4月に総合テレビで放送! 鶴巻監督、独占取材

♢龍の歯医者

4月1日(土)[総合]後11:00 前編
4月8日(土)[総合]後11:00 後編

映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズなどを手がけたスタジオカラーによる新作アニメ「龍の歯医者」。2月にBSプレミアムで放送されましたが、4月に総合テレビでも放送されることとなりました!

気になる、その設定や登場キャラクター。「かつてない壮大なスケールで描かれる冒険ファンタジー」とのことですが、どのようなストーリーなのでしょう?

そして、「龍」とはどんな存在なのか?
キャラクターたちはどんな性格なのか??

ああっ、気になる……! ということで、大胆にも鶴巻和哉監督へインタビューを敢行! 謎に包まれた「龍の歯医者」の世界、そして作品に込めたメッセージについて伺いました。

作家・舞城王太郎さんと二人三脚で作り上げたアニメ

──まずは「龍の歯医者」がつくられた背景を教えてください。

もともと「龍の歯医者」は、2014年に『日本アニメ(ーター)見本市』というプロジェクトの第1話目、約7分の短編アニメとして生まれました。

当時、監督を務めた舞城王太郎さんと「短編で完結する作品ではなく、“続き”を感じさせる作品にしたいね」とは話していましたが、そのときはまさか長編作品をつくることになるとは思っていませんでした。なので今回、NHKからオファーがあり、私たちとしては“願ったりかなったり”ですね(笑)。

──今回、舞城さんは脚本として関わられていますが、制作はどのように進んでいったのでしょうか?

今回、私と舞城さんにはそれぞれ「監督」と「原作・脚本」という肩書きがついていますが、作業は混然一体となって進めてきました。私は、舞城さんの脚本に対してアイデアが思いつけば提案しますし、「そこはこうしましょう」とお伝えして直していただくこともありましたね。舞城さんも私に任せきりにするのではなく、「それではダメです」と言ってくださることもありました。

舞城さんは、アニメは専門外なのですが、だからと言って遠慮することなく、対等な立場で意見してくださるんです。私も、自分のアイデアがそのまま採用になるよりも、誰かと意見し合ってつくるほうがおもしろいですし、結果的におもしろいものができると思っています。今回はきちんと意見交換ができる舞城さんとつくることができて本当に良かったです。

「龍の歯医者」に登場するのは、どんなキャラクター?

──「龍の歯医者」は“生と死に向き合う話”とのことですが、もう少しだけ詳しく教えていただけますか?

龍は架空の存在とはいえ、“動物の一種”として描かれることが増えていると思います。

ですが「龍の歯医者」に登場する龍は、動物というよりもっと霊的な、“すべての人間の生と死に関わっている存在”として描かれます。生物というよりも、自然災害などの“現象”に近いニュアンスでしょうか。龍自体にあまりキャラクター性を持たせず、“物語の舞台の一部”として存在しているんです。そこは舞城さんがこだわったポイントでもありますね。

──どんなキャラクターが登場するのでしょうか?

若いキャラクターは、主人公である野ノ子という女の子と、ベルという男の子くらいですね。軍人が多く登場するストーリーのため、男性キャラ、しかもおじさんが多いです(苦笑)。最近のアニメはおじさんキャラが出てこない作品が多いので、新鮮な気持ちで見ていただけるかもしれません。

野ノ子(声:清水富美加)とベル(声:岡本信彦)
野ノ子(声:清水富美加)とベル(声:岡本信彦)

“生と死”を描いたアニメは、ほかにもたくさんありますよね。しかし「龍の歯医者」で描きたかったのは、“死”は世代に関係なく誰にでも起こるということ。異なる世代のキャラクターを出すことで“年齢に関係なくおとずれる死”を表現したかったという意図もありました。

龍の歯医者たちの死生観をいかに描くか

──“生と死”という難しいテーマに関して、特に悩まれたことはありますか?

よく考えると、人が死ぬって当たり前のことですよね。ですが“死”を表現しようとすると、途端に難しくなるんです。「死体をどう扱うか」という描写ひとつとっても非常にナーバスな問題なので、かなり悩みました。思い切って描写できればよいのですが、その結果、キャラクターが嫌われたらどうしよう……と。

特に龍の歯医者である人々は“独特な死生観”を持っているのですが、わかりやすく表現できず苦戦しましたね。

──その“独特な死生観”というのは?

野ノ子たち龍の歯医者は、仮に「明日、自分は死ぬ」とわかっていたとしても、その運命を受け入れる生き方をしています。一方ベルは、「明日死ぬとわかっているなら、どうすれば死なずにすむかを考えて行動する」という生き方を選ぶんです。

人によっては「死や運命を受け入れる姿こそ正しい」と言いたくなるかもしれません。しかし舞城さんは「自分の死を受け入れず、抵抗して生き続けようとした彼らは勇敢だった」と、2014年の短編でも描いています。

一般的に「どちらかが正しい」という二分した考え方になりがちですが、舞城さんは「どちらを選ぶべきか悩ましい」というニュアンスで描いてくれました。非常にデリケートで難しいテーマですが、これを表現しないと作品として意味がなくなってしまうので……ここも苦労した点ですね。

難しいテーマにとらわれず、冒険活劇として楽しんで!

──鶴巻さんご自身としては、どんなふうに作品を見ていただきたいですか?

まずは若い方に見ていただきたいですが、かといって若者に向けて「アナタたちもいずれ死ぬんですよ」と言いたいわけではありません。

劇中で描かれるのは死ですが、直接死のことと考えなくても感じられることのように思うんです。たとえば、ほぼすべての高校球児は地方大会を勝ち抜いて甲子園に行きたいはずですが、実際には、彼らのほとんどは甲子園までたどり着けませんし、そのことを半ば受け入れている球児もいると思うんです。いずれ負けるとわかっていても、それでも彼らは野球をやめません。それは、野球そのものが楽しいからだと思うんですよね。

「龍の歯医者」の世界も、それに近いのかもしれません。死ぬ瞬間がわかっているからといって、すべてを諦めて立ち止まるのではなく「その瞬間までは生きられる」「生きることを楽しもう」と思うことが大事なのかなと。それこそ“生に立ち向かう”ことであり、そこをうまく表現したいと考えていました。

スタッフに対しても「生と死の話だと重くなってしまうから、部活動の話だと思ってくれ」と伝えていました(笑)。野ノ子たちの感覚を理解しようと自分なりに解釈したとき、この考え方がもっともしっくりきたんです。

──「ここに注目してほしい」というポイントがあれば教えてください。

舞台は現代っぽくないですが、各キャラクターの性格や考え方まで古風なわけではありません。特にベルは現代人っぽい“今風”の男の子です。そんなベルが、独特な死生観を持つ野ノ子に出会ったとき、どんな変化が起きていくのか……。

それと、作品のテーマとして“生と死”というお話をしましたが、ストーリー自体は重いものではなく、アクションありチェイスありの冒険活劇です。そこは私たちも楽しんで描きました。視聴者の皆さんにも「若い学生たちの話」だと思って(笑)、楽しんで見ていただきたいですね。

虫歯菌から龍の歯を守る!
虫歯菌から龍の歯を守る!

複雑なテーマや描写もあり、どうやら一筋縄ではいかないお話のようです……! しかし鶴巻監督は「初めから重々しく受け取るのではなく、スタジオカラーの新作アニメとして、純粋に楽しんでほしい」とのこと。ワタクシも放送が待ちどおしいです!

【放送日時】
4月1日(土)[総合]後11:00 前編
4月8日(土)[総合]後11:00 後編

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