巨匠フランシス・フォード・コッポラが
若者たちの心象を繊細にうつし出した名作

ランブルフィッシュ

10月21日(土)[BSプレミアム]前0:15

ビリヤード場にたむろし、けんかに明け暮れる高校生ラスティ・ジェームズ。
ある日、誰からも恐れられるカリスマ的存在で、憧れだった兄・バイクボーイが戻ってきます。ところが、悟りを開いたかのように人が変わってしまった兄に、ラスティは戸惑います…。
今回ご紹介するのは「ランブルフィッシュ」(1983)。「ゴッドファーザー」(1972)や「地獄の黙示録」(1979)で知られる、巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督の青春映画です。

コッポラ監督ならでは! 表現主義の青春映画

ラスティ・ジェームズを演じるのは、当時日本でも絶大な人気のあったマット・ディロン。バイクボーイを演じるミッキー・ロークは、この作品で注目され、80年代を代表する俳優となりました。

印象に残るのは、強烈なコントラストのモノクロ映像。コッポラ監督は、ロベルト・ヴィーネ監督の「カリガリ博士」(1919)やF・W・ムルナウ監督の「最後の人」(1924)といった、1920年代のドイツ表現主義の作品の照明を参考にしたということです。表現主義はホラーやフィルム・ノワールなど多くのアメリカ映画に影響を与えましたが、表現主義の青春映画というのは、映画を愛するコッポラ監督ならではだと思います。
ランブルフィッシュとは、美しい姿でありながら縄張り意識が強く気性の荒い、ベタと呼ばれる魚のことですが、この魚の映像にもご注目ください。

映画に関わった豪華ミュージシャンにも注目!

そして音楽。てがけたのは、70~80年代、次々ヒット曲を生み出した「ポリス」のドラマーだったスチュワート・コープランドです。特徴的なハイハットの超絶テクニックで知られるコープランドは、この映画でも、リズムを強調したユニークなサウンドを作りあげています。ミュージシャンといえば、「ワン・フロム・ザ・ハート」(1982)の音楽を担当して以来、コッポラ作品常連となったトム・ウェイツが、ビリヤード場のオーナー役で出演しているのもうれしくなります。

この映画は、コッポラ監督の兄・オーガストに捧げられています。オーガストは、大学教授で、コッポラ監督の映画の仕事にも協力し、ニコラス・ケイジのお父さんでもあります。幼いころは体が弱かったというコッポラ監督は、5つ年上の兄を尊敬し、劣等感を持っていたということです。コッポラ監督は「ゴッドファーザー」や「テトロ 過去を殺した男」(2009)でも兄弟を題材にしていますが、ラスティ・ジェームズとバイクボーイも、自分と兄との関係を意識したものだと語っています。コッポラ監督が自作のなかでも愛着があると語る名作、じっくりお楽しみください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「ランブルフィッシュ」
10月21日(土)[BSプレミアム]前0:15~1:50 ※金曜深夜

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