玉ノ井部屋の『“けんちん汁”風 豚ちゃんこ』~後編~

PR3号の“ちゃんこ”巡業

もうすぐ大相撲、夏場所が始まりますよ。
PR3号がいろんな相撲部屋を訪ねる“ちゃんこ巡業”、第3弾は玉ノ井(たまのい)部屋。
ちゃんこ以外にも、力士を支える大事なもの…それは土俵!
重~い力士が飛んでも跳ねても(?)大丈夫な“土俵作り”をご紹介しますよ。

部屋の土俵は、年に3回作り直す

相撲部屋の“土俵”は、東京・国技館で開催される本場所(1・5・9月)の少し前に作り直します。
土俵を新しくして相撲の神さまをお迎えしてから、本場所を迎えるんですね。
また、土俵は激しいけいこで端っこが傷んできちゃうので、補修の意味合いもあるんですよ。

俵もなんだかボロボロに…

「呼び出し」の駿佑(しゅんすけ)さん

土俵作りのプロ、というと「呼び出し」さんです。
「呼び出し」さんというと、力士が土俵に上がる前に「ひがぁしぃ~、はぁ~くほぉ~」と、朗々と力士の名前を呼び上げる姿が印象的ですね。

扇子は、唾液が土俵に飛んじゃうのを防ぐため。呼び上げる力士の名前がこっそり書いてある…なんてことはなくて、真っ白なんですって。

ほかにも、土俵をほうきではいたり、力士にタオルを渡したり、土俵下で関取が座る座布団を運んだり…実に細かな仕事があります。

玉ノ井部屋に所属する呼び出しさんは駿佑(しゅんすけ)さん、29歳。
呼び出し歴12年目、「三段目」というクラスの力士を担当しています。
足首まである着物の上に、「たっつけ袴」を履くんですね。

「たっつけ袴」は体のサイズに合わせた特注品だとか

後ろに刺しゅうしてある名前は、たっつけ袴をプレゼントしてくれた力士の名前です。
力士が大関に昇進するときに、呼び出しさんにプレゼントする慣習があるのだそうですよ。

力を合わせて「土俵作り」

呼び出しさんの大事な仕事の一つが、土俵作り。
本場所の土俵は呼び出しさんだけで作りますが、部屋の土俵は呼び出しさんと力士が力を合わせて作ります。


(1)土俵を崩す
土俵をきれいに掃き清め、土俵と周り全体をザクザクと掘り起こします。

簡単に掘り起こしているように見えたのですが、実は結構力がいるのだとか。
粘土質の土は水を何度も混ぜて固められ、毎日けいこで踏み固められ、カチカチになっているのだそうです。
土俵は直径4.55mですが、玉ノ井部屋のけいこ場は約10m四方あり、かなり手間がかかります。

全体を掘り起こしたら、駿佑さんの出番です。

呼び出しさんの必須アイテム、マイ「くわ」

土を細かく砕き、水をまきながら、「くわ」でならします。
土俵を崩し始めてからならし終えるまで、所要時間はたっぷり2時間。

(2)俵を作る
すだれ状に編まれたわらを、わら縄で縛って筒を作ります。

「地下足袋」も必須アイテム

水を混ぜた土を俵に入れ、短い棒で突き固めます。
俵が一定の太さになるように、均等に入れるのがポイント。
土俵の仕上がりを左右する重要な作業です。

土が入った俵をわら縄で縛って、ビール瓶でたたきながら太さを整え…これを7回繰り返します。
俵の太さも、縛ったわら縄の幅も、俵24本全てを均等に作るのです。

ほかの相撲部屋から、呼び出しさん2人が助っ人に来ていました。

駿佑さん曰く、ベテランが作った俵は、美しさを感じるほど整っているそうですよ。

(3)土俵をならす
さて、掘り起こした土は、「タコ」と呼ばれる道具でつき固めます。

タコは、重さ約20kgもあるんだとか…

どん、どん、と重い音を立てながら4人がかりで持ち上げては落とし、掘り起こした土を少しずつ、つき固めます。

およそ1時間かけて全面をつき固めたら、土俵の中を優先して固めていきますよ。
もう一度タコをつき、次いで「大たたき」と呼ばれる道具でたたき固めます。
パシィーン! パシィーン! けいこ場に音が響き渡ります。

大たたきの重さは約5kg。30分以上、ひたすらたたき続けます。

大たたきの底全体を土俵にたたきつけるのは、見た目よりも難しいんだとか。
少しでも傾くと土俵に線が刻まれてしまい、平らに直すのに苦労するのだそうで、呼び出しさんや経験豊富な力士が担当します。
パシィーン! パシィーン! という音を聞いていると…
水泳の授業で飛び込みに失敗し、お腹や顔や太ももをパチーーンと水面にたたきつけたことを思い出しました…暗い過去がこんなところでよみがえるなんて…。

こんな繰り返し作業に欠かせないのが、音楽!
けいこ場に鳴り響くJ-POP、ロック、R&B、パンク、レゲエにラップ…レパートリーは豊富です。
3号、最初は違和感あるなーと思っていたのですが、考えたら“力士”といっても20代の男子が多いですもんねーっ。
口ずさんでる歌声は、声量もあって、とっても上手でした。

この日の音楽番、本木山さん(序二段 四十枚目)

(4)土俵を仕上げる
土俵がたたき上がると、呼び出しさんが土俵の円に沿って溝を掘り、俵を埋め込みます。
俵の高さが全部一定になるように、時々離れたところから高さをチェック。
高さがデコボコだと見栄えが悪いですし、なにより力士が俵に足を引っ掛けるかもしれません。

縁がきれいに形作られた土俵…どうしても、3号にはホールのチーズケーキにしか見えなくて…

俵を埋め、土俵の周辺をタコでついて、大たたきでたたいて…。
仕切り線を塗ると…ピカピカの土俵ですよ!

ひびわれた部分も…この通り!

最後に「土俵祭り」を行います。
行司さんが祝詞(のりと)をあげ、土俵の真ん中に掘った穴に縁起物を入れ、酒を注いでふさぎます。
こうして新しく作った土俵を清め、相撲の神さまをお招きして無事と繁栄を祈願して、土俵は完成するのです。

土俵には神さまが宿っているんですね。
縁起物の、塩、米、するめ、昆布、かやの実、勝ち栗。

ちなみに、こちらのけいこ場の四隅には水晶の玉が埋められているそうですよ。

土俵LOVE! 駿佑さん

ホッと一息ついている駿佑さんに、お話を伺いました。

地元、足立区出身。彼女は?の質問に「…ご想像にお任せします」

数ある仕事の中でも、土俵づくりが好きなんだとか。
国技館や地方場所、巡業先、つながりのある相撲部屋など、年間50~60の土俵を作るそうですよ。
「土俵はしっかり作らないと、お相撲さんがけがしちゃいますからね。
いい土俵ができると、すごくうれしいんですよ。
でも、まだ出来ないこともあるので…少しでも納得できる土俵を作れるように頑張ります」

駿佑さん、こだわりをもった職人さんなんだなーと思いました。
力士に比べて体は小さくはありますが、その背中に、大相撲への誇りを感じましたよ。

「NO CHANKO,NO LIFE」…なんてすてきな言葉なんでしょう!

玉ノ井部屋のみなさん、ありがとうございました!
次はどこの相撲部屋におじゃましちゃおうかなぁ…。

あ、夏場所は明日8日(日)からですよ!

〔写真・文 PR3号〕

大相撲中継夏場所 初日
5月8日(日)[BS1](サブch 102)後1:00 /[総合]午後4:00 /[ラジオ第1]午後4:05

詳しくは、NHKスポーツオンライン 大相撲 のページからご確認ください。

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