伝説のスナイパーの実話をC・イーストウッドが映画化

アメリカン・スナイパー【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

4月30日(月)[BSプレミアム]後9:00

アメリカ海軍の特殊部隊の狙撃手・クリス・カイル。イラク戦争で数々の戦果をあげ、仲間からは「レジェンド」と呼ばれ、敵からは「悪魔」と恐れられたカイルの壮絶な実話を映画化したのが「アメリカン・スナイパー」(2014)です。

英雄と呼ばれた人間の実像に迫る、イーストウッド監督の傑作

製作・監督はクリント・イーストウッド。監督デビュー作「恐怖のメロディ」(1971)から40年以上にわたって数々の傑作を発表し、「許されざる者」(1992)、「ミリオンダラー・ベイビー」(2004)で2度のアカデミー作品賞・監督賞を受賞、今年5月で88歳になりますが、精力的に映画を作り続け、最新作「15時17分、パリ行き」(2018)でも、自らの映画表現を深化させ、映画の在り方を追求しつづけている世界最高の映画作家の一人です。監督37本目、この映画は、自身の監督作最大のヒットとなりました。

天才ジャズミュージシャン、チャーリー・パーカーを描いた「バード」(1988)以降、アメリカ南部の観光地の不思議な事件を扱った「真夜中のサバナ」(1997)、太平洋戦争の激戦の2部作「父親たちの星条旗」・「硫黄島からの手紙」(2006)、少年の失踪事件を映画化した「チェンジリング」(2008)、南アフリカのネルソン・マンデラ大統領が主人公の「インビクタス/負けざる者たち」(2009)、FBI長官だった権力者に迫った「J・エドガー」(2011)、伝説のポップ・グループの物語「ジャージー・ボーイズ」(2014)、ベテラン機長の決断と行動を描く「ハドソン川の奇跡」(2016)、そして最新作と、実話が題材の映画を次々製作しているイーストウッド監督、ここ最近は、英雄と呼ばれた人間たちの実像に迫る作品が続いています。この作品でも、祖国を、仲間を守りたいと激烈な戦闘に赴き、次々に戦果をあげながらも、次第に心を病んでいくカイルに、映画ならではの表現で迫っていきます。

主演はブラッドリー・クーパー。テレビドラマや、コメディー「ハングオーバー」シリーズなどで注目されていましたが、この映画では、製作にも参加、過酷なトレーニングを積み、苦悩し葛藤するカイルを熱演し、アカデミー主演男優賞にノミネートされました。

この映画では、音楽がほとんど使われていませんが、エンド・クレジットでは、イーストウッドの出世作「荒野の用心棒」(1964)をはじめとするマカロニ・ウエスタンや、数々の傑作・名作の音楽をてがけ、互いに深く尊敬しあっているイタリアの名作曲家・エンニオ・モリコーネの名曲、美しいトランペットが響きます。

英雄とは、そして戦争とは。深い感動に包まれるイーストウッド監督の傑作、最後まで、じっくりご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「アメリカン・スナイパー」
4月30日(月)[BSプレミアム]後9:00〜11:14

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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