ではどんなところを楽しんでほしいですか?

    スタジオにいる船越英一郎さんや美保純さんの言葉にどう反応するか見てほしいです。「右に見えているのは何?」と急に聞いてきたり、スタジオで自由なおしゃべりが始まったりするので、アドリブが多くなり、反射神経が鍛えられます。船越さんや美保さんの声はテレビをご覧の皆さんの反応でもあると思うので、しっかり聞いて、応えていきたいと思っています。
    現場から“生の情報”を伝えていく大好きな中継ができて幸せです(笑)。

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アナウンサーって本当に楽しい。
  • 今後担当してみたい番組はありますか?

    もっともっと生中継を担当したいと思っています。
    中継では、その現場で見えるもの、出演者の言葉への反射神経や、そのときに感じたことをしっかり伝える表現力が求められます。その場で機転を利かす当意即妙さが求められる中継は、奥深く難しいですが、面白いですね。

  • どんなアナウンサーを目指していますか?

    視聴者のみなさんに「この人は自分たちの仲間だ」と思っていいただけるアナウンサーです。沖縄で夕方のニュースを担当していたとき、茶の間で一緒にテレビを見ながら語り合っているような感覚になってもらえる放送をしたいと思っていました。難しいことかもしれませんが、視聴者のみなさんに家族の一員のように受け入れてもらえたら最高ですね。
    そのために、自分の正直な気持ちをわかりやすく伝えることを積み重ねていきたいと思っています。

  • アナウンサーの仕事の魅力はどんなところにありますか?

    私は学生時代に「アナウンサーの仕事っておもしろそうだな、楽しそうだな」と思っていましたが、アナウンサーになってみて、その通りでした。
    どんな仕事でも、「次はこうしよう!」、「今度はこういうことにチャレンジしてみよう」と自分なりのテーマを持って臨めば、最初はうまくいかなくても、いつかは達成できるようになるはずです。また、自分の考え方や取り組む姿勢しだいで、どんなときも楽しさを見つけられる仕事です。
    アナウンサーを目指している人には「アナウンサーって本当に楽しくて、おもしろい仕事ですよ」と言いたいですね。

    ありがとうございました。

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