1973年、音楽好きの少年・ウィリアムは、まだ15歳ながらその文章が認められ、ロックバンド「スティルウォーター」のツアーに同行取材することになります。音楽ライターの道を歩み始めたウィリアムは、バンドのメンバーやさまざまな人たちと出会い、恋にときめき、人生に苦しみ、成長していきます。今回ご紹介するのは「あの頃ペニー・レインと」(2000)です。

監督自身の体験を映画化 名曲の数々が“青春”を切なくさせる

1957年生まれのキャメロン・クロウ監督は、実際に10代で数々のミュージシャンを取材し、音楽ライターとして活躍していました。その経験をもとに作りあげたのがこの作品で、アカデミー脚本賞を受賞しました。

映画に登場する「スティルウォーター」は架空のバンドですが、モデルの一つとなったのはオールマン・ブラザーズ・バンド。サザンロック、スワンプとも呼ばれる、ブルースに根ざした音楽、とりわけライブでの演奏は今も高く評価されています。

“伝説のグルーピー”パメラ・デ・バレスなど、当時の女性たちがモデルのペニー・レインを演じ、アカデミー賞にノミネートされたのがケイト・ハドソン。お母さんは「続・激突!カージャック」(1974)などの名女優ゴールディ・ホーンです。自らを「バンドエイド」と名乗り、音楽を心から愛する純粋で繊細なペニー・レイン、その輝くような笑顔は、なんともすてきです。
そして、実在のロック評論家レスター・バングスを演じるのは、46歳で亡くなってしまった名優フィリップ・シーモア・ホフマンです。優しさと寂しさにあふれ、ウィリアムを励まし、導くバングスの人間像は、ホフマンの卓越した演技と存在感があったからこそだと思います。

サイモン&ガーファンクル、ジョニ・ミッチェル、ブラック・サバス、ザ・フー、ビーチ・ボーイズ、レーナード・スキナード、ニール・ヤング、デビッド・ボウイ、レッド・ツェッペリン…、映画には50以上の名曲が次々に流れますが、なかでも印象的なのはエルトン・ジョンの「可愛いダンサー」。作詞担当のバーニー・トーピンが、当時の妻に捧げたとも、カリフォルニアで出会った女性たちを思い出して作ったともいわれる美しい歌詞の名曲です。この曲に合わせて映画の場面を作ったのではないかと感じるほどピッタリで、一緒に歌いたくなります。

音楽へのラブレターが書きたかったというクロウ監督、名曲の数々が、かけがえのない青春の光と影を映し出す、切なく美しい名作。ぜひご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「あの頃ペニー・レインと」
7月21日(金)[BSプレミアム]後1:00~3:04

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