これまでの放送

緊急企画 障害者殺傷事件を考える

放送日

8月7日(日)夜7:00

再放送8月12日(金)0:00(木曜深夜)

出演者

緊急企画 障害者殺傷事件を考える
7月26日未明、神奈川県相模原市の障害者施設で入所者が次々に刺され、19人が死亡、26人が重軽傷を負う事件が起きた。容疑者は施設の元職員で、「障害者がいなくなればいい」といった趣旨の供述をしているという。バリバラでは緊急座談会を開催。事件の背景に何があるのか。再発を防ぐために何が必要か。視聴者のみなさんから寄せられたメールも紹介しながら、障害のある当事者、支援者とともに考える。

内容

出演者

  • 土本秋夫さん (知的障害/「ピープルファースト北海道」会長)
  • 重利政志さん (障害者入所施設長)
  • 宮崎充弘さん (相談支援専門員)
  • 立岩真也さん (社会学者/立命館大学大学院教授)

番組に出演いただいた方々の発言を一部ご紹介します。


土本秋夫さん

自分たちの仲間が、大勢殺された。えー無抵抗で殺された。言いたいことがいっぱいあったのに、殺されてしまった。今、大きい事件として取り上げられるけれども、その中でも埋もれている障害者がいる。生きているんだ、地域で生きているんだ、障害者である前にひとりの人間として地域で扱え、と言っていきたいなと思ってます。

大橋グレースさん

放送内容

なんか「障害者だから生きていてもしょうがない」というのは、地域で生きて、社会の一員として、誇りを持って生きているひとりとしては、すごく悔しい。(でも)言葉に出してるか、出してないかで、きっとそう思っている人はいるんだろうなって。「お姉ちゃん大変やなー、そんなん生きててしんどないの?」と言う人とか、「税金使って、それでも地域で生きたいの?」ってはっきり言われることもあります。でも障害があって地域で生きてて私は幸せで。歩けることがそんなに大事かとか、そういう話になってくるのかなって。

岡本真希さん

放送内容

生きてていいかどうかは自分が決める、と思うんですね。障害があるから不幸だとか、他人が判断することじゃなくて。私もできないこともあるけど、その中でやっぱり「本当に幸せだな」とか「生まれてよかったな」と思うことはたくさんあるので。勝手に、人の人生を決めないでほしいな、ってすごく思いましたね。

玉木幸則さん

放送内容

事件が起きてから今まで、僕も、実はむちゃショックで、むちゃ怖かった。それは殺されるということではなくて、今の社会の人たちがほんまに障害のある人たちについてどう思ってるんやろか、大変な人を、ちゃんと命を救おうっていう力がほんまに働く世の中かとか、そういうことをいろいろ考えていくと、むちゃくちゃ怖いな、って思ったね。でも絶対生きなあかんし。生きててしかたがない人なんか一人もおらへんし。みんなでちゃんと生きていこうな、みんなで助け合いながら生きていこう、というメッセージを出していかないとあかんのかな、と思う。

宮崎充弘さん

放送内容

(容疑者が衆議院議長あてに書いた手紙の)あの文言を見ると、家族の大変さ、支援者の疲弊感・・・あの言葉が出た時に、これって我々も感じることってあるよねって。そういう意味では、確かに(事件は)猟奇的な部分はありますけど、その前の動機的な部分でいうと、他人事ではないというようなね。僕たち職員としては、彼ら(重度の障害者)が社会で活躍できる人なんだっていうことを立証する役割を持っていると思ってます。そのためには自分での表現が苦手な方であったとしても、彼らがどう思うかというのをどう聞くか、僕たちは考えていかなければならない。

重利政志さん

放送内容

虐待をおこす職員、そういう人が(その施設を退職して)社会に出て違う施設で働く、というようなことを想像したら、(施設長として)簡単に解雇とか退職を認めるいうこと、僕はできませんね。(そういった職員を)育てられないかもしれない、そんな次元じゃない人もひょっとしたらおるかもしれない。でも施設の責任として、そういう人がこれからどういった人生を歩むのか、まさにこういうことをしてしまった責任を施設は負わなければならないんじゃないかというのは、ちょっと思いますね。

立岩真也さん

放送内容

僕はね、あらゆる人間が役に立つっていう話はちょっと無理があるなと思っていて。でもね、“役に立たん”っていうことと、その人が“生きとったらあかん”っていうことは全然別のことですよ。役に立たんかったって、その人は生きていたらあかんのか、それは違う、って確実に言えるわけですよ。そういう、まあ言ったら“役に立ってない”人間であってもちゃんと生きていけるように世の中を組み立てていく。それ以外にああいう(「障害者は生きていてもしょうがない」という)話、あるいはそういうものを肯定してしまう現実に対抗する手立てはないんだ、と。


福島智さん (全盲ろう/東京大学先端科学技術研究センター教授)

放送内容

なぜ、これほど心が痛むのだろう。なぜ、これほど恐れを感じるのだろう。無抵抗の障害者の殺害が、「二重の意味での殺人」と感じられるからだろうか。肉体的生命を奪う「生物学的殺人」。人の尊厳や生きる意味自体を否定する「実存的殺人」。だが、魂が凍りつくようなこの不安の原因は、たぶんそれだけではない。私たちと容疑者が、まったく無関係だとは言い切れないと、私たち自身がどこかで気づいてしまっているからではないか。容疑者は衆議院議長への手紙で、障害者を殺す理由として、「世界経済の活性化」をあげた。障害者の存在は、経済活性化を妨害するというのだ。

しかしこうした考えは、私たちの社会にもありはしないか。労働力の担い手としての経済的価値で、人間の優劣が決められる。そんな社会にあっては、重度障害者の生存は軽視されがちだ。そしてほんとうは、障害のない人たちも、こうした社会を生きづらく、不安に感じているのではないか。なぜなら、障害の有無にかかわらず、労働能力が低いと評価された瞬間、社会から切り捨てられるからだ。障害者を刺し殺した容疑者のナイフは、同時に、私たち一人一人をも刺し貫いている。

玉木幸則のコレだけ言わせて

玉木幸則のコレだけ言わせて

「尊厳は伝えられているのか?」

なぜ重度の障害者は同じ場所の、同じような部屋の中に住まないといけないのか? それをみんなで根本的に考えないといけない。常識の非常識というか、施設では常識になっているような、ちょっと(入所者に)手が出たとかは、通常の社会では許されないわけで。結局やられっぱなし。あと重利さんも言ってたけど、そんな虐待するひとは年齢が高いのが特徴。これからそのひとたちがなにをもって(支援現場の部下に)教育していくのか。尊厳を持って接することは伝えられているのか。 考えていかなあかん。ただ、セキュリティーを強化したらいいのか? 事件起こしたやつを捕まえたらいいのか?それは違う。