アルフレッド・ヒッチコック監督映画の2本立てに注目

鳥 ほか

5月8日(月)[BSプレミアム]後1:00 ほか

プレミアムシネマ 5月の注目作品

今月は『鳥』と『ヒッチコックのファミリー・プロット』、アルフレッド・ヒッチコック監督映画の2本立てが注目の話題作。

あまりに有名な名作『鳥』は見る機会も多いが、『ファミリー・プロット』は、滅多に見られないヒッチコック77歳、53番目の作。英国の探偵作家ヴィクター・カニングの小説を『ウエストサイド物語』の脚本を書いたアーネスト・レーマンが脚色、音楽を『続・激突!カージャック』のジョン・ウィリアムズが担当、小品ながら抜群の娯楽作として知られる。そしてヒッチコックの最後の監督作でもある。怪しげなヒロインのブランチ・タイラー役を演じるのは『ナッシュビル』で注目されて間もないバーバラ・ハリスだが、ユニバーサル映画が希望したのは『キャバレー』でアカデミー主演女優賞を受賞したライザ・ミネリか『続・激突!カージャック』のゴールディ・ホーンの二人。当時注目の女優だった。ところがヒッチコックは彼女たちを知らず、たまたま舞台『ジプシー』を見てヒロインを演じていたハリスが気に入って起用した。この映画の宣伝用にTVの公開番組に出演したヒッチコックは「まだ引退の予定はない」と言い、54本目の映画『みじかい夜』を撮るつもりで準備をしている途中で亡くなった。本作の中のヒッチコックは役所の一室のガラスの扉にシルエットで登場。お見逃しなく!

近日劇場公開の『ハロルドとリリアン』はハリウッド映画全盛期の1950~70年代に活躍した絵コンテ作家の夫ハロルドと、映画が描く内容に必要なリサーチをする妻リリアンの仕事ぶりを追ったドキュメンタリー映画。ここには『鳥』のいくつかのシーンがハロルドの絵コンテと共に使われていて、まるでヒッチコックが絵コンテの通りに撮影したように見えるのが興味深い。だが、ヒッチコックはカメラマンにカメラを置く角度や高さまで細かく教え、ハロルドにも絵コンテの書き方を教えたことでヒッチコックが撮った通りの絵コンテが生まれることになった、と監督のダニエル・レイムは言っている。ハロルドの妻リリアンは『レッド・オクトーバーを追え!』のリサーチを担当。舞台になるのがソ連の潜水艦なので艦内の様子を調べる必要があったが、どう考えてもこれはソ連の国家機密。まずダメだろうとあきらめていたときリリアンがどこからか写真を入手してきて本物のソ連の潜水艦内部が出来上がった。レイム監督は、「リリアンは小柄でキュートで声もかわいい美女だが、そのハートには猛獣がいる」と言っている。ハリウッド映画は彼女のような人の努力と熱意によって真実を見せてきたのだ。

ダン・ブラウンの世界的大ベストセラー・ミステリー小説が原作の『ダ・ヴィンチ・コード』は、撮影用カメラがルーブル美術館に入った初の映画。撮影用の照明を浴びて絵が傷まないようにモナリザは複製が使われている。このときと同じ監督ロン・ハワード、主演・トム・ハンクスで第2弾『天使と悪魔』が生まれ、第3弾『インフェルノ』が生まれた。


【放送日時】

プレミアムシネマ「鳥」
5月8日(月)[BSプレミアム]後1:00~3:00

プレミアムシネマ「ヒッチコックのファミリー・プロット」
5月9日(火)[BSプレミアム]後1:00~3:01

【コラム執筆者】
渡辺祥子(わたなべ・さちこ)

共立女子大学文芸学部にて映画を中心とした芸術を専攻。卒業後は「映画ストーリー」編集部を経て、映画ライターに。現在フリーの映画評論家として、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等で活躍。映画関係者のインタビュー、取材なども多い。また映画にとどまらずブロードウェイの舞台やバレエなどにも造詣が深い。著書に「食欲的映画生活術」、「ハリウッド・スキャンダル」(共著)、「スクリーンの悪女」(監修)、「映画とたべもの」ほか。

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