相撲実況の裏側と相撲の魅力を、三瓶アナが徹底解説!

♢大相撲 春場所

3月12日(日)~26日(日)
[BS1]後1:00
[総合]後3:05 ほか

新横綱・稀勢の里の誕生で盛り上がりをみせる「大相撲 春場所」。3月12日から15日間、熱戦が繰り広げられます。

ワタクシ、あまり大相撲に詳しくないのですが、中継を見て気になっているのがアナウンサーの実況! なぜ、その瞬間に決まり手がわかるのか? 合間合間に話される豆知識はどこから入手しているの? 気になったワタクシ、実況中継を担当する三瓶宏志(さんべこうし)アナウンサーを直撃取材しました!

意外と知らない相撲実況アナの舞台裏

──三瓶アナが大相撲の実況を担当することになったキッカケは?

もともと、スポーツの仕事がしたくてアナウンサーを目指しました。初任地の盛岡では、高校野球の実況などスポーツの仕事をさせてもらっていました。入局2年目に初めて大相撲の現場に行かせてもらえたんです。おそらく、色々なスポーツの現場を経験してこいという上司の考えがあったと思います。

実況はさせてもらえませんでしたが、先輩が実況している隣で決まり手を記録し、ニュースの時間を出したりするディレクター業務をやりながら実況アナウンスの仕事を覚えていきました。

NHKのスポーツ実況アナウンサーは、野球、大相撲、サッカーなどのプロスポーツのどれかをメインに担当します。最初は野球実況がやりたかったのですが、大相撲の現場に通うようになり、そのおもしろさにのめり込んでいきましたね。

異動のタイミングで、どのスポーツを主軸にするか選択を迫られたとき「大相撲でやっていきたいです!」と宣言し、以来約20年間、大相撲をメインにスポーツ実況を担当しています。

幕内実況をできるようになるまでに、約10年間の下積み時代を過ごしたそうです。
幕内実況をできるようになるまでに、約10年間の下積み時代を過ごしたそうです。

──実況以外には、どのような業務があるのでしょうか?

スポーツ実況は“目の前で起こっていること”を描写する仕事なので、台本がありません。相撲の場合、ひとつの取組自体は5~10秒くらいですが、幕内放送は約2時間ありますから、取組以外の時間をどう構成してどういう情報を提示していくかが大事になってきます。さまざまな情報で埋めていかないといけないんです。

その情報を得るために、「力士の特徴」や「場所前の様子」、「今どういう課題を持って稽古に臨んでいるか」など、我々実況アナウンサーが力士に直接取材をしています。

場所前と場所中は、毎朝7時半くらいから手分けをして各相撲部屋に行き、朝稽古を取材します。昼過ぎに局に戻ったら、「場所前はこういう稽古だった」「どこかケガをしているようだ」と情報をまとめ、全員でその内容を共有します。

──場所中はどんなスケジュールで動いているんですか?

1場所15日間で、幕内実況の日が2回ほどありますが、それ以外にBSの実況とラジオの実況もあるので、これらを全部含めると6回くらい実況することになります。

実況担当日の前夜は、担当ディレクターと放送の構成内容について打ち合わせをします。たとえば、翌日の解説が貴乃花親方であれば「貴乃花親方の新横綱初日を振り返ってみましょう」と過去の映像を紹介することを決めるんですね。

当日は10時半くらいから再び打ち合わせをします。前日につくった放送の構成をプロデューサーやデスクと共有し、「問題ないか?」「もっと良い構成はないか?」などを話し合います。そのあと、お昼すぎに現地に着いたら取材をしたり、解説してくださる親方と打ち合わせをしたり、4時前に始まる放送に向けて準備を進めていく……という感じです。

実況担当以外の日は花道のリポート業務を担当しますね。

すごい! 緻密な資料を、ちょっと拝見!

──実況するにあたり、どんな事前準備をしていますか?

なんといっても“相撲を見ること”が重要ですね。取組をよく見て、「この力士はこういう動きをする」「いつもこっちの足から踏み込んでいく」と、力士の特徴を研究していくのです。

稀勢の里の特徴を実践してくれた三瓶アナ。右足から踏み込むときと左足から踏み込むときがあるんだって!
稀勢の里の特徴を実践してくれた三瓶アナ。右足から踏み込むときと左足から踏み込むときがあるんだって!

また、相撲には82の「決まり手」と5の「勝負結果(=相手の力士が勝手に負けてしまうこと)」があるのですが、それもすべて頭に叩き込んでいます。さらに「この決まり手は、いつから出ていない」などの記録が書かれた共有資料もあって、それを毎場所、更新しているんです。2017年初場所、宇良(うら)と天風(あまかぜ)の取組で「たすき反り」という決まり手が十両・幕内で初めて出ましたが、その資料が放送席に置いてあるので、「たすき反りはいつ以来だ」とすぐに調べられるんですよ。

「とっさに解説できるなんてすごい!」とインターネットで話題にしていただきましたけど……大相撲の実況アナウンサーであれば誰でも言えるんです(笑)。

──そうだったんですね! 独自の資料とかも作っているんですか?

まず、場所ごとの取組結果と、四股名・星数・決まり手・取組の様子をすべて記録している「手さばき帳」があります。僕はだいたい半年でノート1冊が埋まってしまうので、すでに何十冊とありますね。これを実況前日に振り返り、過去の取組内容を復習しています。

ビッシリと書き込まれた「手さばき帳」
ビッシリと書き込まれた「手さばき帳」

それから、力士ごとの取組結果を記録した「力士カード」というものもあります。十両に上がってからの、場所ごとの対戦相手や決め手を記録しているのですが、力士のプロフィールも記載しているので実況の際にとても役立つんです。

「力士カード」を見れば、得意な決まり手などが一目瞭然! この表はエクセルでご自分で作っているとか。
「力士カード」を見れば、得意な決まり手などが一目瞭然! この表はエクセルでご自分で作っているとか。

──春場所の注目力士と、観戦のポイントを教えてください!

春場所は、もちろん稀勢の里に注目していただきたい!! ついに横綱に上がりましたので、どんな新しい相撲をとってくれるのか、楽しみです。若手の注目株は、やはり宇良ですね。幕内に上がりましたし、故郷・大阪での春場所なので、これは盛り上がると思いますよ。

相撲を楽しく観戦するコツとしては、“ひいき力士”を1人決めるのがオススメです。相撲ファンは、応援している力士の番付がどんどん上がっていくのがたまらないんですよね。できれば十両に上がる前、幕下の時代から注目して、力士の成績や取組をチェックしてみてください。番付が上がってくると「私が育てた!」という気持ちになり、相撲がもっと楽しくなりますよ。

三瓶アナのお話を聞いて、「相撲の実況では下準備がいかに重要か」を知ることができました。取り組みの間に流れる映像も、相撲の歴史を学ぶのにもってこいです! そして力士の活躍もさることながら、実況アナウンサーによるプロの仕事ぶりにも注目したいですね♪

春場所は、3月12日(日)~26日(日)まで毎日放送しています。
放送時間など詳しくは、NHKスポーツオンライン 大相撲 のページからご確認ください。

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