これまでの放送

グレースのアメリカ バリアフリー リポート

放送日

2月10日(日)夜7:00

再放送2月15日(金)0:00(木曜深夜)

出演者

IVANほか

グレースのアメリカ バリアフリー リポート
去年8月、留学のためアメリカ・シカゴに旅立った番組レギュラーの大橋グレース。大学では「障害学」を学び、現地の自立生活センターで若い障害者の自立をサポートする活動をしている。渡米から半年、アメリカと日本の違いを実感しているというグレース。障害、人種、性別、国籍、全てが多様な社会で、四苦八苦した末にグレースが見つけた「最も自分らしい生き方」とは?

内容

出演者

  • IVANさん  (モデル・タレント)
  • 大橋グレースさん(番組レギュラー・多発性硬化症)
  • 東 佳実さん  (障害者自立生活センター スタッフ)

グレースのキャンパスライフ

グレースのアメリカ・バリアフリーリポート 写真1

グレースが通っているのは、イリノイ大学シカゴ校。ここで障害学を学んでいる。渡米から半年、どんな留学生活を送っているのか。ある1日を追った。
朝8時半。グレースが生活する学生寮の前に、1台の車が。なんと毎朝、大学の車が無料で校舎まで送迎してくれるのだという。移動に障害のある人向けの大学のサービスだ。車いすのまま乗り込むことができ、しかも助手席の位置まで入れるところがグレースのお気に入り。ドライバーとの会話もはずむ♪

グレースのアメリカ・バリアフリーリポート 写真2

午前9時、授業がスタート。教室には階段があるため、車いすのグレースは一番後ろの席で講義を受けるしかない。ただでさえ教授の講義が聞こえにくいのに、更に問題が!聴覚過敏のため、遅刻して来る学生のドアの開閉音が気になって授業に集中できないのだ。さらに、視覚障害もあるため、授業に出てくる映像や写真などが見えない。このままでは授業そのものが理解できない!グレースは1ヶ月、友達に助けを求めるなど試行錯誤を重ねたがうまくいかず、遂に教授に悩みを打ち明けた。すると、こんな言葉が返ってきた。「それであなたはどうしてほしいの?」

グレースのアメリカ・バリアフリーリポート 写真3

実はアメリカでは、プライバシーの観点から障害名は大学に知らされず、自分から必要な支援を要求しなければ、支援は受けられない。日本との文化の違いに戸惑い、そもそもどんな支援方法があるのかわからずにいたグレースは、授業のサポートをするティーチング・アシスタントに相談しながら、自分に必要なサポートを探し、大学側に要望。その結果、教授の声が直接イヤホンに届く「グレース専用マイク」や、授業で使う写真や映像を説明してくれるプロの「音声ガイド」をつけてもらい、集中して授業を受けられるサポート体制が整った。

グレースのアメリカ・バリアフリーリポート 写真4

午前10時。楽しみにしている、ディスカッションの授業。この大学では「障害学」が必修科目で、法律や医療を学んでいる学生たちも一緒に授業を受ける。若いうちから、みんなが障害について考える環境ができているのだ。「障害のない人たちが18、19、20歳の時にこれだけ叩き込まれたら、きっと世の中の障害者の見方が変わるんだろうな」と、グレースは感銘を受けたという。

アメリカのバリアフリー事情

グレースのアメリカ・バリアフリーリポート 写真5

12時半。授業を終え、街に出る。バスに乗ろうとするが、満員!これは乗れないかもと思っていたら…なんと、乗客がグレースのために降りてくれた!グレースが無事にバスに乗り込んだのを見届け、再びバスへ。 「迷惑じゃないんですか?」と尋ねると、「迷惑だなんて思っちゃいけないんだよ」「全然迷惑なんかじゃないわ!」と言う乗客。この言葉に、スタジオの出演者たちからは感嘆の声が。

グレースのアメリカ・バリアフリーリポート 写真6

グレースがアメリカに来たもう一つの目的は、障害者支援を現場で学ぶこと。この日は、シカゴの公立高校で、文字を書いたり意思表示したりが苦手な生徒たちの卒業後の進路を決めるサポートを行った。彼らが大学でどんな支援が受けられるかイメージしやすいよう、グレースは自分が大学で受けている支援を具体的に紹介。アメリカでは生徒たち自身の意思や気持ちをどうくみ取るかの支援にも力を入れており、グレースは、こうしたノウハウを日本に持ち帰りたいと考えている。

グレースのアメリカ・バリアフリーリポート 写真7

1日を終えて帰るのは、キャンパスにある学生寮。バリアフリーのひとり部屋には障害に合わせて希望した家具が支給されている。日本では24時間ヘルパーが必要だったが、今、ヘルパーに来てもらうのは朝晩合わせて8時間ほど。アメリカでは、大学でも町なかでも周りの人が手助けしてくれるからだ。

誰も置いてけぼりにしないために

グレースのアメリカ・バリアフリーリポート 写真8

ゲストで、自立生活センタースタッフの東さんは、VTRを見て驚いたという。「日本では、車いすでバスに乗ると、(迷惑そうな目で)また乗ってきた、みたいに見られる。アメリカはいいな」と話す。これは、アメリカにADA法(1990年に制定された公共交通機関や企業、店などの障害者差別を禁止する法律)があるためで、某ハンバーガーショップでも店員が食事介助をしてくれると聞いて一同びっくり!

また、大学で障害名が教授に伝えられないことに関して「アメリカでは障害名は重要じゃない。障害者手帳もない。どんな支援が必要かを自分で訴えることが大事。言わなきゃ損する。」と、グレース。それに対し、「主張できる人はいいけど、重度の知的障害者や、僕のような言語障害のある人は置いてけぼりにならない?」と玉木。

重度障害者が先陣をきって運動 目的は「脱施設」へ

グレースのアメリカ・バリアフリーリポート 写真9

アメリカの重度障害者は置いてけぼりになっていないのかーーそんな疑問に答えるべく、グレースが紹介したのは、自身も参加する障害者団体「ADAPT(アダプト)」。ADAPTは、これまで体を張った運動で、公共交通機関のバリアフリー化などを勝ち取ってきた。現在は「脱施設」をスローガンに掲げ、施設から出られずにいる仲間たちが地域で暮らせるよう、活動を続けている。年に2回、大抗議運動を行い、昨年はコロラド州に300台の車いすユーザーを含む総勢600人が集結。施設の障害者たちの脱施設と安いバリアフリー住宅を増やすよう、州知事に直談判し、予算の確保を約束させた。

グレースのアメリカ・バリアフリーリポート 写真10

グレースは言う。「ADAPTは、障害が重ければ重いほど、また意思表示が難しいと言われている人たちが声をあげることこそが、パワーだと思っている団体。最もこの世から忘れられている声を最前線に届ける場所。過激と言われるけれど、一切暴力はふるわず、いかに社会に、一般の人に、自分たちの要求を伝えるか、要求を実現させるかを考えつくしている」と。

みんなが自分らしく生きられる社会

グレースのアメリカ・バリアフリーリポート 写真11

「今、こうしている間にも施設で死んでいく人がいる」と、脱施設を訴え続けるADAPTの姿に、玉木さんも「アメリカとか日本とか関係ない。一人一人の尊厳を大切にしているということだ」と心打たれた様子。
最後にシュウさんが、「アメリカでの半年を振り返り、今、一番何を感じていますか?」と問うと、グレースはこう答えた。
「今、グレースって呼ばれてないんですよ」一体、どういうこと!?

グレースのアメリカ・バリアフリーリポート 写真12

実は、アメリカに渡ってから「ノア」と名前を変え、男性として生きていると告白。日本にいる時から自分の性自認に違和感があり、それを隠して生活していたが、アメリカに来て、多様な人々が自分らしく生きる姿に、自分も、自分らしく生きることを決め、トランスジェンダーであることを公表したという。突然の告白に、スタジオのみんなは驚きつつも、拍手喝采!
そして、同じくバリバラレギュラーの岡本真希ちゃんも海外留学することを発表した。みんなの告白に驚きつつも、自分らしく伸び伸びと生きる姿に、エールをおくりあった。


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玉木幸則のコレだけ言わせて

玉木幸則のコレだけ言わせて

「権利を主張しなくても最低限守られないといけないことがある」

今回、「重度障害者はまだまだ施設にいる」ということがあったけど、これはアメリカでも日本でも変わらない。ADA法を含めた環境整備はあくまでモノを言う障害者が作ってきたわけで。意思決定が難しい障害者は後回しになって埋もれてきたんだと思う。だから今、ノア(グレース)は運動に関わっているわけで。 でも本来は権利を主張しなくても最低限守られないといけないことがある。でも、権利主張してなかったらサポートも受けられない。これは社会の仕組みの問題だけじゃなくて、日本でもアメリカでも、気付いた市民の声が積み重なっていかないと。 みんなが権利をどう考えるのか。無意識の差別ほど怖いものはない。あらためて、それが大事やと思った。