臓器たちは“会話”している?
健康常識が変わる新シリーズ

NHKスペシャル「シリーズ人体~神秘の巨大ネットワーク~」

放送日時は記事の最後に掲載しています

突然ですが、皆さんは自分の身体をどこまで理解していますか? 肺、心臓、胃など、さまざまな臓器があることは知っていますが、どうしてみんな一糸乱れず働いてくれているのか、その仕組みはよくわかりませんよね。最新の研究によると、臓器同士は常に会話をするように情報を交換しながら、支え合って働いていることがわかってきたんだとか……。

そんな人体の「新しいイメージ」をひも解く大型シリーズ、NHKスペシャル「シリーズ人体~神秘の巨大ネットワーク~」が9月30日(土)から全8回シリーズでスタートします。司会はタモリさんと、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥さんです。

この番組を見れば自分の体の驚くべき仕組みがわかるかも? 浅井健博プロデューサーと井上智広プロデューサーにインタビューしてきました!

臓器同士が会話をしていた!?

──NHKではこれまでも「驚異の小宇宙 人体」のシリーズを放送してきましたね。

浅井:NHKでは、「驚異の小宇宙 人体」(1989年)、「驚異の小宇宙 人体2 脳と心」(1993年)、そしての「驚異の小宇宙 人体3 遺伝子・DNA」(1999年)と過去3回、“人体”シリーズを制作してきました。この3作品は完結しているのですが、ファースト「人体」から四半世紀以上経ち、医学の常識も映像の技術も当時からかなり進化しています。なので、「あらためて“人体”をひも解いてみたらどうか?」と思ったんです。

当時44歳だったタモリさんが司会をしていらっしゃったのですが、あれから28年たって、体に対する思いや考え方も変化しているだろうと思い、今回再び司会をお願いしました。

──「神秘の巨大ネットワーク」とはどういう意味ですか?

浅井:これはシリーズ全体のコンセプトでもあります。皆さん、何となく“一番重要な臓器は、脳と心臓”と思い込んでいませんか?

今までは、医学界でも人体と言えば、「脳が全体の司令塔となり、他の臓器はそれに従う」というものだったのですが、最新科学は、その常識を覆しました。なんと、「体中の臓器が互いに直接情報をやりとりすることで、私たちの体は成り立っている」。そんな驚きの事実が明らかになってきたんです。
この新しい潮流は、医学界にとってすごく大きな転換ですし、臓器同士の会話を知ることができれば、一気に新しい治療法の研究が進むんですよ。

井上:番組では、そのメッセージのやりとりを担っている物質を“メッセージ物質”と呼んでいます。最新の顕微鏡技術によって“メッセージ物質”が臓器から放出される瞬間の映像も撮影することができました。また、さまざまなメッセージ物質の姿を、科学的にも精巧に、かつかわいらしくデザイン化。「臓器同士の会話」をわかりやすいイメージで紹介していきます。

メッセージ物質が放出される瞬間。写真ではわかりにくいので、ぜひ番組をご覧ください!

──「メッセージ物質」って、本当に物質としてあるんですね。しかし、なんとも難しそうですね……。

浅井:本当に難しい話なんです(笑)。たとえば、酸素が足りなくなると尿をつくっている腎臓が「酸素が足りない!」というメッセージを発します。そのメッセージが骨に伝わると、「酸素が少ないなら、もっと酸素を運ぶために赤血球を増やすよ!」と赤血球を増産します。

──腎臓がそんなメッセージを発してるんですか?!知らなかったです……。

浅井:このように脳からの指令だけではなく、まるでインターネットのように情報が臓器の間を巡り、連携しながら支えあっているんです。腎臓が「酸素が足りない」というメッセージを発するなんて意外ですが、番組をご覧いただければ、その理由が理解できると思いますよ!

井上:臓器同士の会話は、SNSのグループチャットやメールのやりとりになぞらえた表現で説明しています。また、タモリさんとほぼ等身大の人体モデルを使って、直感的に理解できるような、おもしろい仕掛けも取り入れているので、ぜひご期待ください。

──インターネットやSNSというキーワードで説明されると、すごくわかりやすいですね!

浅井:病気というのは、私達の社会に置き換えると“SNSでの炎上状態”です。間違ったメッセージがどんどん拡散し、病に侵されていくんです。乳がんが脳に転移することがあるのですが、がん細胞が出すウイルスメールのようなものを脳が誤って開封することによって起きているんです。

将来活躍する人たちのきっかけになりたい

──この番組を作るきっかけは何だったんですか?

浅井:2015年にNHKスペシャル「腸内フローラ ~解明!驚異の細菌パワー~」という番組を制作したのですが、知らなかったことが多かったんです。たとえば、「腸は便をつくる臓器」としか思っていなかったのですが、腸内にいる細菌が身体や脳に作用していることがわかったんです。

その後も調べ続けたら、「細胞から細胞へ情報を伝える“メッセージ物質”が、研究対象として急速に注目されている」ということを知りました。この潮流はまさにこれまでの健康常識が大きく変わる話だと思い、企画しました。

──少し難しい内容ですが、若い方にもぜひ見てほしいですね!

浅井:この番組を制作して取材先の研究者の方から、28年前の「驚異の小宇宙 人体」を見ていましたよと声をかけられました。「あの番組を見て医者を志しました」とか「あの番組がきっかけで科学者を目指すようになりました」と言ってくださる方もいました。ですから、今回もこの番組を見てくれた若い方の中から、ひょっとするとノーベル賞を受賞する科学者が出るかもしれませんし、不治の病を治す医者が出てくるかもしれない。そういう原動力になる番組になるとうれしいです。

──では、最後に番組の見どころをどうぞ!

井上:私たちは今、“人体=巨大ネットワーク”という新しい人体のイメージにたどり着いたことで、“理解しているようで、実は分かっていなかった人体の「本当の姿」”を捉え直すという段階にいます。収録中、山中さんが目をキラキラさせながら「これはすごいことですよ!」とおっしゃっていました。イキイキと司会をしてくださる山中さんにも注目ですよ!

浅井:NHK局員生活ウン十年、初めて「これは見ないと損!」と言わせていただきます(笑)。もうこの一言に尽きます!

タモリさんとほぼ等身大の人体モデルが横たわっています!

浅井プロデューサーいわく「難しい内容だけど、ソファで寝転びながら見られるくらいわかりやすく説明している」番組だそうなので、医学や科学に詳しくなくても楽しめるはずです! これからの病気や身体に対する向き合い方が変わるきっかけになるかもしれない、NHKスペシャルシリーズ「人体 ~神秘の巨大ネットワーク~」をお見逃しなく〜♪

【今後のラインナップ予定】
<2017年>
10月1日(日)後9:00 「“腎臓”が寿命を決める」
11月5日(日)後9:00 「驚きのパワー!“脂肪と筋肉”が命を守る」

<2018年>
1月7日(日)後9:15 「“骨”が出す!最高の若返り物質」
1月14日(日)後9:00 「アレルギーの鍵は“腸”にあり」
2月4日(日)後9:00 「徹底解剖!ひらめく“脳”の秘密」
3月18日(日)後9:00 「生命誕生・あなたを生んだミクロの会話」
3月25日(日)後9:00 「人体は謎に満ちている」

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