これまでの放送

相次ぐ障害者監禁事件を考える

放送日

7月1日(日)夜7:00

再放送7月6日(金)0:00(木曜深夜)

出演者

蔭山正子ほか

相次ぐ障害者監禁事件を考える
ショッキングな事件が相次いで発覚した。大阪で精神障害のある33歳の女性が10年以上監禁され、衰弱死。さらに兵庫でも42歳の男性が20年以上監禁され失明した状態で発見された。いずれも障害があり「暴れるから」という理由で家族によって閉じ込められた末の悲劇だった。取材を深めると、障害者とその家族が必要な支援につながれず、社会から孤立している実態が見えてくる。悲劇を繰り返さないためにどうすればいいか、考える。

内容

出演者

  • 堀合悠一郎さん(兄・統合失調症)
  • 堀合研二郎さん(弟・統合失調症)
  • 蔭山正子さん (大阪大学大学院准教授/精神障害者と家族を研究)

相次いで発覚した監禁事件

相次ぐ障害者監禁事件を考える 写真2

大阪府寝屋川市の住宅で、30代の女性が、10年以上もの間、家族によって監禁され、衰弱死した事件。女性は10代の頃に統合失調症と診断されていたという。逮捕された両親は、「暴れるので閉じ込めた」と供述している。さらに、4月には、兵庫県三田市で、障害のある40代の長男を20年以上監禁していたとして父親が逮捕された。この事件でも、父親は「暴れるので、檻で生活させた」と供述しているという。

精神障害の家族の状況について研究している蔭山正子さん(大阪大学大学院准教授)は、これらの事件を「近所に迷惑をかけてはいけないという意識から、家族で問題を抱え込み、追い詰められてしまったことに原因があるのではないか」と分析する。

事件の背景には何がある?

相次ぐ障害者監禁事件を考える 写真3

事件の背景には何があるのか、当事者とその家族を取材した。
最初に訪ねたのは、統合失調症やうつなどの当事者団体、横浜ピアスタッフ協会。メンバーに今回の事件について聞いてみると、「まだ監禁するような風習が残っているのだと残念だった」、「精神科がもっとポピュラーになって理解が進んでほしい」という声が。また、「統合失調症は脳の病気。普通の人には見えないものが、自分たちには見えてしまう。暴れてしまう理由はある」とも。

相次ぐ障害者監禁事件を考える 写真5

過去に大暴れした経験があるという統合失調症の堀合悠一郎さんに話を聞いた。当時を振り返り、「どうしたらいいか分からない。助けてほしい」という家族へのSOSを求める気持ちだった、と悠一郎さん。しかし一緒に暮らしていた家族には、そのSOSを受け止める余裕はなかった。母親は「自分の子どもですけど、怖かった。物を壊す音が響くので、近所に申し訳ない気持ちはありました」と振り返る。

相次ぐ障害者監禁事件を考える 写真4

家族会の調査によると、半数以上の家族が、怒鳴られたり、暴力を受けたりした経験があると回答。さらに、6割の家族が精神的に問題を抱えていることも明らかに。当事者も家族も孤立し、追い詰められている実態が浮かび上がってきた。精神障害者の家族でつくる全国精神保健福祉連合会(みんなねっと)の小幡恭弘事務局長は、「精神疾患を持つことは恥だという考え方がまだまだ根強く残っていて、周囲に相談するより、知られたくないと思う人が多いという現状がある」と指摘する。

分かってほしい! 当事者の気持ちとは?

相次ぐ障害者監禁事件を考える 写真5

スタジオには、VTRにも出演した堀合悠一郎さんと、弟で同じく統合失調症の研二郎さんが登場。医療につながり、仲間とつながる居場所ができたことで症状が治まっていったという悠一郞さん。しかし引きこもっていた時は、感情のコントロールが難しく、両親が心配してかけてくれた「ちゃんとご飯食べたか?」という言葉でさえも、「食事をするという基本的なことさえ出来ないと思われている」とネガティブな受け取り方をしてしまい、怒りを覚えていたそう。

研二郎さんは、病気になったときの様子を「喜怒哀楽がなくなって、感情がなくなったような状態になっていた。すごい辛いことなんです」と語った。

孤立する家族を救え! あるクリニックの取り組み

相次ぐ障害者監禁事件を考える 写真6

次にバリバラが取材したのは、大阪の寝屋川市にある精神科クリニック。ここでは当事者やその家族からのSOSの電話がひっきりなしにかかってくる。その中には病院や保健所などに助けを求めても「本人を連れて来ないと診ることができない」と言われ、困り果てているという電話も少なくない。
ここではそうした行政や医療にも繋がれず孤立する人を救うため、医師や看護師、精神保健福祉士など様々な職種がチームを組み、当事者と家族を支える訪問活動を行っている。

三家英明院長は、クリニックに来てもらう投薬治療だけでなく、訪問活動を続けていくことが「当事者の置かれている生活背景を改善し、症状回復にも繋がる」と語る。かつて7年前から訪問を受けているという男性も、母親を責めることがなくなり、落ち着きを取り戻しつつある。

相次ぐ障害者監禁事件を考える 写真7

欧米では当たり前になっている精神科の往診。しかし日本ではまだまだマイナーな支援だと蔭山さん。日本でも、本人や家族が抱え込むのではなく、行政や医療機関を含め、地域全体で支え合っていく環境づくりが早急に求められている。悠一郎さんも、「僕らがテレビに出ることで、世の中の精神障害者のタブーを吹き飛ばしたい」と発信する重要性を語った。

玉木幸則のコレだけ言わせて

玉木幸則のコレだけ言わせて

「監禁は犯罪 行政がもっと強く介入していかんと」

今回はたまたま2つの事件が立て続けに発覚したけど、田舎の方にはまだこういうの実際あると思うねんな。国が本気で動かんと、これはもう個人の責任では済まへんレベルになってる。本人の生命を守るためには、行政がもっと強く介入、アプローチしていかんと。日本はほんまにそういうとこ遅れてて、精神障害の人への往診とか訪問看護とかは世界的標準ではもう当たり前のことやから。ほんで今回、僕が一番言いたいのは、理由はどうであれ、"監禁"は犯罪ってこと。障害者が監禁の対象になると、風潮的に、どこか「しょうがない」っていう感じがある。なんかユルくなるねん。でも最低限、そこはわかっとかな。なんでそうなったかをみんなが考えなあかん。みんなが当事者やねん。