又吉直樹が見た「渋谷」、初脚本ドラマに込めた思い

許さないという暴力について考えろ

12月26日(火)[総合]後10:00~10:49

長編小説『火花』で芥川賞を受賞した芸人・又吉直樹さんが、初の「脚本」に挑戦!
ドラマの舞台に選んだのは、又吉さんが“東京の象徴となった街”だと言う「渋谷」です。
自身にとっても馴染みの深い街「渋谷」を舞台にしたドラマに、どんな思いを込めたのかを聞きました。

慣れ親しんだ街、渋谷

──なぜ「渋谷」を舞台にしようと考えたのですか?

実は企画の段階で、「渋谷を舞台にするのはどうですか?」という案をいただいたんです。僕にとって渋谷はとても馴染みのある街なので、「ぜひぜひ!」とすぐにお受けしたんです。

渋谷と聞いて思い出深いのは、「シアターD」という劇場。今はもうないのですが、下積み時代には僕もよく出演していたんです。

それと、デパートの「パルコ」ですね。上京してすぐは、まぶしすぎて中に入ることすらできなかったパルコですが、仕事をいただくようになると不思議なことにだんだんかわいく見えて、調子がいいときは普通に店内に入っていけるようになって(笑)。僕にとってパルコは渋谷の象徴ですし、自分の調子のバロメーター代わりでもあったんです。

──ドラマの脚本を書くことになったいきさつは?

実は、最初からドラマの脚本を書こうとしていたわけではないんですよ。舞台が渋谷と決まってからは、「もしかしたらコントになるかもな」とも思いながら、わりと自由に書かせてもらったんです。途中、監督さんやいろんな方から「これはドラマだと思いますよ」と言われて、「じゃあ、そうしよか」と。

そういうわけで、過去に見た作品を参考にしたわけではないので、「これ、どうなんねやろ」と不安に思う反面、「映像化されたら、それはそれで見たい」と思ったのも事実ですね。

テレビのディレクター・中村(森岡龍)は、「渋谷」の本質は何かを取材する。

──どんな風に、書き進めたんですか?

今回は、「渋谷という街が主役になればいい」という思いが強かったので、かなりの回数、渋谷に足を運びましたね。渋谷をあちこち観察して驚いたのは、みんな意外とめちゃくちゃな動きをしてるってこと。

ガラス張りのお店を外から見ていると、席を立って外に出たかと思いきや、「あ、ちゃうわ」みたいな顔して、またお店の中に入ってトイレに行ったりする人もいました。「どんな間違い方してんねん!」と心の中で突っ込みたくなりましたよ。

もちろん見たことすべてをドラマに反映させたわけではないのですが、「実際はこういうもんなんやな」と思うことができましたし、参考になることも多かったですね。

ドラマのテーマは「不寛容」

──「許さないという暴力について考えろ」というタイトルに込めた思いは?

僕自身、渋谷にいるとき「怖い」と思うことが結構多いんです。例えば先日ラーメン屋から出るときに、ビニール傘が何本も刺さった傘たての中から、「自分の傘はこれやろう」と思って1本手にとったんです。そしたら、男性のお客さんに「俺んだよ!」って怒鳴られて……。

「そんな風に言わんでもええやん」と思いながら、僕結局、傘を持たないで店を出たんです。僕自身も含めて「みんな、余裕ないんだな」と感じていたんです。渋谷という街が今どうなっているのかを考えていく中で、「不寛容」というテーマが自然と浮かんできたんです。

──特に意識されたことは?

気をつけたことは、「偏った描き方にならないようにしよう」ということでしたね。渋谷って、10代、20代が羽目をはずしている“若者の街”と思われがち。でも、40~50代の人がビルの4階あたりでかっこいいカフェを経営していたりと、かつてこの街で遊んでいた世代の人たちもたくさん活躍しているんですよね。

“僕が見た渋谷”と、ニュースなどで“情報として耳に入ってくる渋谷”とがかけ離れているんです。僕自身もそこをきちんと捉え直したうえで、いろんな人から見た渋谷というのを描きたいなと思ったんです。

服飾デザイン専門学校に通うチエ(森川葵)は、流行の服を追い求める日々を送っていたが……。

──映像化されたものをご覧になりましたか?

はい、少し見ました。すごいですよ! こうなるんだと驚きましたね。僕が頭の中でイメージしていたものに、監督さんやカメラマンさんのニュアンスがさらに加わることで、もっともっと面白くなったと思います。僕自身も、完成したものを拝見するのをとても楽しみにしているんです。

12月26日(火)の放送前には、又吉さんが夜の渋谷を歩いたり、撮影現場を訪れている映像も「NHK_PR」サイトで紹介する予定なので、そちらもお楽しみに!

【放送日時】12月26日(火)[総合]後10:00~10:49

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