吉之助の成長を目の当たりにしてグッときた

大河ドラマ「西郷(せご)どん」

吉之助に命を預け、共に薩摩へ向かった月照。月照を演じる尾上菊之助さんに、舞台とは違う映像作品の現場についてなどのお話を伺いました。

はかない命を尊ぶ、謎めいた僧。

月照さんは京都・清水寺の成就院のご住職だったということで、浅からぬご縁を感じるところがあります。というのも、私どもの屋号「音羽屋」は、清水寺にある音羽の滝を由縁とするからです。

月照さんは実際に紫の衣をよく好んで着られていたそうで、今回の衣装も、やや濃いめの紫の衣を選ばせてもらいました。そこに、格式ある金の袈裟けさを掛けています。美しい僧侶というイメージが強い方ですが、「忍鎧にんがい」という勇ましい名をお持ちでもあったそうで、謎に包まれた素顔をますます知りたくなります。

ふうっと風が吹いて現れるドラマの登場シーンでは、葉を歩くカタツムリを見てふと歌を詠じるような、非常にみやびやかな人です。そんな小さな命にも尊さを感じる月照さんの憂いと、西郷さんのこの国を思う情熱が、自然と合わさって同じ方向を向いていくのだろうと思います。

この現場は、とてつもなく「熱い」のです。

舞台と映像のお芝居はやはり違うので、いつも発声ひとつにも気を配るのですが、今回は細かな部分ばかりにとらわれない自分がいました。
それは、鈴木亮平さんの作り出す現場の雰囲気ゆえかもしれません。

とにかく、この現場は刺激的でした。ひと場面ひと場面、演出家や出演者も一緒になって、「もっとこうしたらよくなるんじゃないか」とディスカッションを重ねて作り出している。熱い思いと信頼関係に満ちあふれた現場だったので、自然とそこに乗っていけたような気がしました。

殿の死を知った瞬間に、西郷さんの成長を目撃した気がします。

歌舞伎には「西郷と豚姫」という演目があります。豚姫とは、近藤春菜さん演じるお虎さんです。ちなみに、お虎さんとのシーンのとき、鈴木さんと近藤さんが並んでモニターの映像をチェックしていて、「あれ、熊吉?」「……熊吉じゃねぇよ!」というやりとりを生で聞けて大爆笑しました。
※熊吉…塚地武雅さんが演じている西郷家の使用人

余談はさておき、実際に演じているなかで心奪われたのは、殿の死を知った西郷さんが、弔い合戦だと血気にはやる仲間を制し、「そげんこつ、どうでもよか」と言い放つ瞬間です。青春期の吉之助から成長した瞬間を目撃したようで、グッとくるものがありました。

この時に西郷さんの決意を強く感じ、いっそう信頼関係が深まっていき、やがて、あの入水事件へと向かっていくことになるんだろうと思います。

2018年(平成30年)大河ドラマ「西郷せごどん」

【放送予定】毎週日曜[総合]後8:00 /[BSプレミアム]後6:00

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