青年劇作家・リチャードは、歴史あるホテルに飾られていた古い写真の美しい女性に魅せられます。その女性が、かつてこのホテルで公演を行った女優・エリーズだと知ったリチャードは、エリーズへの募る思いから、タイムトラベルを試みます。そして…。

今回ご紹介するのは、時をこえたロマンスを描き、多くのファンから熱狂的に支持されているSF恋愛映画「ある日どこかで」(1980)です。

世界中にファンクラブがある作品

原作・脚本はリチャード・マシスン。1926年生まれのマシスンは、小説はもちろん、数多くの映画・テレビの脚本を執筆した、アメリカのホラー・SFの巨匠です。マシスンは、リチャードのように滞在中のホテルで見た写真に心を奪われ、その写真の女優・モード・アダムスについて調べたことが、この小説になったということです。主人公の名前が原作者と同じリチャード、というのもおもしろいですよね。名前といえば、映画に登場するフィニー教授は、長編小説「ふりだしに戻る」や短編「ゲイルズバーグの春を愛す」など、タイムトラベルSFの名手でもあったアメリカの作家・ジャック・フィニイへのオマージュです。マシスンは、先輩作家であるフィニイを深く尊敬していたということです。

リチャードを演じるのは「スーパーマン」(1978)で大スターとなったクリストファー・リーヴ。誠実な人柄と、すぐれた演技力で知られたリーヴですが、乗馬中の事故で体が不自由となり、リハビリや障害者の支援活動などをしていましたが、52歳の若さで亡くなってしまいました。ヒロインを演じるのはジェーン・シーモア。清楚で凛(りん)とした美しさは、エリーズにピッタリです。

そして、この映画を彩るのが甘くせつない音楽。てがけたのは、「007シリーズ」などで知られる名作曲家・ジョン・バリーです。低予算の作品だったため、音楽を依頼するのをためらっていた監督に、エリーズ役のシーモアが、ジョンは友人だからと声をかけ、作品が気に入ったと、音楽を引き受けたということです。バリーが作曲したスコアはもちろんですが、ラフマニノフの“パガニーニの主題による狂詩曲”が印象的に使われています。

スタッフ・キャストが愛情を注いで製作したというこの作品、年を経るごとに人気が高まり、世界中にファンクラブがあるということです。リチャードとエリーズの時をこえた思いに胸が熱くなり、見終わったあと、大切な思い出にしておきたくなる名作「ある日どこかで」。ぜひご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「ある日どこかで」
5月10日(水)[BSプレミアム]後1:00~2:45

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