ストーリー
― 太陽の塔 ― は、太郎の作品の象徴的な存在であり、あらゆる困難を乗り越え6000万を超える人々を熱狂に包み込んだ、1970年「大阪万博」のシンボルでもある。今もわたしたちを魅了してやまない「太陽の塔」に込めた、岡本太郎のメッセージとは何だったのか?
― 芸術の聖家族 ― と賛嘆された岡本家の人びと。太郎は、小説家・岡本かの子と漫画家・岡本一平の子として、芸術一家に生まれた。狂おしいまでに芸術を求める岡本家の魂は、若き日のパリ時代、戦争、戦後の日本を通じ、太郎をアバンギャルド芸術の道へと駆り立てて行く。それは、古い日本社会との戦いの連続であった。そして、生涯のパートナーであり、後に太郎の養女となる岡本敏子との出会い。
このドラマでは、1967年~70年の「太陽の塔」が出来るまでの万博の戦いを軸に、太郎、かの子、一平、敏子という「岡本家の人びと」の破天荒な人間模様を描いて行く。大正から昭和、戦争から高度経済成長、そしてパリと、時空を超え変化していくダイナミックな映像をベースに、伝説の芸術家・岡本太郎の全ぼうに、NHKが初めて挑む!
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各回のあらすじ
第1回「太陽の子」「人類の進歩なんかくそくらえ!」。昭和42年、「大阪万博」のプロデューサーに就任した岡本太郎(松尾スズキ)は真っ向からテーマに異を唱え、一大国家イベントと戦う決意を表明。それは、太郎をはぐくんだ岡本家の反骨精神でもあった。歌人の母・かの子(寺島しのぶ)、漫画家の父・一平(田辺誠一)、養子である秘書・敏子(常盤貴子)の4人が織り成す破天荒な家族もようを軸に「太陽の塔」をつくるまでの太郎の戦いを描く。
第2回「青春のパリ」「大阪万博」のプロデューサーに就任した岡本太郎(松尾スズキ)は、丹下健三(小日向文世)設計の大屋根を突き破る「ベラボーな塔」の建築を提案。そこには、太郎がパリで学んだ芸術精神が宿っていた。本格的に画家を志し、単身18歳でパリに渡った太郎(濱田岳)。異国の地で描くべき絵を求め、もがき苦しむ青春の蹉跌(さてつ)と、自らの芸術のために離れて暮らすことを選んだ母・かの子(寺島しのぶ)との激しい情愛を描く。
第3回「戦友」「絵画の石器時代は終わった!」。戦後の焼け野原に立った岡本太郎(松尾スズキ)は、先鋭的な芸術運動に乗りだし、日本の画壇に戦いを挑んでゆく。その姿に一目ぼれした平野敏子(常盤貴子)は、太郎の秘書になることを決意する。だが、芸術に全エネルギーを注ぎ込む太郎と公私を共にすることは、想像を絶する苦しみでもあった。やがて“生身の愛”を捨て去り、太郎と敏子が2人で作品をつくる覚悟を決めるまでのかっとうを描く。
第4回<終>「芸術は爆発だ!」万博の開催が近づき、岡本太郎(松尾スズキ)は追い込まれていた。発表した塔の評判が芳しくなく、予算も不足していた。交渉に駆け回る日々。敏子(常盤貴子)にも、“このまま太郎に尽くして何が残るのか”と、不安が募る。太郎は、そんな敏子のために塔の模型の背に、黒い太陽を描き入れる。「影だって燃えているんだ!」。1970年、ついに幕を開けた万国博にそびえる、太陽の塔。敏子には、まるでわが子のように思えた。