ストーリー
昭和16年、日米の緊張が高まるなか、特殊潜航艇甲標的搭乗員に選ばれた酒巻和男少尉は、愛媛県の三机で岩佐中尉のもとで仲間たちと共に訓練に励んでいた。昭和16年12月7日、真珠湾から10海里の地点で伊号潜水艦から発進した甲標的は、2艇のみ真珠湾潜入に成功したが、結局戦果をあげることはできなかった。全艇帰還せず9名が戦死。唯ひとり酒巻少尉だけが生き残り、太平洋戦争における捕虜第一号となった。大本営は岩佐大尉以下9名の戦死者を英雄として発表し、マスコミは彼らを「九軍神」と讃えた一方、捕虜第一号となった酒巻少尉は、捕虜になった為に日本国内ではその存在を一切抹消された。酒巻少尉はアメリカ国内の収容所で捕虜生活を続けるうちに、なぜ自分だけが生き残ったのか、生かされた自分は何をすべきなのかを考えていく。