1950年代、テキサスの田舎町・アナリーン。町で唯一の映画館が息抜きの場所の高校生・サニーとドゥエインの友情、恋、将来への不安と葛藤を描いたのが「ラスト・ショー」(1971)です。

監督は熱狂的な映画好き! 気鋭の若者たちが中心となって製作

俳優たちの見事なアンサンブルが高く評価されたこの作品、サニーとドゥエインを演じたティモシー・ボトムズとジェフ・ブリッジスのフレッシュな演技は高く評価されました。また、ドゥエインのガールフレンド・ジェイシーを演じたシビル・シェパード、物言わぬ少年・ビリーを演じたティモシーの弟・サム・ボトムズはこれがデビュー作となりました。一方、ジョン・フォード監督の西部劇の常連で、乗馬の名人として知られ、映画館の主人・サムを演じたベン・ジョンソンと、テレビや映画で幅広く活躍し、孤独な中年女性ルースを演じたクロリス・リーチマンは、ともにアカデミー賞を受賞しました。

そしてスタッフ。撮影は「ベン・ハー」(1959)などの大ベテラン、ロバート・サーティースですが、中心となったのは気鋭の若者たちです。この映画で、70年代を代表する映画監督となったピーター・ボグダノヴィッチは、当時30代前半、熱狂的な映画好きで、もともとは俳優として活動していましたが、ジョン・フォード、ハワード・ホークス、アルフレッド・ヒッチコック、フリッツ・ラングなど、当時アメリカでは必ずしも高く評価されていなかった映画作家を激賞するインタビューや文章で、映画評論家として注目されていました。ボグダノヴィッチ監督は、親しい友人で深く尊敬するオーソン・ウェルズ監督の助言を受け、この映画をモノクロで製作したということです。

製作を務めたバートとハロルド・シュナイダーは兄弟で、父親はコロンビア・ピクチャーズの社長という恵まれた環境で育ちましたが、バートは60年代のカウンター・カルチャーに傾倒、「イージー・ライダー」(1969)の製作者として一躍注目され、ジャック・ニコルソン主演の「ファイブ・イージー・ピーセス」(1970)など、アメリカン・ニューシネマを代表する映画を次々製作しました。この作品の後も、テレンス・マリック監督の「天国の日々」(1978)などをてがけています。

この映画が製作されたのは、長髪、ヒッピー、サイケデリック・ロックといった文化が先端の時代でした。そんな時代の若者たちが、50年代の田舎町を舞台にした、切なく、しみじみとした映画を作ったことに改めて驚かされます。繊細なドラマをじっくりお楽しみください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「ラスト・ショー」
9月7日(木)[BSプレミアム]後1:00~3:07

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