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どうなってるの?日本の精神医療

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7月2日(木)「【バリバラジャーナル】 どうなってるの?日本の精神医療 虐待の現場から」をもとにした記事です

出演者

どうなってるの?日本の精神医療
今年3月、神戸の精神科病院で、看護師と元看護助手の6人が入院患者に虐待行為を行っていたとして逮捕された。患者同士で無理やりキスをさせたり、裸にして放水するなど、暴力を繰り返していたという。閉鎖された病棟の中で、いったい何が起きていたのか?病院の関係者や、虐待を受けたことがある元患者に取材。事件の真相に迫るとともに、日本の精神医療の課題や地域で暮らすことを困難にしている社会の問題を考える。

内容

どうなってるの?日本の精神医療~虐待の現場から~ 写真1

■精神科病院は収容所!?


「自分は精神科病院に入院している間、自分の持ち物を全部取り上げられちゃったんです。ヘッドフォンなんかも全部。『あなたのためですよ』って。そして、退院するときには、『もうこんなところに来るんじゃないですよ』って看護師が言ったんです。それは刑務所を出所するときに刑務官が言うようなセリフでした。だから、看護師も良心の呵責を感じていたのかな、と思いましたね」(吉田明彦・兵庫県精神医療人権センター)

どうなってるの?日本の精神医療~虐待の現場から~ 写真2

■法律の不備(障害者虐待防止法について)


「いちばん怖かったのは、この虐待事件は、職員がおこした別のわいせつ事件で表出したということ。ここがいちばん怖い。もし職員が、わいせつ事件で捕まっていなかったら表面化していないわけで。障害者虐待防止法という法律があり、民間の事業者や一般市民は虐待を見たら通報義務がある。ところが、病院と学校には、その通報義務がない。だから病院の職員が“虐待”と気づいて通報しなくても罰せられない。それが障害者虐待防止法の実態」(玉木幸則)

どうなってるの?日本の精神医療~虐待の現場から~ 写真3

「法律で精神科病院では強制医療が許されている。職員は正義感や自分の役割だと思い込んで(虐待を)やってしまう。それが当たり前になってきて、他の職員にも伝染する。今回の神出病院でも、ひとりが悪いやつだったわけじゃない。周りも同調しておもしろがっていた。人を見下して笑っていた。それがすっきりしてストレス解消になっていた。それがいちばん悪い。社会全体にもそんな雰囲気があるかもしれない」(高木俊介・精神科医)

どうなってるの?日本の精神医療~虐待の現場から~ 写真4

■安心して暮らせる社会のために


「日本は人口が減っていることもあって、若い精神病の患者が減っている。でも、病院はベッドを埋めないといけない。だから今は認知症の高齢者が入院させられて、退院できなくなってしまうケースもある。これからは、誰でも気づいたら精神病院の中にいる、ということになりかねない。他人事ではなく、みんなで考えないといけない問題なのに、日本の地域社会がそれを忘れている」(高木俊介・精神科医)

どうなってるの?日本の精神医療~虐待の現場から~ 写真5

「精神科病院には、じつは元気な人もたくさんいるんです。治療目的ではないんです。多くの精神科病院は山奥などにあって、それは“入院”というより“社会的隔離”です」(吉田明彦・兵庫県精神医療人権センター)

どうなってるの?日本の精神医療~虐待の現場から~ 写真6

「日本は精神科病院大国と言ってもいい。世界の精神病床の2割が日本にある。日本にあるすべての病院の5ベッドのうち1つは精神科のベッドなんです。日本の精神医療は、いちばん知られてない闇なんです。21世紀になっても何も解決していない。だから今、もう一回見つめてほしい。当事者、家族、地域だけなく、この問題がみんなに知られないと、これから自分たちが安心して暮らせない社会になってしまう」(高木俊介・精神科医)