映画を発明したオーギュストとルイのリュミエール兄弟、サイレント時代のスーパースター、リリアンとドロシーのギッシュ姉妹、映画史をふかんすると、兄弟・姉妹で映画に携わってきた人たちがたくさんいることに気づきます。そして、70年代以降、独創的な映像美で映画ファンを魅了してきた映画監督が、イギリス出身のリドリーとトニーのスコット兄弟です。

トニー・スコット監督のスタイリッシュな映像美がさえる

4日(木)に放送するのは、弟・トニーが監督したサスペンス・アクション「エネミー・オブ・アメリカ」(1998)です。ウィル・スミス演じる弁護士・ディーンは、政治家暗殺の証拠映像を偶然手に入れてしまいます。事件をもみ消そうとする巨大権力は、ハイテク機器を駆使してディーンを追い詰めますが、ディーンはジーン・ハックマン演じる元工作員のブリルに接触、反撃に転じます…。先の読めないスピード感あふれる展開は、見応えたっぷりです。

トニー・スコット監督は1944年生まれ。「オデッセイ」(2015)などの監督リドリーは7歳年上の兄です。リドリーが監督した短編映画「少年と自転車」(1965)に10代で出演したトニーは、兄と同様、アートの才能に恵まれ、王立芸術院で絵画を学んだのち、映像製作に興味をもつようになります。69年には短編映画「One of the Missing」を監督、こちらには兄のリドリーが出演しています。そして、リドリーの会社でCMを製作し、デビッド・ボウイが吸血鬼を演じた「ハンガー」(1983)が注目され、トム・クルーズ主演の「トップガン」(1986)で世界的なヒットメーカーとなりました。

めまぐるしく交錯するショットと長まわしの超絶ショット、ノーマルからスローモーションへと可変するショットや、カメラがぐるぐるまわるショットが緊迫感をもりあげたかと思うと、一瞬の静寂をとらえたロングショットが、画面と物語の熱気をさますかのように登場する。しかも、その映像が物語を語り、俳優の演技をとらえ、映画的な空間を表現している。トニー・スコット監督の演出は見るたびに発見があり、うならされます。残念ながら5年前、68歳で亡くなってしまいましたが、その映像センスが発揮された作品の数々は、多くの映画ファン、映像作家からも支持されています。

翌日5日(金)には、兄・リドリーの代表作、アカデミー作品賞はじめ5部門を受賞したスペクタクル史劇「グラディエーター」(2000)も放送します。圧倒的なビジュアルセンスのスコット兄弟の名作、ぜひお楽しみください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「エネミー・オブ・アメリカ」
5月4日(木)[BSプレミアム]後1:00~3:13

プレミアムシネマ「グラディエーター」
5月5日(金)[BSプレミアム]後1:00~3:36

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