原爆の投下から10年以上がたった広島。映画に出演するため広島にやってきたフランス人女性と日本人の建築技師の男性が、つかの間の恋に身をまかせます。しかし、女性はフランスでの戦争の記憶にさいなまれ、男性は原爆で家族を失っていました。2人は夜の街をさまようように歩きますが…。

今回ご紹介するのは映画史上の傑作「二十四時間の情事」(1959)です。

91歳で亡くなるまで精力的に映画を作り続けた監督

現在と過去が交錯する物語、登場人物の記憶や心象がモノローグで語られる斬新な演出は、フランス映画を刷新し、世界中に影響を与えたヌーベルバーグの傑作として高く評価されました。監督はアラン・レネ。レネ監督は、フランスを代表する女性作家・マルグリット・デュラスの「ヒロシマ私の恋人」と題された原作・脚本をもとに、原爆、戦争がもたらす悲劇、生き残った人たちの心の傷を描きだしていきます。

1922年生まれのレネ監督は、少年時代から映画に興味をもち、高等映画学院に入学、本格的に映画を学びます。短編ドキュメンタリー「ヴァン・ゴッホ」(1948)がアカデミー賞を受賞、ナチス・ドイツのアウシュヴィッツ強制収容所を題材にしたドキュメンタリー「夜と霧」(1955)で世界的に注目され、長編第1作となったのがこの作品です。ベネチア映画祭金獅子賞を受賞した「去年マリエンバートで」(1961)、「ミュリエル」(1963)、「ジュ・テーム、ジュ・テーム」(1968)など、独創的な作品を次々に発表、コメディー「愛して飲んで歌って」(2014)を完成させ、91歳で亡くなるまで精力的に映画を作り続けました。アルフレッド・ヒッチコック監督、小津安二郎監督の熱烈なファンだったことでも知られています。

女を演じるのは、エマニュエル・リバ。この作品で世界的に注目され、映画や舞台で活躍、80歳を過ぎて出演した「愛、アムール」(2012)は数々の賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされるなど晩年まで活躍し、去年、89歳で亡くなりました。男を演じる岡田英次は知性を感じさせる演技派として幅広く活躍し、この作品や勅使河原宏監督の「砂の女」(1964)などで国際的にも知られる名優です。

半世紀以上前に広島市内各地でロケ撮影されたこの作品、原爆資料館や原爆ドーム、繁華街の映像は、当時の様子を伝えるドキュメンタリーのようにも感じられます。公開当初から今日まで、常に高く評価されているこの作品、シャープで繊細なモノクロ映像とその表現は、何度見ても圧倒されます。映画史に新たな足跡を刻んだ傑作、ぜひご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「二十四時間の情事」
1月27日(土)[BSプレミアム]前0:15~1:46(金曜深夜)

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