これまでの放送

突撃!障害者殺傷事件

放送日

12月11日(日)夜7:00

再放送12月16日(金)0:00(木曜深夜)

出演者

宮澤佐江 IVAN 森達也ほか

突撃!障害者殺傷事件
19人が殺害され、27人が重軽傷を負った相模原障害者殺傷事件。「重度障害者は生きている意味がない」と犯行に及んだ容疑者に対し、障害者たちは、怒りの声を上げている。しかし事件は早くも風化し始めている。犠牲者は匿名発表され、障害の程度や暮らしぶりなどがわからない状況が続いているからだ。番組では「ダウン症のイケメン」あべけん太がリポーターとなり、事件の深層に迫るとともに、容疑者に共感するという人々の実像を探る。

内容

出演者

  • 宮澤佐江さん (タレント)
  • IVANさん (モデル/タレント)
  • 森達也さん (映画監督)
  • あべけん太さん (ダウン症)

障害者殺傷事件から4か月、事件の実像が知りたい!

放送内容

今年7月26日に神奈川県相模原市の障害者施設で起きた大量殺人事件。障害者や関係者にとっては忘れることのできない事件となった。しかし・・・、被害者の名前もどんな人だったのかもほとんど伝えられることはなかった。そんななか世間では、すでに事件のことも忘れられつつあるのでは!?そこで「ダウン症のイケメン」あべけん太が突撃取材!事件の実像に迫るべくリポートを敢行する。

事件の現場を訪ねてみた!

放送内容

事件の後、新聞やテレビでは、容疑者の「障害者は不幸を作ることしかできない」という言葉が繰り返し報じられていた。あべけん太は、事件について、「重度で寝たきり」の人たちが襲われたのだと漠然とイメージしてきた。事件が起きた知的障害者の入所施設「津久井やまゆり園」とはどんなところなのか?あべけん太は初めて足を運んだ。津久井やまゆり園で献花をし、犠牲者に思いをはせるあべけん太。とそのとき、施設の周りを散歩する利用者の姿が!どうやら寝たきりの人たちばかりという訳ではなさそうだ。早速、取材を申し込むが、施設からは、検証作業が続く中で取材を受けるのは難しいとの返答だった。

どんな人の生命が奪われたのか?

放送内容

なんとか犠牲になった人たちのことを知りたい、あべけん太は津久井やまゆり園の元職員、西角純志さんを訪ねた。西角さんは亡くなった19人のうち6人をケアしていたという。殺された人の中には、職員か利用者かわからないくらいよく働き、地域と施設の架け橋となっていた人もいたと語る西角さん。漠然としていた犠牲者の輪郭が少し明らかになってきた。

被害者の一人に会うことができた!

放送内容

19人が殺され、27人が重軽傷を負った今回の事件。事件にあった人たちは今どうしているのか?重傷を負いながら一命を取り留めた人の家族が取材を受けてくれた。尾野剛志さんと妻のチキ子さん。息子の一矢さんは首や腹など4か所を刺され、一時は意識不明となったという。医師からも命の保証はできないと言われていたが、翌日、意識を取り戻した。父・剛志さん「僕の顔を見て、“お父さん、お父さん”ってずっと言ってくれて。普段、一矢は“お父さん”とも“お母さん”とも言わないの。だけどその時は“お父さん、お父さん”って言ってくれた」

一矢さんは現在、県内の別の施設で暮らしている。尾野さん夫婦は週に1度、会いに行く。その貴重な時間に、同行させてもらった。知的障害で自閉症、てんかんがある一矢さん。事件後、車いす生活を送っていたが、最近ようやく歩けるようになった。しかし事件の傷が完全に癒えた訳ではない。事件前は両親の分も食べていたという母・チキ子さん手作りの弁当も「お腹が痛い」と言って、ほとんど食べない。チキ子さんが刺された傷痕を確認していたそのとき、突然、一矢さんが「怖い!怖い!」と叫び出した。チキ子さんによると、寝込みを襲われた一矢さんは、横になったときにもパニックをおこすことがあるという。「やまゆり園、やめとく!」と取り乱す一矢さん。チキ子さんになだめられ、ようやく落ち着きを取り戻した。

容疑者の言葉ばかりが報じられていた!?

放送内容

「けん太くんの話を聞いてはじめて知ることもたくさんあった」と語る宮澤佐江さん。玉木幸則さんも事件の報道からは被害に遭った人たちの姿が見えてこないと指摘した。森達也さんは、護送車のなかで笑っている容疑者の姿が繰り返し報道されることで「理解不能なモンスターがやった事件だ」とのイメージが醸成され、事件を深く問い直す機会が失われていると指摘した。

障害者は社会に貢献してない?30代男性との対話

放送内容

事件発生後、バリバラ宛てに500通をこえる意見が寄せられた。その中には容疑者の意見に賛同する声もあった。30代の男性からのメールには『知的障害者の人たちと暮らすために周囲が支払う労力や金銭を考えると容疑者の考えを理解できてしまう』と書かれていた。今回バリバラではその真意を聞きたいと取材交渉。番組レギュラーの玉木幸則との対談に応じてくれることになった。なぜ男性は容疑者の考えに共感したのか。話しを聞いた。

これまで障害者とつきあった経験がないという男性、「知的障害者はお金稼げてない、社会に貢献できていない、周りに負担ばかりかけている、と考えた時に、今回の容疑者の考えには賛成できる」と語った。生産能力によって人間の価値が決まるという考え方は決して一部の特別の人たちの考え方ではない。

それに対し、玉木さんは、自分自身の生きる価値が否定されたらどう感じるかと問いかけた。すると男性は、「僕は健康な健常者だから他人事なんですよ、結局。他人事だから自分に矛先がむかってないことに安心する」と言い、「命が大事みたいなことを言い出したらキリがない。自分のおばあさんが寝たきりになって、毎月何百万かかります、何千万かかりますとなったとき、社会全体にそれを許す余裕があるのか」と話した。「あなたが70歳になって体が動かなくなったときに殺されても仕方ないってことですね?」とさらに問いかける玉木さん。議論の末、男性は「いま必死に生きているつもりで、実際必死に生きているんですよ。(社会に)余裕がないのがいけないんですよ」と言い、「根本じゃなくて、目に見える現象を叩こうとしていたのかな」と話した。

自分に生きる価値があるとは思えない!障害当事者との対話

放送内容

番組に届いたメールの中には、障害者自身からのものも少なくない。そのなかには、容疑者の考え方に共感するというものもあった。『私はアスペルガー症候群で障害を隠して働いていますが、年下の同僚に怒鳴られ続けの毎日です。自分に生きる価値があるとは思えませんし、到底、容疑者を責める気になれません』メールをくれた女性に会い、なぜ容疑者の考えに共感したのか、聞くことにした。「相模原の事件は世間が納得していると思っているんです。似たような事件が前にもあったでしょう。池田小学校。あのときって世間がものすごく怒ったんです。

“許せない、許せない”って。熱気みたいなのがはっきりあって。でも今回はその熱気がなかったと思うんです。世間が犯人の理屈に納得しちゃったんじゃないかと」。彼女が言うのは、2001年6月に大阪教育大学附属池田小学校で児童8人が殺害、児童と教師15人が重軽傷を負った事件のことだ。このときには、連日、被害に遭った児童や家族の姿がメディアに取り上げられていた。

「どう工夫すれば、(彼女が)仕事ができるかな考えていかないといけない」と語る玉木さん。しかし、彼女は、「もし、“ごめんなさい、私、アスペルガー症候群だからできないんです”って言ったとしても“あの人言ってもできない、言うだけ損だからやめとこう”“いない方がいいよね”ってなるだけじゃないか」と考えてしまう。「“この世にエントリーしたくなかった”とかんしゃく起こすこともある」という女性。玉木さんは、失敗する人がいたとしても、周囲の人たちは、逆に“自分たちはその人を助けるために、なにをすればいいのか”などと考えることができ、そのことが世の中に価値を生み出したことにもなると語り、「僕はあなたに価値がないなんて思って欲しくないし、“価値がない命なんてない”って、ずっと言っていきたい」と話した。

容疑者に共感?インターネットでの声について

放送内容

今回の事件では、なんだか他人事という社会の空気を感じたという山本シュウさん。事実、番組ホームページにも、容疑者に共感するメールが多数届いた。こうした社会の空気を、大橋グレースさんも、息苦しく感じたと話す。容疑者に共感すると言う人たちと対話をしてきた玉木さんは「しんどいときに“しんどいから助けて”って言える社会になっていない」、一人で悩みや苦しみを抱え込み、追い詰められた人たちの姿が見えてきたと言う。岡本真希さんも「切羽詰まってて、他人を思いやる余裕もないから、他人を攻撃しちゃう…」と話した。

IVANさんは、「“だってどうにもできないじゃん”みたいな」日本社会への冷めた見方が、容疑者と今回対話に応じてくれた二人の気分をつないでしまったのではないかと言う。これに対し、森達也さんは、「いいんですよ社会貢献なんてしなくても。できる人がやればいいんですよ」と言い、「たぶん社会貢献しなかったら生きる意味ってなんだろうって、彼は真面目だから考えちゃうんでしょうね」と多くの人たちの心の中に植え付けられた意識を問題にすべきだと語った。

玉木幸則のコレだけ言わせて

玉木幸則のコレだけ言わせて

バリバラが発信せなアカン問題!

SNSとか一方的な情報だけを受けとって判断するのは、実はごっつい怖いこと。容疑者の思想に共感した二人とは、なんでそんな気持ちになったんかと考えながら対話した。そして、自分が被害者やったらどう感じるんかと想像力を膨らませてもらうことができたと思う。事件については、あべけん太くんの訪問でも新しい発見があったけど、容疑者が、津久井やまゆり園でどんな日々を送っていたのか、そこに触れないとわかってこないことがあるし、再び繰り返される可能性があると思う。こうやって継続的に発信し続けることが事件の抑止にもつながるはずやと思う。