独身で、もう若くはない美術館勤めのインテリ女性・ミニーは、ある日、デートの相手とトラブルになり、駐車場で働く青年・モスコウィッツに助けられます。モスコウィッツはミニーに一目ぼれ。ところが、性格も考え方もまったく違う2人は衝突ばかり。いったいどうなるのか…。
今回ご紹介するのは「ミニー&モスコウィッツ」(1971)。27日(金曜深夜)放送です。

インディペンデント映画の先駆け

脚本・監督はジョン・カサベテス。まったく新しい映画で、映画のあり方そのものを刷新し、世界中の映画監督に今なお大きな影響を与え続けている映画作家です。

1929年、ニューヨーク生まれのカサベテス監督は俳優を志し演劇学校へ。そこで出会ったのが、ミニーを演じたジーナ・ローランズでした。2人は結婚し、最高のパートナーとして一緒に映画・舞台を作っていきます。カサベテスはテレビや映画に俳優として出演していましたが、自分が本当に求める表現をしたいと、自分で制作費を集め、友人とともに映画を製作、その作品「アメリカの影」(1959)は、インディペンデント映画の先駆けとして、世界に衝撃を与えました。以降、カサベテスは俳優として活動しながら、数々の傑作を発表しましたが、59歳の若さで亡くなりました。

俳優の演技、存在感を何よりも大事にしたカサベテス監督の作品は、ドキュメンタリーのような生々しさ、リアリティーにあふれています。メジャースタジオのもとで製作されたこの映画でも、それは変わりません。演技をこえた、俳優たちから湧き出す感情を捉え、即興を重視しながらも、考え抜かれ、瞬発力ある演出は、何度見ても驚嘆させられます。

カサベテス監督の才能はもちろんですが、そんな映画作りができたのは、よき仲間たちがいたからこそ。しかも単なる仲間ではありません。最愛の妻・ジーナ、モスコウィッツを演じるシーモア・カッセル、食堂でモスコウィッツに絡む男を演じ、強烈な印象を残すティモシー・ケリー、どの俳優もアメリカ映画を代表する名優ばかりです。また、カサベテス監督自身がミニーの不倫相手を、母・キャサリンがモスコウィッツの母を、ミニーの母をジーナの母・レディ・ローランズが演じ、子供たちも出演、文字通り家族ぐるみで製作されました。

若き日のマーティン・スコセッシ監督もスタッフとして参加、大きな影響を受けたということです。人間を温かく、厳しく見つめ、真の感情をフィルムに刻んだ天才、ジョン・カサベテス。奇跡の映画をじっくりお楽しみください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「ミニー&モスコウィッツ」
5月27日(土)[BSプレミアム]前0:15~2:11(金曜深夜)

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