ストーリー
北関東の町・紅雲町(こううんちょう)で、和食器と珈琲豆の販売を営む小蔵屋(こくらや)。店はその品揃えと、店主である杉浦 草(そう)、通称「お草さん」を慕う客で、今日も賑わっている。ある時、店の周りで待ち伏せしていた怪しい男が常連の寺田に近づいてくるが、それは15年前に周囲から大金を借りて姿をくらませた同級生・大竹だった。はじめは仲間を裏切った大竹を拒否する寺田だが、お草さんによって、その裏側にやむにやまれぬ思いがあったことに気づかされて行く。さらに別の謎に、店に居座る謎の客・松井も絡んで――。
ひとときちんと向き合いながら、心に土足で踏み込むことはしない。そんなお草さんの生き方に、「わたしもこんな歳のとり方がしたい」と、ちょっとだけひとに優しくなれる物語です。