これまでの放送

障害者×働く

放送日

5月13日(日)夜7:00

再放送5月18日(金)0:00(木曜深夜)

出演者

はるな愛ほか

障害者×働く
今年4月、障害者の法定雇用率が引き上げられた。しかし現状でも達成できていない事業者が半数にのぼる。障害者の就労はなぜ進まないのか?取材を進めると、就職を希望する障害者をネタに補助金ビジネスに走る事業所や障害者の特性に配慮しない企業側の無理解も浮かび上がる。障害者の働く場はどうあればいいのか、本人が求めていることと制度のあいだにズレはないのか、あらためて障害者の「働く」について考える。

内容

出演者

  • はるな愛さん   (タレント)
  • 大森光弘さん   (知的障害)
  • きくちゃん    (知的障害)
  • 石村直也さん   (知的障害)
  • 石野英司さん   (A型事業所運営)

「聞いて欲しいことがあるねん!」

障害者×働く写真1

冒頭から、「今日は聞いて欲しいことがあるねん!」と熱く語る玉木さん。テーマは「働く」。2018年4月から、障害者の法定雇用率が引き上げられ、民間企業では2.2%以上、役所などでは2.5%以上の割合で障害者を雇うことが義務付けられた。しかし、雇用率を達成している民間企業は、これまででも半数程度。国は、一般就労が難しい人たちがサポートを受けながら働くスキルアップの場として、「就労継続支援A型事業所」、「就労継続支援B型事業所」などの仕組みを考えてきたが、そこから一般企業への就職にはなかなかつながっていないのが現状だ。なぜこのような状況になっているのか?

A型事業所とは? なぜ移行は進まない?

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A型事業所の特徴は、利用者と雇用契約を結び、最低賃金を保障していること。利用者にスキルアップしてもらい、一般企業への雇用につなげることも期待されている。大阪府堺市にあるA型事業所では、利用者が障害特性に合わせたサポートを受けながら、配達や清掃など企業から請け負った仕事を行っている。着実にスキルアップし、高い技術が必要な仕事をこなせるようになった人も。こうして順調に売り上げを伸ばしてきたが、それでも給料分の売り上げは確保できていない。

一般就労への移行 隠れた問題とは

障害者×働く写真3

A型事業所の場合、原則、1人あたり1日約5,000円の補助金が国から給付される。本来は、障害者の職業訓練などに使うべきものだが、これまで、多くの事業所では、売り上げで給料をまかないきれないため、この補助金を賃金の支払いにあてて運営しているという実態があった。しかも短時間勤務にして利用者に支払う賃金を低く抑えれば、残りの補助金を事業所の利益とすることができてしまう。こうした仕組みを悪用し、障害者に仕事を用意せず、訓練も行わないことで、補助金で利益を上げる事業所も。かつての利用者は「“しりとりしといて”って言われた。もっと仕事したかった」と話す。

こうした問題を受け、国は去年4月、A型事業所が補助金で給料を支払うことを明確に禁止。しかし、このことは真摯に運営をしてきた多くの事業所にとっても、大きな痛手となった。

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補助金を給料に充てられないとなると、さらに売り上げを上げなくてはならない。一方で、スキルアップを重ねた利用者が一般企業に就職すれば、戦力ダウンすることは必至。運営はますます厳しくなるという。堺市のA型事業所の代表・久田さんは、「一般就労を出したいという目標と、利用者の工賃を上げることの両方を達成することは難しい」と、ジレンマを語る。スタジオゲストのはるな愛さんは、「国はルールをどんどん決めていくけど、本当に現場を見ているのかな」と疑問を呈した。

“働く”について障害者はどう考えている?

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では、実際に働いている人たちは、働くことについてどう考えているのか。知的障害がある大森光弘さんは、A型事業所で、持ち前の社交性を活かして配達の仕事を担当している。これまで一般企業を含む10以上の職場を転々としてきたが、計算や室内での作業など、苦手なことばかりを任され、精神障害を発症、入院を余儀なくされたこともある。3年前から働く今の事業所では、自分に合った外回りの仕事に巡りあい、働く喜びを感じながら毎日を過ごしているという。仕事で自信がついたことで、交際している女性との結婚も考えるようになった。

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一方、仕事の中身だけでなく、自分の役割を大切にしたいという人もいる。知的障害があり、細かい仕事内容を覚えることが苦手な岩崎隆志さん。以前は、A型事業所で洗剤を配合しながら、おしぼりを機械で洗浄する仕事を担当していたが、複雑な作業にパニックを起こすことも多く、「迷惑をかけている」と引け目ばかり感じていた。そこで、自らB型事業所への異動を希望。そこでは、周りの利用者に声をかけたり仕事を教えたりと、面倒見の良さをいかしている。岩崎さんにとって、働くのは「自分のためでもあり、友達のため」。皆の役に立てる喜びを感じながら働いている。

障害者×働く写真7

自立やお金のために、一般就労を目指す人。働く環境を重視し、事業所で働くことを希望する人。働く意味や価値観は、それぞれ違うものがあるようだ。そんな多様な働き方を実現するためにも、「社会として何ができるか」を考えることが重要だと玉木さんは説く。「障害者だけで働く、健常者の中に入れてもらう、そういう思考からそろそろ変えていかんと、本当の意味で働くってことは解決しないかな」。数値を達成するために障害者を雇うのではなく、彼らがどう働きたいのかを考える、そうした姿勢が求められている。

玉木幸則のコレだけ言わせて

玉木幸則のコレだけ言わせて

「ほんまに就労を考えているのか?」

今日は障害のあるひとたちの働く状況を伝えた回やったと思う。その中で「一般企業で働くことがしんどいから、(就労継続支援)A型(事業所)でいい」という意見もあったやん? でもそれを突き詰めて考えていくと、A型があること自体がおかしい、とぼくなんかは思うわけ。というのも、企業にとっても、障害者にとっても、悪い意味で言うと逃げ道を作っているような、そんな気がする部分がある。企業への働きかけなどA型がするべきことはまだまだあるし、それが役割やけど、していない事業所もたくさんあるわけで。ほんまに(障害者の)就労を考えているのか? 考えていると運営側のやり方はもっと変わってくるはず。