脚本家・岡田惠和「みね子の人生はこれからも続いていく」

連続テレビ小説「ひよっこ」

毎週月曜~土曜 ※9月30日(土)最終回!
【総合】前8:00~8:15 / (再) 後0:45~1:00
【BSプレミアム】前7:30~7:45 / (再) 後11:00~11:15

先日クランクアップし、最終回もだんだんと近づいてきた連続テレビ小説「ひよっこ」。
脚本の岡田惠和さんにとって、「ちゅらさん」「おひさま」に続き3本目の “朝ドラ”だったこのドラマ。全156話を書き終えた今だから語れるお話を、たっぷりと伺いました!

現時点での自己ベストは出せたかな

──「ひよっこ」を書き終えた現在の心境をお聞かせください。

まだ、実感があまりないんです(笑)。特にここ数か月は昼夜問わず部屋にこもって脚本を書いていたので、いまだに朝起きると「寝ちゃってすみません!」って後ろめたい気持ちになったりして。書き終えたと自分で感じることができるのは、もしかしたら最終話の放送が終わった時かもしれませんね。

──3度目の“朝ドラ”執筆の手ごたえを、どんな風に感じていますか?

3度目がもしかしたら一番高い壁だったかもしれないです。でも現時点での自己ベストは、苦しみながらも出せたと思います。今回は全26週というよりも「156話を書く」という気持ちで臨みました。1話1話を大切に書いていたので、内容を気楽に流すような日がなかったと思いますし、そういう意味では密度の濃い作品になったと感じています。

──書き進めていく中で、予想外だったことや思い出に残っていることはありますか?

主人公・谷田部みね子(有村架純)をはじめ、さまざまなキャラクターを描き、すばらしい俳優の皆さんが演じてくださいました。そのおかげで僕もますます「ひよっこ」が好きになり、キャラクター全員の人生をしっかり描いて俳優さん全員に楽しんでいただきたい、という欲がさらに強くなって……。結果、物語が4年しか進まなかったんです(笑)。

それは予想外だったかな。当初はみね子の高校時代(1964年)から10年間ぐらいを書く予定だったのですが、割と早い段階で、「そこまで進まないな」って気づいちゃって(笑)。でもその分、細やかに書き続けられたので、この作品の着地点としてはこれでよかったなと思っています。

有村さんだから描けたヒロイン像

──ヒロイン・みね子は、“朝ドラ”に多くみられる夢を追う人生ではありませんでした。

それを意外な“朝ドラ”ヒロイン像だと感じてくださった方が多かったみたいですね。夢を追いかけるでもなく、高い目標を持つでもない女の子をヒロインに描けたのは、有村架純さんが演じてくださったから、というのも大きいです。有村さんならこの平凡なみね子の人生でも、埋没せずに主人公として演じきってくださると信頼していました。

実際に僕らが生きている社会では、大きな目標を掲げて自己実現を果たすような人よりも、みね子のようにどうにもならない問題を抱えつつも、小さな喜びを見つけて人生に折り合いをつけながら生きていく人が大半だと思うんです。そんなみね子の人生を、有村さんが見事にヒロインとして成立させてくれた、と心から感謝しています。

──脚本の岡田さんから見た、有村さんの魅力を教えてください。

僕も普段は机の前に座って仕事をしているので(笑)、視聴者の皆さんと同じようにしか拝見してはいないんです。でも、何でもできる女優さんになっちゃったな、とは感じています。どんなシーンを書いても大丈夫だろう、という安心感がありました。

“朝ドラ”と一般的な連続ドラマの大きな違いは、若い同世代の俳優さんとだけでなく大ベテランの方々との共演シーンもすごく多いことなんです。どんな子でも、大先輩とのシーンは緊張すると思うんですよね。でも、そういうときにこそ力を発揮するのが有村さんだな、と思いました。大先輩と芝居して負けないどころか見事にキャッチボールしている姿は、見ていて本当に頼もしい限りでした。

一見なんでもない回こそ難しい⁉

──登場人物に悪い人や敵がいない、優しさのある物語の展開も印象的でした。

実は“敵”がいた方がドラマは動きます。でもあえて今回、そういうキャラクターを描きませんでした。このドラマに出てくる人々はみんな優しい人たちばかりで、一見ユートピアのようです。でも、それぞれが抱えている問題は、どうしようもなくつらい現実だったりする。僕自身が、キャラクターそれぞれが抱えている人生の課題に向き合いながら、じっくりと逃げずに描ききりたかったんです。

──156話ある中で、書き手として特に思い出のある回はありますか?

思い入れは全話にありますが、実は一見して、物語の本筋に関係なさそうな回を描くのはすごく楽しいし、難しいんです。脚本家としての腕の見せどころだと思っています。例えば、豊子(藤野涼子)がクイズ番組で優勝して澄子(松本穂香)とハワイに行く回とか、あかね荘から漫画家2人がいなくなった回とか(笑)。

脇のキャラクターに思い切りスポットを当てた回を書けるのも、“朝ドラ”という長いスパンがあるからこそできる醍醐味だと思っています。

──SNSでの“朝ドラ”の反響は、どう見ていましたか。

2001年の「ちゅらさん」はもちろん、2011年の「おひさま」でもまだまだここまでインターネットでの反響は大きくありませんでした。確実に、時代が変わったんですね。SNSの反応は、あえてドラマのオンタイムに見て、放送された瞬間の人々の率直な感想を見ることはありました。

脚本は放送された時点よりずっと先を書いてしまっているので、物語そのものがSNSの反応に影響を受けることはありませんでしたが、番組に対するたくさんの声援をその瞬間に感じられるような感覚は本当に初めて味わいましたね。

──最後に、これまでドラマを見てきた方たちへのメッセージをお願いします。

半年間、「ひよっこ」を楽しみに見ていただいて本当にありがとうございました。最終的にはみんなが少しずつ幸せになっている、そんな終盤なんじゃないかな、と思います。そしてドラマは156話で終わりますが登場人物たちの人生はまだまだ続くので、そこを想像して応援してあげてほしいです。

“朝ドラ”は何度書いても楽しいな、と改めて思いました。辛いけれどもやっぱり楽しいんです! もしまた機会があったら? ぜひ4度目もやりたいと思っています(笑)。でもそれよりもみね子たちの人生を、僕自身もう少し先まで見てみたい――、今はそんな気もしているんです。

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