巨匠・R・ブレッソン監督作品
A・ヴィアゼムスキーの映画デビュー作

バルタザールどこへ行く

1月20日(土)[BSプレミアム]前0:15(金曜深夜)

小さな農村でバルタザールと名付けられたロバが、農園主の息子・ジャックと幼なじみのマリーにかわいがられますが、やがて成長し、次々に別の飼い主に渡っていきます。過酷な労働を強いられるバルタザールは、ある日、美しく成長したマリーに再会しますが…。

今回ご紹介するのは、フランスの巨匠・ロベール・ブレッソン監督の「バルタザールどこへ行く」(1966)です。

「“演技”を否定」「出演者は“モデル”」ブレッソン監督の独自の撮影方法とは?

ロベール・ブレッソン監督は、1901年生まれ。映画独自の表現を追求し続けた映画作家です。ブレッソン監督は、映画を“シネマトグラフ”とし、演劇的ないわゆる“演技”を否定し、訓練された職業俳優ではなく、あえて演技経験のない人を起用、出演者を“モデル”として、表情を作ったり、感情をこめてセリフを話したりしないことを求めました。しかし、出演者の立ち居振る舞いやセリフは、監督によって厳密に決められ、それが達成されるまで、何度も撮影を続けたということです。この映画では、ロバも調教されていないものを起用したため、なかなかブレッソン監督の思うとおりにならず、演出は困難を極めたということです。

映画初出演のアンヌ・ヴィアゼムスキーのあどけない演技が魅力

マリーを演じるのは、アンヌ・ヴィアゼムスキー。ノーベル賞作家・フランソワ・モーリアックの孫で、この作品がきっかけで俳優となり、ジャン・リュック・ゴダールと結婚、「中国女」(1967)「ウイークエンド」(1967)など、数々のゴダール作品に出演、小説家としても活躍し、去年、70歳で亡くなりました。10代半ばのときのこの映画の撮影は人生で決定的な出来事となり、およそ40年後、その体験をもとにした「少女」という小説を発表しています。
また、小説家、画家、思想家と幅広く活動したピエール・クロソウスキーが吝嗇りんしょくな商人の役で出演しています。

映画への真摯で厳格な演出を貫いたブレッソン監督は、この作品や「スリ(掏摸)」(1959)、「白夜」(1971)、「ラルジャン」(1983)など、抑制されていながらも緊張感に満ち、豊潤な映画体験をもたらす傑作を作り続けました。一方で、ブレッソン監督は「007」シリーズの熱心なファンで、例えば、「007/ユア・アイズ・オンリー」(1981)を“純粋なアクション”だと絶賛しています。

名カメラマン、ギスラン・クロケとともに作りあげた固定画面とクローズアップ、無垢むくなロバが、エゴをむき出しにした人間たちに酷使される姿は、胸が締めつけられます。
繰り返し流れる、シューベルトのピアノソナタ。人間の残酷さ、世界の厳しさ、純粋さをとらえた、奇跡のような作品、じっくりご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「バルタザールどこへ行く」
1月20日(土)[BSプレミアム]前0:15~1:52(金曜深夜)

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