家族愛、そして人間愛がつまった感動作

プレイス・イン・ザ・ハート【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

3月13日(火)[BSプレミアム]後1:00

今回ご紹介するのは、アカデミー主演女優賞、脚本賞を受賞したヒューマンドラマ「プレイス・イン・ザ・ハート」(1984)です。

舞台は1930年代のテキサス

夫が突然亡くなってしまったエドナは、家に多額の借金があることを知ります。幼い子供たちとどう暮らしていけばよいのか、途方に暮れるエドナですが、綿花の栽培に詳しい黒人・モーゼス、同居人で目の不自由なウィルとともに、自分たちで生き抜くことを決断します…。

脚本・監督のロバート・ベントンは1932年テキサス生まれ。雑誌のアート・ディレクターなどを経たのち、映画に進み、「俺たちに明日はない」(1967)の脚本家として注目されました。「クレイマー、クレイマー」(1979)(15日放送)でアカデミー脚色賞・監督賞を受賞、この作品は男性が主人公ですが、自伝的要素を盛り込み、女性を主人公にしたのがこの映画です。

エドナを演じたサリー・フィールドは2度目のアカデミー主演女優賞を受賞、決して強い人間ではなく、不安を抱えながらも、家族を愛し、人を信じて困難に立ち向かっていく姿は、思わず応援したくなります。差別され、苦労したために心が歪んでしまい、それでも善良さを失わないモーゼスを演じるのはダニー・グローバー。心優しく、穏やかなウィルを演じたジョン・マルコヴィッチは、幅広いジャンルで国際的に活躍し、個性的な演技と存在感から「マルコヴィッチの穴」(1999)という映画までできてしまうほどの名優ですが、これが本格的な映画出演作、その繊細な演技は絶賛されました。

さらに、この映画での共演がきっかけで結婚したエド・ハリスとエイミー・マディガン、エドナの姉を演じ、アカデミー賞にノミネートされたリンゼイ・クローズ…、どの登場人物も、ベントン監督の深い人間洞察にもとづいた脚本と演出で描かれ、強く印象に残ります。

映像の美しさにもぜひ注目を

そして、名撮影監督ネストール・アルメンドロスの見事な映像。アルメンドロスは、自然の光をとらえ、リアリティーを感じさせながらも美しい映像を作り出す名手で、エリック・ロメール、フランソワ・トリュフォーなど、フランスのヌーベルバーグの映画作家たちの傑作を手がけ、そうした映画作家の作品を敬愛するベントン監督のパートナーとして、61歳で亡くなるまで5つの作品を担当しました。この作品でも、陽光に照らされた綿花畑、竜巻、そこに生きる人たちと暮らしを美しくとらえた映像は絶品です。

清廉な感動に包まれる傑作、ぜひご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「プレイス・イン・ザ・ハート」
3月13日(火)[BSプレミアム]後1:00〜2:52

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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