これまでの放送

“ひきこもり”は人それぞれ

放送日

8月27日(木)「ひきこもりひきこもごも」をもとに作成しました

出演者

“ひきこもり”は人それぞれ
全国で100万人を超えるとされる「ひきこもり」。ひとりひとりの顔はなかなか見えてこない。そこで、自らもひきこもり経験がある芸人・山田ルイ53世がひきこもり経験者たちを訪ね、本音トーク!ひきこもった理由も、模索する生き方も多様で人それぞれ。社会とつながりたいと思った時の居場所も、リアルなものからネット上のものまで、さまざまな選択肢がある。当事者の目から見る「ひきこもりワールド」にあなたをご招待する!

内容

ゲスト

山田ルイ53世 / 梅林秀行 / 斎藤 環


当事者目線で考える「ひきこもり」

ひきこもりひきこもごも

現在、日本には100万人以上のひきこもりがいるという。厚生労働省の定義では、仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人とほとんど交流せずに、6か月以上続けて自宅に引きこもっている状態の人たちのことを「ひきこもり」としている。しかし、当事者の声はなかなか聞こえてこない。ひきこもる人はどんなことを感じ、考えているのだろうか。耳を傾けてみよう!

つばささん、おがたけさんの場合

ひきこもりひきこもごも

つばささんはこれまでの人生で3度、ひきこもりを経験してきた。高校1年生の時、見た目のことでいじられ、ひきこもったのが最初。しかし、一番つらかったのは、新卒で入った会社を1ヶ月で辞めてしまったときのこと。気がつくと、八方ふさがりの状態に。ひきこもりが経歴のマイナスになる、と考えだすと、ハローワークに行く勇気も起こらなくなってしまったそうだ。その当時を思い返すと、高い理想の自分を追い求めるあまり、高過ぎるハードルを設けたことで、社会と自分との壁を作っていたのだと感じている。そんなある日、「地域若者サポートステーション」という若者の就労相談に乗ってくれる行政サービスとつながることができたつばささん。ひきこもりをオープンにして就職に成功。現在は職場のリーダーとして活躍している。

ひきこもりひきこもごも

セクシュアルマイノリティーで、子どもの頃から「男らしくない」と言われ、不登校気味になっていたという、おがたけさん。25歳から3年間、ひきこもりになった。しかし、ネットで知り合った友人からダンス動画に誘われ、公園で練習中に、たまたま、ひきこもり支援をしている保健所を見つけた。そこで対応してくれた職員に相談したところ、おがたけさんがセクシュアリティーで悩んできたことを受け止め、肯定してくれたことが大きな転機になった。
いまは知人の家で、内職仕事を手伝っているというおがたけさん。しかし現在も、自分自身はひきこもりの延長線上にいて、「ひきこもりの後遺症」状態だと語る。

大切なのはそれぞれの背景

ひきこもりひきこもごも

精神科医の斎藤環さんは、ひきこもった背景は人それぞれ。それが大切なのだと語る。
「ひきこもりの背景の多様性は大事なポイントだと思います。これは支援する時に、とても注意しなきゃいけない。“ひきこもり”がなぜ病名じゃないかと言うと、あまりにも、きっかけや状態が多様過ぎて、ひとつの疾患でまとめられなかったためです。私の考えでは“ひきこもり”は、病気ではなく生き方ですから、ある意味、多様性があるのは当たり前なんですが、その認識をなかなか社会が持てなかった、っていうところが問題かもしれません」

ひきこもりからの自立とは?

ひきこもりひきこもごも

ひきこもる人の周囲の人は当事者に「自立」を求める事が多い。しかし「自立」とはいったいどのような状態を指すのだろうか。
山田ルイ53世さんは、親元を離れてひとり暮らしをすることだけが自立ではないのでは? と話す。
「親元を離れて、ひとり立ちしなければならないというか。そうなってこそ、一人前だっていう。それは固定観念のような気もするんですよね。自立には、いろんな形があると思うんですよ。決して実家を離れることだけが自立ということじゃないような気もするんですけどね」

ひきこもりひきこもごも

斎藤環さんは、必ずしも就労をゴールにするべきでないという。
「ひきこもっている方の大半は、とにかく周囲からの“自立せよ!”ですね。命令やプレッシャーにずっと苦しめられてきていると思います。でも“命じられた自立”って矛盾なんですよね。私が考える自立っていうのは主体性とか自発性が非常に大事じゃないかなと。だから経済的自立や就労をゴールにしてしまうと、逆に自立はちょっと難しいなと感じてしまうんじゃないかと。むしろ、なんでもいいんですよ、好きなこととかですね、やりたいこととか、欲望を回復することや主体性を回復することがまず大事じゃないかなっていうことをまず思いますね」

ひきこもりひきこもごも

自身も“ひきこもり”の経験がある、支援者の梅林秀行さんは“自立”という言葉を忘れたときがその人の“自立の時”ではないかと語った。「そもそも2020年のいま、みんな等しく生きづらい部分があるじゃないですか。でも、“自立”っていう言葉だけ残っちゃって。なんかこう、雲に浮かぶような言葉を必死に追い求めながら、でも誰も何をしたら“自立”なのか分からないし教えてもらえない。“自立”って言葉を使えば使うだけ、(ひきこもり中の)本人はしんどいでしょうね。人それぞれなのに。自立って言葉使わなくても、その人らしく生きていられることが一番じゃないでしょうかね。“ひきこもり”って本当は優しい言葉のはずなんですよ。いろんなことで生きづらくなっちゃって、自分一人の居場所でなんとなく休もうよ、っていう優しい言葉のはずなんですけど、なかなか優しくひきこもらせてくれない環境があって」

ひきこもる本人への支援を

ひきこもりひきこもごも

梅林さんは、ひきこもりのまま生きていく、その場合には社会制度を利用することも選択肢のひとつだという。
「人が生きていくって家族の問題じゃないと思うんですよ。ひきこもりの問題って、若者の問題じゃないんですよね。実は大人の問題です。金はどうするか? それも社会の話です。社会保障制度がちゃんとありますから。親がいてもいなくても、家族でいてもいなくても、その人が健康的で文化的な生活を送れる仕組みが世の中にたくさんあります。障害年金しかり、それから生活保護もそうですね。ケースワーカーがいる病院も多いですし、社会福祉協議会もあります。いろんな形で生きていける仕組みはありますから、その距離をどう周りが縮めていくか?が、僕は大事だと思います。ひきこもっていても、暮らしていける社会が僕は大切だと思います」

もし人と関わりたくなったら?

ひきこもりひきこもごも

ひきこもる人が社会とつながりたいと思ったときの選択肢は増えてきている。東京・町田にあるNPO法人「ゆどうふ」が運営する、ひきこもりの人たちが気軽に集まれる場所はそのひとつだ。地域の人とひきこもりの人が一緒に参加するプロジェクトなどを行っている。また、NPO「ネモネット」はオンライン上に居場所をつくった。さまざまな人とひきこもりの話を匿名で語り合うことができる場所だ。

ひきこもりは生き続けるための手段でもある

ひきこもりひきこもごも

レギュラーのあずみん(東佳実)はひきこもりに対して、社会にもっと寛容性が必要だと語る。
「その人なりの一歩一歩の踏み出し方というか。そこをゆっくり見ていっていけるような社会、もっと優しい社会になっていったらいいのに。一人になりたい人もいれば、誰かに頼りたい人もいる。それは十人十色。それを社会全体が受け入れられるようになったらいいのにと思いましたね」

バリバラコメンテーターの玉木幸則さんは最後にこんなメッセージを伝えてくれた。
「ひきこもりにはいろんな人がいる。それを踏まえても、僕はひきこもりって、生き続けるための手段だとも思っていて。だから、よう生きとってくれたね、っていうメッセージを伝えたい」