70年近くも前、1951年のベネチア映画祭でグランプリに輝き、アカデミー名誉賞も受賞、日本映画を世界に知らしめるきっかけとなったのが、黒澤明監督の「羅生門」(1950)です。

平安時代、羅生門で雨宿りをしていた男たちが語る不可解な出来事、それは森の中で起きた殺人事件でした。侍を殺した盗賊、侍の妻、そして侍の霊、それぞれの言い分は、まるで異なります。一体真実とは…。

“世界の黒澤”の元に豪華スタッフキャストが集結!

製作当時40歳の黒澤監督は、この映画の国際的な成功で、日本を代表する映画作家となりました。ダイナミックな映像美、映画ならではの興奮と感動にあふれた傑作の数々は、亡くなって20年近くたった今も、世界中の映画作家から尊敬されています。「ダンケルク」(2017)のクリストファー・ノーラン監督も、この作品に影響を受けたと語っています。
黒澤監督とともに、芥川龍之介の短編小説『羅生門』と『藪の中』をもとに緻密な脚本を作りあげたのは橋本 忍。橋本さんはこれがデビュー作となり、名脚本家として、数々の傑作を手がけました。
森にさしこむ光や土砂降りの雨、そして太陽を強烈な白と黒のコントラストでとらえた、名カメラマン・宮川一夫の鮮烈な映像も絶賛されました。

盗賊・多襄丸を演じたのは、黒澤監督とは名コンビの三船敏郎。三船さんは撮影当時30歳、ギラギラとした野性を全身で表現し、画面に叩きつけます。「酔いどれ天使」(1948)で一躍注目され、これが5本目の黒澤作品となりました。激しい感情をもつ侍の妻を演じた京マチ子さんは、当時20代半ば。その官能的な美しさは、この作品はもちろん、溝口健二監督の「雨月物語」(1953)や小津安二郎監督の「浮草」(1959)でも発揮されています。
そして、侍を演じたのは、当時30代後半だった名優・森 雅之。父親は明治を代表する小説家・有島武郎で、戦前から舞台で活躍した森さんは、「白痴」(1951)など、黒澤監督の作品はもちろん、「雨月物語」や成瀬巳喜男監督の「浮雲」(1955)といった傑作や、舞台、テレビドラマと、幅広く出演しました。知性と色気、人間の弱さを巧みに表現した最高の俳優だと思います。

さらに、三船さんと並んで、黒澤作品には欠かせない名優・志村 喬、黒澤映画常連の千秋 実、加東大介、上田吉二郎、本間文子といった名優たちがその身体を駆使して表現する演技は、今も、圧倒的な迫力で見るものを揺さぶります。

今回は映像と音声を修復したデジタル完全版での放送です。
世界が瞠目した傑作、改めてお楽しみください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「羅生門 デジタル完全版」
9月21日(木)[BSプレミアム]後1:00〜2:30

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