BS1 3月4日(日) 午後6時00分~6時44分

省く

日本には「引き算の美学」という文化がある。余計なものを省き、そぎ落とすことで、本質の素晴らしさ、美しさを際立たせる。その文化は現代の生活にも根強く受け継がれている。メールや会話で言葉を簡略化し、街には家事の時間を短縮する便利グッズがあふれる。「能」の世界に込められた「省く美学」とは。今も守り継がれる日本の「省く文化」は外国人から見てクールなのか?
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ご意見番:
小林 康夫 さん(青山学院大学教授)
出演外国人:
ジィ・ヤン(中国)、ムリナル・シンハ(インド)
エミリー・マッケイ (オーストラリア)、ニコラ・セラファン(フランス)
ヘザー・マクリーシュ(アメリカ)、オマル・イスハグ(スーダン)
アンナ・シュラーデ(ドイツ)、ユラ・イェフィメンコ(ロシア)

◆日本の「省く」文化をハンティング
スーパーマーケットではカット野菜や洗濯物の取り込みが簡単なハンガーなど、家事の手間を省くアイデア商品を発見した。
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出演:ジィ・ヤン(中国)/ニコラ・セラファン(フランス)、取材先:オリンピック 高井戸店
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[感想トーク]
日本に家事の手間を省くグッズが多い理由を外国人に尋ねると、「生活が忙しすぎるから」「おまかせ文化があり、材料を選ぶ手間を省いている」などの意見が出た。逆に、日本のメールの書き出しの挨拶や、何にでもついてくる説明書はもっと省いて欲しいと感じていることもわかった。
◆ピクトグラム
絵で情報を伝えるピクトグラム。1964年の東京オリンピックの種目や会場案内のサインとして作成されたシンプルなピクトグラムは世界中から評価を得た。そんなピクトグラムはどのように活用されているのか、外国人が羽田空港国際線旅客ターミナルを訪ねた。サインデザイナーの児山啓一さんの案内で、非常口や優先席など遠くからでも認識できるようにデザインされた日本生まれのピクトグラムを見た。
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出演:エミリー・マッケイ(オーストラリア)/児山 啓一 さん(サインデザイナー)、取材先:羽田空港国際線旅客ターミナル
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[感想トーク]
外国人は、一つのピクトグラムを作るのに多くの手間をかけていることを知って驚いていた。言葉も文化も違う人々が理解できるデザインがクールで、ロシアのユラさんも日本に来たばかりの頃はよくピクトグラムに助けられていたとのだとか。
◆能
日本を代表する伝統芸能、能。所作やセットを省くことで生まれる魅力があるという。学者として能を研究しながら演者としても能を学ぶディエゴ・ペレッキアさん(イタリア)と、師匠の金剛流の宇髙通成さんにお話をうかがった。様々なものを省くから、観客が想像をふくらませる余地が生まれる。能は、そぎ落とされた動きの中で表現を極めようとする演者と、そこに込められた思いを想像する観客が一体になって完成する舞台だと言うことが伝わった。
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出演:ディエゴ・ペレッキア さん(京都産業大学)/宇髙 通成さん(金剛流シテ方)、取材先:大津市立伝統芸能会館
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[感想トーク]
外国人達は、観客に想像を求める能をクールな芸術だと感じ「メディアがなんでも与えてくれる現代で、考えながら鑑賞することは素晴らしい」という意見も有った。また、何も変わらず昔から続いてきたことがクールという意見も。