ティム・バートン × ジョニー・デップ × ファンタジー

シザーハンズ【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

12月25日(月)[BSプレミアム]後9:00

雪の降る冬の夜。孫にせがまれた老女が昔の話を語り始めます。それは、ハサミの手の人造人間の、悲しく美しい物語でした…。

クリスマスに放送するのはファンタジー映画の傑作「シザーハンズ」(1990)です。監督はティム・バートン。個性的な映像美と物語で多くの映画ファンから愛される、アメリカを代表する映画作家です。

初めて、自ら作った物語を映画化した作品

映画会社やスタジオが立ち並ぶロサンゼルス北部のバーバンクに生まれたバートン監督は、幼い頃から怪獣映画やホラー映画に魅せられ、絵を描くことだけが楽しみの少年時代をすごしたということです。ウォルト・ディズニーとその兄ロイが設立に携わったカリフォルニア芸術大学に進学後、アニメーターとして映画の仕事をはじめ、30歳の若さで監督した「バットマン」(1989)が世界的な大ヒット、若き天才として注目され、初めて、自ら作った物語を映画化したのがこの作品です。

エドワードを演じるのはジョニー・デップ。脚本を読んで感激し、何としても演じたいと感じたというデップは、チャップリンやキートンをほうふつとさせる演技で純真なエドワードを演じました。これまで7本ものバートン監督作に出演、互いに深く信頼しあっているということです。ヒロインのキムを演じるのは、撮影当時まだ10代だったウィノナ・ライダーです。

発明家を演じるのはヴィンセント・プライス。多くのホラーに出演、とりわけ60年代に製作されたエドガー・アラン・ポー原作の恐怖映画では、気品ある異形のキャラクターを演じました。少年時代から大ファンだったバートン監督は、実際に会ってみると、美術の造詣が深い、穏やかな教養ある紳士だったプライスをますます尊敬し、自分のお守りのような存在だったと語っています。この映画はプライスの最後の作品となりました。

周囲から疎外され、孤独に生きるエドワードには、少年時代の監督自身が投影され、パステルカラーの住宅とゴシック様式のお城が同居する郊外の不思議な街は、ふるさとバーバンクをイメージして作られたということです。この映画は、バートン監督が自作のなかで最も気に入っているということですが、それは、この作品が、監督のパーソナルな思いの結晶だからなのだと思います。

ダニー・エルフマンの旋律をバックに、この街に雪がふる理由が明かされるラスト、その切なさと美しさは、何度見ても心を打たれます。大切な思い出にしたくなる、ロマンチック・ファンタジー、ぜひご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「シザーハンズ」
12月25日(月)[BSプレミアム]後9:00~10:46

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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