原作者・宮部みゆきが語るドラマ版「荒神」

スーパープレミアム スペシャルドラマ「荒神」

2月17日(土)[BSプレミアム]後9:00

怪物と人間たちの死闘を、最新のVFXを駆使して描くエンターテインメント時代劇「荒神」。

関ヶ原の戦いから100年。東北の寒村に怪物は突然現れ、村人を殺し村を焼き尽くした。怪物はなぜ現れたのか? どうすれば倒すことができるのか? 怪物との戦いの陰で繰り広げられる愛憎劇、やがて明らかになる怪物誕生の意外な真相。そこに浮かび上がるのは、罪深い人間の業だった。ある宿命を背負った朱音あかね(内田有紀)たちと怪物との戦いの行方は――。

今回は、去年作家生活30周年を迎えた同作の原作者・宮部みゆきさんにインタビュー! 映像化された「怪物」の感想、そして出演者の皆さんへの思いを伺いました。

連載作品の中で一番反響があった作品です

──原作の制作期間はどのぐらいだったのですか?

新聞の連載として1年3か月ほどかけて書きました。その連載スタートの半年前から下準備をしていましたので、2年ぐらいかかったのではないでしょうか。資料として、特撮時代劇映画の『大魔神』や、昔の時代劇を見直したりしました。場所の設定は、連載前に旅行に行った遠野のイメージがあちこちに入っています。

──新聞の連載となると毎日ですよね……?

そうなんです。でもその期間はすごく楽しかったです。『この世界の片隅に』の漫画家・こうの史代さんが私の連載に絵を付けてくださっていたので、毎日宝箱を開けるような気持ちで紙面を拝見していました。

どのシーンを切り取って描いてくださっているのか、どういう意味のある絵になっているのかを見るのが楽しみで楽しみで。連載が終わるとなると寂しかったですね。新聞連載は数々やってきましたが、一番反響のあった作品でした。

──映像化のお話はいつぐらいからあったのですか?

NHKさんからお話をいただいたのは、2016年9月ごろ。ちょうど映画『シン・ゴジラ』が公開されているころで、「やっぱり“怪獣”ものきてるよ!」と追い風を感じました。

原作とはまた異なる「怪物」のおぞましさ

──実際ドラマをご覧になっていかがでしたか?

ドラマは、私の小説と大きく変えてあるんです。怪物の造形もそうですが、それぞれが出会う場面なども。それでも、原作の設定を生かしながら違う造形にしてくださり、それが非常におぞましくて怖かったので、なるほどと思いました。

物語は、東北の寒村から始まります。広々とした土地に怪物がいる様子は小説だけでは表しにくいので、田んぼの真ん中をノシノシと歩いて村に迫っていくところは、すごくかっこよかったです。ドローンで撮影したところもあって、朱音たちが怪物に襲われて必死で逃げるシーンも迫力ありましたね!

それにしても、特殊映像効果といえども怪物に踏みつぶされたり、丸飲みにされる人もいて、NHK的に放送して大丈夫なんだろうかと心配になりました(笑)。

物語は、朱音(内田有紀)の住む村に、ケガをした男の子が運び込まれるところから始まる

“聖母のような”内田有紀さんの朱音

──主人公・朱音はどうご覧になられましたか?

朱音は、美しく、賢く、優しい女性です。ある宿命を背負っていながらも、物語全体を救済する慈母のような人というキャラクターで小説を書きましたので、内田有紀さんには本当にその通りに演じていただいたと思っています。美しくて凛々りりしいし、クライマックスでは聖母のような微笑みを浮かべたり。ラストの展開もとてもすばらしかったです。

──朱音の兄で藩の重臣・曽谷弾正だんじょうは平 岳大さんが演じられました。

平さんは原作者の私から見ても、「悪い人~!」と思うぐらい弾正をしっかりとらえて演じてくださり、見ていてとっても楽しかったです。怪物の存在を知ったときに、ニヤッと笑うんですね。そこなんかはもう(笑)。

弾正は、領民たちに恐れられつつも尊敬されている人です。村の危機に弾正が登場すると、みなに「これで助けてもらえる」と思われるシーンは、やっぱり平さんにやっていただいてよかったなと思いました。

左が曽谷弾正を演じる平 岳大さん

──朱音が出会う人々についてはいかがですか?

平岡祐太さんが演じる榊田宗栄そうえいは、ひょうひょうとしていてつかみどころのない人。朱音にいつしか愛情を抱くようになっていって、最後はいいところをもっていく人ではありますが(笑)、110分でその変化を見せるのはすごく大変で、一番難しかったのではと思いました

柳沢慎吾さん演じる、絵師の菊地圓秀えんしゅうは、怪物騒動に巻き込まれていく人です。原作では“絵を描くことに夢中な子どもみたいな人”というキャラクターで書いたのですが、憎々しく演じていただいて、本当にあの柳沢慎吾さんが演じているのかなと思いました(笑)。

そして、怪物に襲われ仕返しの機会をうかがっていたところで朱音たちと出会う、鉄砲撃ちの源一を、大地康雄さんに演じていただきました。この“じっちゃ”が本当に頼りになるじっちゃなんですよ。物陰から身を潜めながらも怪物に近づいていくところは、すごくかっこいいのでぜひ見ていただきたいですね。

──執筆していて思い入れが強かった登場人物はいますか?

原作を書いているときは、絵師の圓秀にすごく思い入れがありました。彼は記録者としてどの場面にも関わっていくんです。私も記録する者の立場として小説を書くので、分身とまではいかないですけど圓秀がいちばん近いと思っていました。そして単行本にするときには、「圓秀のエンディングを付けよう」となり、その後のエピソードを書き足したというのも思い出深いです。

朱音を中心に、怪物討伐へと立ち向かう

私が考えたコピーが朱音のセリフに!

──最後に、メッセージをお願いします。

ドラマの序盤で、怪物の存在を知った朱音が、「山は飢え、怒っている」と言うセリフがあるんです。小説の中にはそのセリフはないのですが、それ実は、私が考えた単行本のコピーだったんです。脚本の山岡潤平さんがピックアップしてくれたのだと思いますが、そのセリフって、物語全体のテーマだったりするので、朱音も、弾正も、怪物も見どころなのですが、そこも注目していただけるとうれしいです。

スーパープレミアム スペシャルドラマ「荒神」

【放送予定】2月17日(土)[BSプレミアム]後9:00(単発・110分)

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