NHKアナウンス室

アナウンサー仕事の流儀

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インタビュー 塩田慎二

視野を広くして考える
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朝一番のニュースをお伝えします。
  • 『おはよう日本』の見どころを教えてください。

    私は平日の朝4時30分から6時までを担当しています。朝は日本が動き出す時間です。前の日のニュースはもちろん、その日に何があるのか、どんな動きがあるのかも伝えているので「今日はどんな1日になりそうか」という視点で見ると面白いと思います。また、日本の夜中に世界の情勢が動くことも多いんです。日本の早朝はニューヨークの株式市場が終わる時間帯でもあるので、アメリカやヨーロッパの動きがその日の日本にどんな影響を与えそうかを読み解きながら見ていただきたいと思います。

  • キャスターとしてどんなことを心がけていますか?

    普段の会話と同じように、話しかけるようにニュースを伝えたいと思っています。
    ニュースといってもさまざま。かたいニュースもあれば、ちょっとほっとするような明るいニュースや身近な話題もあります。
    会話でも、話す内容によって、声のトーンや速さは変わりますよね?
    ニュースも同じように、感情をおさえて淡々と伝えるときもあれば、ほんわかしたような明るいトーンで伝えることもあります。
    「どのような声のトーン、スピードがより伝わるか」、常に考えるようにしています。

  • 日々気をつけていることはありますか?

    やはり健康管理です。特に「のど」には、細心の注意をはらいながら生活しています。個人的な工夫は、寝るとき、少し湿らせたマスクを着用すること。そして、冷暖房も必要最低限です。
    その上で、適度なランニングで体もきたえています。
    その日の最初のニュースをお届けするので、元気のない声や表情で出演するわけにはいきません。みなさんの1日が私の声でスタートするんだという気概をもって臨んでいます。

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創作ダンスで知った伝える喜び。
  • どんな学生時代を過ごしましたか?

    ミュージカルが好きで、ダンスをしたいとずっと思っていたので、大学ではモダンダンス部に入って創作ダンスに熱中していました。

  • どんなダンスに取り組んでいたのですか?

    たとえば『震災』や『虐待』、『コミュニケーション』など、ひとつのテーマを設定して、ダンスで表現していました。ちょっと演劇に似た要素もありますね。
    大学4年生の時には『全日本高校・大学ダンスフェスティバル』で上位入賞することができて、その演技はNHKのEテレでも放送されました。ですから、私のNHKデビューはアナウンサーとしてではなく、ダンサーとしてだったんです。

  • どうしてアナウンサーを志望したのですか?

    創作ダンスを通して、人々に思いを伝え、心を動かすことの難しさと、やりがいを感じていました。だから、表現者として、社会の役に立てる仕事をしたいと考え、アナウンサーに興味を持つようになったんです。
    また、大学では、教育学部で障害のある子どもたちへの教育を学んでいました。教育にも関わっていきたいと考えていたので、EテレがあるNHKを目指すようになりました。

  • 創作ダンスは、今の仕事に役立っていますか?

    ひとつのテーマを伝えるために、深く考え、1を表現するために10を用意するようにしっかりと準備をする。準備を大切にすることを創作ダンスから学びましたが、これはアナウンサーにも共通することだと思います。

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新人時代の思い出。
  • 初任地の徳島にはどんな思い出がありますか?

    夕方のニュース番組で、ある大学の「阿波おどり部」を紹介する生中継を担当したときのことです。本番、予定していたことが紹介しきれないまま、中継終了の時間が迫ってきました。そこで、私は、インタビューをお願いしていた学生に話を聞かずに中継を終わらせてしまったんです。
    放送は何とか時間内に収めることができたのですが、その後、ディレクターの先輩から「学生にとっては一生に一度のテレビ出演だったかもしれないんだぞ。そういうことを考えて放送に臨んだのか?」と言われました。
    私が、事前に全体の動きをしっかりと確認して、丁寧に打ち合わせしていれば、学生に話を聞くことができたはずだと、反省しました。その時の先輩の言葉は今も心に響いているし、これからも大切にしようと思っています。

  • 他にはどんな番組が印象に残っていますか?

    私が提案した全国放送のラジオ番組です。『カリブの熱風 スチールドラム』というタイトルで、大好きなスチールドラム(スチールパン)を紹介しました。
    司会も務め、日本のスチールドラム奏者の第一人者にインタビューしながら演奏を披露していただきました。陽気で、聞いていて楽しい番組にはなったのですが、私は進行に気を取られるあまり、肝心なスチールドラムの魅力について話を聞くことができませんでした。スチールドラムは金属製なのに、なぜ柔らかであたたかな音なのか。そこを掘り下げてインタビューすれば、スチールドラムの魅力をもっと伝えることができたはずです。

  • 番組から、どんなことを学びましたか?

    番組を作るには、一歩引いた視点を持つことが大切だということです。当時は、演奏や演出にばかり気を取られてしまい、視野が狭くなり、まわりを見ることができなかったんです。番組では、本当に伝えたいことは何か、視野を広くして考えるようにしなければならないと思いました。

3/23
被災地で学んだこと。
  • 現在は、キャスター、リポーターとして緊急報道も担当しています。

    特に思い出深いのは、2018年の西日本豪雨です。その時、私は岡山県の被災地からの中継を担当しました。
    大きな被害を受けた岡山県は、私の前任地であり故郷でもあります。
    岡山市内から倉敷市真備町に向かったのですが、普段なら車で1時間で行けるはずが、大雨の被害で遠回りしたため、3時間かかりました。

  • 現場はどんな状況でしたか?

    自分が通ったことのある道や、見慣れた建物が水没するなど、風景が一変していました。
    だから、その土地で生まれ育ったアナウンサーとして、大雨の被害で地域がどんな状況なのか、何が起こっているのか伝えようと、必死でリポートしました。
    また、私は岡山放送局では夕方の情報番組を担当していたので、取材をしていると、「おかえり!」と声をかけてくれる人がいました。被災しているのに「あんたも大変だね」と言ってくれる。そんな人たちのためにも、被災地の人の声や現状を、全国に伝えたいと思ったんです。
    報道を通じて、被災地への支援や復興、今後の災害対策につなげたい、改めて、災害報道の大切さを学びました。

  • 今後、どんな番組を担当してみたいですか?

    子どもたちの教育に関わる番組に携わっていきたいという気持ちがあります。今も、日本の障害児教育の現状を取材していますが、それを社会や保護者など、いろいろな視点から掘り下げていく番組を作ってみたいですね。
    また、障害児教育を含めて、小学校や中学校の新しい授業を紹介する番組も作っていきたいと思っています。

    ありがとうございます。


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