今回ご紹介するのは、伝説の名撮影監督のカラー映像が美しい名作「草原の輝き」(1961)です。
舞台は1928年のカンザス。高校生のディーニーとバッドは恋人同士ですが、ディーニーは性に罪悪感を抱き、バッドの思いを受け止められません。そんななか、バッドが他の女性と関係を結んでしまい、ディーニーは大きなショックをうけます。そして…。

巨匠、名俳優たちの共演、映画ならではの色彩が作り出す映像美にも注目!

ディーニーを演じるナタリー・ウッドは子供のころから活躍してきた大スター、バッドを演じるウォーレン・ベイティは、これが映画デビュー作、その後「俺たちに明日はない」(1967)などでハリウッドを代表する俳優・映画監督となりました。監督はエリア・カザン。「欲望という名の電車」(1951)や「エデンの東」(1955)、またアクターズ・スタジオの創立者の一人として、映画・演劇界に新風を吹き込みました。

そして、ニューヨーク各地でロケ撮影された、木々や芝生の鮮やかな緑、流れる水を映画ならではの色彩で表現したのが、名撮影監督・ボリス・カウフマンです。
ボリスは1906年、当時のソ連、現在のポーランドに生まれました。兄のデニスはジガ・ヴェルトフという名で、革新的なサイレント映画「カメラを持った男」(1929)を監督、もう一人の兄・ミハイルは撮影をてがけています。

兄たちはソ連で映画製作を続けましたが、ボリスはフランスに渡り、天才映画監督ジャン・ヴィゴと意気投合、「新学期 操行ゼロ」(1933)「アタラント号」(1934)など、生き生きとした映像でフランス映画を刷新した傑作を作ります。しかし、ヴィゴが29歳の若さで亡くなってしまい、ボリスは戦争中の1942年、カナダを経てアメリカにわたり、ニューヨークを拠点に短編やドキュメンタリーなどを製作していました。そして、カザン監督と出会い、「波止場」(1954)の撮影を担当、得意のロケ撮影で、斬新でリアルな光と影の映像を作りあげ、アカデミー賞を受賞、その後もカザン監督の作品をてがけ、大事なパートナーとなりました。

ボリスは、演劇やテレビから映画界に入った監督たちの初期作品、ジョージ・ロイ・ヒル監督の「マリアンの友だち」(1964)や、シドニー・ルメット監督の映画デビュー作「十二人の怒れる男」(1957)なども撮影を担当し、ルメット監督とも、その後数々の作品をてがけました。ロイ・ヒル監督もルメット監督も、国を越えて活躍し、創意と才気にあふれ、映画を知り尽くした大先輩から、映画とは何かを学んだのだと思います。

美しい映像と切ないドラマ、ぜひご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「草原の輝き」
11月25日(土)[BSプレミアム]前0:15〜2:20(金曜深夜)

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