映像詩人・タルコフスキー監督作品
圧倒的な映像美に息をのむ…

ノスタルジア

10月26日(木)[BSプレミアム]後1:00

18世紀のロシアの音楽家の足跡をたどって、詩人・アンドレイはイタリア・トスカーナにやってきます。病に侵されたアンドレイが、異国の地で夢に見る、懐かしい故郷の家。「世界の終わりが来る」と信じる不思議な老人・ドメニコとの出会い。そして、世界を救済するためにドメニコとアンドレイがとった行動とは…。今回ご紹介するのは、アンドレイ・タルコフスキー監督の傑作「ノスタルジア」(1983)です。

印象的なスローモーションは、フレーム単位でスピードを演出

映像詩人とも呼ばれるタルコフスキー監督は1932年、当時のソ連に生まれました。学生時代からその才能を発揮、ソ連を代表する映画作家として、精密に、細心に作られた圧倒的な映像美の作品を発表し、1986年、54歳の若さで亡くなりました。「アンドレイ・ルブリョフ」(1967)「惑星ソラリス」(1972)「サクリファイス」(1986)など、長編映画は、わずか7本ですが、その作品は世界中で絶賛され、今も熱狂的なファンを生み出しています。

脚本は、タルコフスキー監督と、アントニオーニやフェリーニ、テオ・アンゲロプロスの数々の作品を手がけたイタリアを代表する名シナリオライター・トニーノ・グエッラ。監督自身が投影されているという主人公アンドレイの体験と、その心象風景がカラーとモノクロの映像で描かれます。

水、炎、霧。タルコフスキー監督の重要なモチーフは、この作品でも見るものに迫ります。撮影監督のジュゼッペ・ランチは、色彩を極度に抑えながらもコントラストを強調した、絶妙のカラー映像を作りあげました。印象的なスローモーションは、タルコフスキー監督がフレーム単位でスピードを演出したということです。

アンドレイを演じるのは「鏡」(1975)にも出演したオレグ・ヤンコフスキー。ドメニコを演じるのは、イングマール・ベルイマン監督の作品で知られるスウェーデンの名優・エルランド・ヨセフソンです。
そして音楽。ヴェルディの「レクイエム」、ベートーベンの「交響曲第9番」が効果的に使われています。

タルコフスキー監督の作品は、国際的な評価は高かったものの、ソ連では難解だとされ、製作をめぐって当局と衝突することも多かったということです。タルコフスキー監督は、この映画の完成後、事実上の亡命を宣言し、祖国に戻ることはありませんでした。この作品には、その祖国への複雑な思いがこめられています。

深い余韻に包まれるラストシーン。映像、色彩、音、すべてに圧倒されるタルコフスキー監督ならではの世界をご堪能ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「ノスタルジア」
10月26日(木)[BSプレミアム]後1:00〜3:07

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