植物や生き物が絶滅状態となってしまった未来。人類は宇宙船のドームで、わずかに残った植物たちを育てていますが、ある日計画を中止し、ドームを爆破、帰還せよとの指令が下ります。緑や生き物を絶滅させてしまう指令に納得できない植物学者のローウェルは、反乱を起こし、逃走しますが…。
今回ご紹介するのは、熱狂的なファンを持つSF映画「サイレント・ランニング」(1972)です。

宇宙船の内部は廃船となった軍艦で撮影

監督はダグラス・トランブル。「2001年宇宙の旅」(1968)、「未知との遭遇」(1977)、「ブレードランナー」(1982)…、数々の傑作SF映画を手がけた伝説的な特撮監督です。
照明や、カメラ・レンズなどの映像技術に熟知するトランブルは、自分でも新たな手法や技術を開発、それまでにはなかったリアリティーと迫力をSF映画にもたらしました。この映画は低予算で製作され、宇宙船の内部は廃船となった軍艦で撮影されましたが、トランブルの妥協のないイノベイティブな映像、宇宙船「ヴァレー・フォージ」の重量感や宇宙空間、とりわけ土星の輪の美しさは、今もまったく古びていません。さらに、脚本には、「ディア・ハンター」(1978)、「天国の門」(1980)の監督・マイケル・チミノが参加しています。

ローウェルを演じるのはブルース・ダーン。アルフレッド・ヒッチコック、ロバート・アルドリッチ、ロジャー・コーマン、最近ではクエンティン・タランティーノの「ヘイトフル・エイト」(2015)と、ハリウッド映画からインディペンデント作品まで、幅広く活躍する名優です。名門アクターズ・スタジオで演技を学び、内に秘めた感情を爆発させる演技を得意とするダーンは、この作品でも渾身の演技をみせています。

さらに忘れがたいのは、ドローンと呼ばれるロボットたち。いたずら好きのドナルド・ダックのおいっ子たち、ヒューイ、デューイ、ルーイと名づけられたロボットたちは、その動きや細かいしぐさが何とも愛らしく、好きにならずにいられません。ジョージ・ルーカス監督は「スター・ウォーズ」のR2-D2を製作するうえで参考にしたということです。

そして音楽。美しいフォーク・ソングを歌うのは、ジョーン・バエズ。1960年代のフォーク・ムーブメントで反戦や人種差別の撤廃を訴え、ボブ・ディランとも共演、日本でも多くのファンを持つ女性ミュージシャンです。バエズの透明感あるソプラノが、切なさと孤独感を奏で、宇宙空間に響きわたります。

深く印象に刻まれる、SF映画の名作。ぜひご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「サイレント・ランニング」
6月24日(土)[BSプレミアム]前0:15~1:46(金曜深夜)

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