これまでの放送

見えない人の写真術

放送日

4月11日(木)夜8:00

再放送4月14日(日)0:00(土曜深夜)

出演者

ジミー大西 鈴木奈々ほか

見えない人の写真術
いつでもどこでも、誰もが写真を撮ってSNS投稿する時代。しかし視覚に障害のある人は「見えないから撮れない」「どうせ何が写っているかわからない」と本人も周りも決めつけてしまいがち。そんな中、見えなくても独自の楽しみ方を写真に見出している人たちがいる。なんと視覚障害者と一緒に楽しむ写真教室もあるという!「見えないと楽しめない」という常識を覆し、見えないからこそ深く味わうことができる「写真の可能性」に迫る。

内容

出演者

  • ジミー大西さん (芸人・絵描き)
  • 鈴木奈々さん  (タレント)
  • 安田章代さん  (視覚障害)
  • 西尾憲一さん  (視覚障害)
  • 上鍛治公博さん (視覚障害)
  • 竹内一さん   (視覚障害)
  • 竹保遥さん   (視覚障害)
  • 尾﨑大輔さん  (写真家)

見えない人にとっての写真って?

見えない人の写真術 写真1

今回のテーマは視覚障害者にとっての「写真」。そもそも、見えない人にとって写真はどんな存在なのか、スタジオに集まった3人に話を聞いてみた。生まれつき目が見えない竹内一さんは「みんなと一緒に写真に写ることはあるけど、見えませんから。あんまり楽しんでないかな」と、興味がわかない様子。中途失明の上鍛治公博さんは、「大好きなアイドルの生写真が楽しめなくなった…」と、写真は縁遠い存在になっているよう。そんな中、あるものとの出会いで写真のイメージが変わったという女性が!

触って“見る” 立体コピーの写真

見えない人の写真術 写真2

埼玉県の安田章代さんは、17歳で失明してから全く視力がない。家事も、子育ても、さらにはマラソンまで、やりたいことは何にでも挑戦してきたが、写真だけは諦めていたそう…。それでも「子どもの写真は残したい」と他人から買ったりもらったりしてきたが、中身を説明してもらっても「言葉だけだと、私の想像の域を抜けない。息子は楽しそうな顔してるんだろうなという想像だけど…」と、もどかしさは消えなかった。

見えない人の写真術 写真3

そんな時、写真家の尾﨑大輔さんがひらく視覚障害者向けの写真教室で「立体コピーの写真」に出会った。写ったものが2ミリほど浮き上がるという特殊な加工がされたもので、手で触って“見る”ことができるのだ!安田さんは、立体コピーの写真に出会ったことで、「手の中だけだった世界が、写真に触れることで風景の遠近まで感じることができて。見えるってこういうことだなと久しぶりに思い出した」と話す。

見えない人の写真術 写真4

尾﨑さんが開催する「視覚障害者と一緒に楽しむ写真教室」は、視覚障害者自身が写真を撮るところからスタート。介助者に風景を説明してもらうなど、サポートを受けながら興味をもったものをどんどん撮影する。その写真を、尾﨑さんがデコボコに加工!盲学校で図表などを凹凸にする特殊な用紙と機械を使い、写ったものの輪郭を指先で感じられる立体コピーにしていく。実際に写真を鑑賞した参加者からは、「撮っているときは、ところどころに木が生えているのかと思っていたけど、写真にして触ってみると、池の周りが森になっていたことがわかった」と、新しい風景に気づけたという声も。ただし、尾﨑さんによると、立体コピーの写真を触った時の理解度は人によって違うそうだ。

見えない人の写真術 写真5

スタジオでも、立体コピーの写真を体験してもらうことに!生まれつき全盲の竹内さんは、一度も見たことがない「自分の顔」、大学生の竹保遥さんは食べることはできるけど触れなかった「パフェ」の形を。また上鍛治さんは大好きなアイドルととってもらった「記念写真」を、それぞれ立体コピーの写真にして触ってみる。初めての体験に戸惑いながらも、それぞれ自分なりの写真の感触を味わっていた。

「見えないけど、見える」 西尾さん流の楽しみ方

見えない人の写真術 写真6

一方で、教室の参加者の中には触るのとは違う方法で写真を楽しんでいる人が。西尾憲一さん(中途失明)は、写真教室に参加したことを機に一眼レフを購入し、これまで2万枚以上撮影!「見えないけど、見えるんです」と、独特の表現で写真愛を語る。ここまでハマってしまったきっかけの一つが、一眼レフを買って初めて撮影した1枚。人目を避けて夜中にこっそり家の前の通りを撮ったところ、その写真を見た奥さんが「ヨーロッパの風景みたい」と気に入ってくれた!そのひと言で、西尾さんの頭の中に素敵な風景が広がり、「見えなくてもこんなことができる」と写真の可能性を感じたというのだ。

見えない人の写真術 写真7

以来、見える人と一緒に様々な場所に出かけ、状況を説明してもらいながら撮りたいイメージを写真に撮ってきた。夢中になって撮影した後は、家に帰ってもうひと作業。撮った写真にタイトルをつけ、パソコンに保存していくのだ。写真の印象を説明してもらうと、撮影していた時とは違う、よりくっきりしたイメージが頭の中に膨らむそうだ。

見えない人の写真術 写真8

「周囲暗い 洞窟から外を見ている感じ よい」など西尾さんなりの言葉で付された長い題名。それをパソコンの音声読み上げでたどることで、頭の中には記憶とともに写真の風景が広がっていくという。「見えていた頃より、見えなくなってから見た写真とか風景の方がずっと面白い」。撮ることを通して“見える”世界が無限に広がっていくと、写真の魅力を語った!

どんな写真か 言葉で伝えてみよう!

見えない人の写真術 写真7

スタジオでは、西尾さんが撮影した2枚の写真について、みんなでイメージを話してみることに。「木の枝が血管のように見えて、レントゲン写真みたい」(ジミー大西さん)、「真っ暗で怖くて、奥の方からお化けが出てきそう」(鈴木奈々さん)とそれぞれの言葉で西尾さんに伝える。普段は一人で撮り、一人で鑑賞することの多い写真だが、イメージを言葉にしてみんなで話すことで、違った視点で見ることができたよう。何より、みんなで色々と話し合うこの時間が楽しいと、写真の新しい楽しみ方を発見した様子。

最後は、全盲の竹内さんがカメラマンとなり、全員で記念写真。「見えないから写真は楽しめない」という先入観を取り払って、それぞれが自分にあった写真の楽しみ方を発見する機会になった!

玉木幸則のコレだけ言わせて

玉木幸則のコレだけ言わせて

「写真はコミュニケーションツール?」

写真を撮るけど、見えないものは見えないわけ。でも、誰かに見てもらってイメージを擦り合わせていく、という西尾さん流のコミュニケーションツールで遊び方だと思う。そこに行き着く、というのはその人のセンスかな? 先入観がないとか? でも自分が楽しめておもしろかったらそれでいいやん? 記録じゃなくて記憶に残す、という言葉があるけどまさにそういうことやと思う。西尾さんが展覧会をしない、というのもすごく納得できる。もう満足してるから。あと写真の立体コピー、あれを使えば視覚障害のすべての人が、風景が分かるか?といえば違う。
分かる人も分からない人もいる。そこは伝えておきたいところ