地球をめざしていた宇宙船がある惑星に不時着、そこは文明と知能をもつ猿たちが人間を支配する惑星でした……。今回ご紹介するのは、今なお、新しい発想で新作が作られている人気SFシリーズの第1作「猿の惑星」(1968)です。

寓意(ぐうい)にとんだ傑作SF

主演はチャールトン・ヘストン。「十戒」(1956)「ベン・ハー」(1959)など、スペクタクル史劇で有名ですが、「続 猿の惑星」(1970)「黒い絨毯」(1954)「地球最後の男 オメガマン」(1971)「ソイレント・グリーン」(1973)など、数々のSF映画にも出演した大スターです。

そして、なんといっても魅力的なのは、表情豊かな猿たち。穏やかでインテリなチンパンジーの学者・コーネリアスとジーラを演じるのは、「わが谷は緑なりき」(1941)など、子役から活躍してきたロディ・マクドウォールと「欲望という名の電車」(1951)のステラ役で、アカデミー賞を受賞したキム・ハンター。オランウータンのザイアス博士を演じるのは、イギリス出身で、シェークスピア劇で知られるモーリス・エバンス。名優たちの演技が、現実にはありえない猿たちに抜群の存在感をもたらしています。特殊メークを担当したジョン・チェンバースはアカデミー賞を受賞しました。

脚本は、ロッド・サーリングとマイケル・ウィルソン。サーリングは、日本では「ミステリー・ゾーン」のタイトルで放送された傑作テレビ番組「トワイライト・ゾーン」の製作者として知られています。スーツ姿でホストも務めたサーリングは第2次大戦で激烈な戦場を体験し、戦争や人種差別といった問題をSFやホラーに盛り込みました。ユーモアと皮肉の効いた物語は、スティーブン・スピルバーグやスティーブン・キングといった現代のストーリーテラーたちも、少年時代夢中になったということです。

マイケル・ウィルソンは「陽のあたる場所」(1951)でアカデミー賞を受賞した名シナリオライターですが、1950年代、いわゆる“赤狩り”によってブラックリストにのり、ハリウッドで仕事ができなくなってしまいました。また、キム・ハンターもリストにのり、映画に出演できなかった時代があったということです。名前を隠して仕事をせざるを得なかったウィルソンは、デビッド・リーン監督の「戦場にかける橋」(1957)、「アラビアのロレンス」(1962)の脚本に参加しましたが、公開当時、クレジットはされませんでした。この作品にも赤狩りの時代、仕事や地位、友人を失った暗い記憶が反映されているともいわれています。

どうぞお楽しみに。

【放送日時】
プレミアムシネマ「猿の惑星」
8月28日(月)[BSプレミアム]後1:00~2:53

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