コマーシャル出演のため東京にやってきた、ハリウッド俳優・ボブと、カメラマンの夫に同行してきたシャーロット。ことばの通じない日本で、孤独を感じる2人が出会い、互いに淡い思いを抱きますが…。今回ご紹介するのは「ロスト・イン・トランスレーション」(2003)です。

新宿、渋谷、京都など、日本各地で撮影

製作・監督・脚本はソフィア・コッポラ。お父さんは「ゴッドファーザー」(1972)「地獄の黙示録」(1979)の巨匠、フランシス・フォード・コッポラです。子どものときから父の作品に出演し、映画に携わっていたソフィアは、日本を何度も訪れた自分の経験をもとにオリジナル・ストーリーを作りあげ、アカデミー作品賞ほか4部門にノミネート、脚本賞を受賞しました。

ビル・マーレイ演じるボブが出演するのはウイスキーのコマーシャルですが、父フランシスが、尊敬する黒澤 明監督の「影武者」(1980)のプロデュースのため日本に滞在し、黒澤監督と共にコマーシャルに出演したことが、物語に生かされているということです。

どこかとぼけていて、そこが何とも魅力的なビル・マーレイは、1950年生まれ。コメディアンとして活躍し、「ゴーストバスターズ」(1984)といったハリウッド大作から、ウェス・アンダーソン、ジム・ジャームッシュといった個性的な監督の作品まで幅広く出演しています。この作品でアカデミー賞にノミネートされたほか、数々の賞に輝き、その演技は高く評価されました。
シャーロットを演じたスカーレット・ヨハンソンは、子どものときから俳優として活動し、この作品に出演したときは10代後半でしたが、恵まれた生活を送っているはずなのに、空虚で満たされない思いを拭えない女性を巧みに演じています。

新宿、渋谷、京都など、日本各地で撮影が行われたのは、今から15年ほど前。風景が変わりつづける東京の、当時の面影を伝える映像ともなっています。この映画によって、渋谷のスクランブル交差点は海外でも広く知られるようになったということです。

音楽を手がけたのは、シューゲイザー/オルタナ・バンドとして、独創的なサウンドで注目された、「マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン」のケビン・シールズ。日本を代表するロックバンド、はっぴいえんどの「風をあつめて」をはじめとする、ユニークなサウンドトラックにもご注目ください。

互いを理解する難しさ、孤独。それでも誰かと心を通わせたい…、そんな、現代を生きる人間たちを、ユーモアをまじえ、繊細に描く名作、じっくりお楽しみください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「ロスト・イン・トランスレーション」
9月30日(土)[BSプレミアム]前0:35~2:18

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