アカデミー脚色賞など3部門を受賞した文芸ドラマ

眺めのいい部屋【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

5月18日(金)[BSプレミアム]後1:00

舞台は20世紀のはじめ。イギリス人の令嬢・ルーシーは、旅先のフィレンツェで慣習にとらわれない青年ジョージと出会い、淡い思いを抱きます。ルーシーはイギリスに戻り、良家の青年セシルと婚約しますが、ジョージと再会し、心が揺れ動きます…。
今回ご紹介するのは、文芸ロマンス「眺めのいい部屋」(1985)です。

J・アイボリーがE・M・フォースターの小説を映画化!

ルーシーを演じるのはヘレナ・ボナム・カーター。可憐かれんな少女が、愛に目覚め、成長していくまでを見事に演じています。撮影当時10代、この作品で注目されたカーターは、最近では「アリス・イン・ワンダーランド」(2010)で赤の女王を演じるなど、幅広く活躍しています。セシルを演じたダニエル・デイ・ルイスも、この作品でスターとなりました。徹底したリサーチをもとに全身全霊でキャラクターに没頭するデイ・ルイスの演技は高く評価され、歴代最多、3度のアカデミー主演男優賞に輝いています。最新作「ファントム・スレッド」(2017)も絶賛されていますが、引退を宣言し、多くの人から惜しむ声があがっています。

登場人物の複雑な心理を、端正な映像美で描いたのは、文芸ドラマを得意とする、強い絆で結ばれた3人のチームです。

監督のジェームズ・アイボリーは1928年、カリフォルニア生まれ。大学卒業後、ニューヨークに留学していたインド人・イスマイル・マーチャントと意気投合し、製作会社を設立、公私にわたるパートナーとなります。2人はインドで映画を製作するようになり、そこで出会ったのが、ドイツ生まれの女性作家で、当時インドで執筆していたルース・プローワー・ジャブバーラでした。
3人は、ジャブバーラの作品や、ヘンリー・ジェイムズ、ジェーン・オースティンといった作家の小説を映画化し、20世紀を代表するイギリスの作家、E・M・フォースター原作のこの作品が、世界的なヒット作となりました。そして、引き続きフォースターの小説「モーリス」(1987)、「ハワーズ・エンド」(1992)、去年ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロの「日の名残り」(1993)など、格調高い作品を次々に発表しました。
マーチャントは2005年、ジャブバーラも5年前に亡くなりましたが、アイボリー監督は健在で、89歳の今年、製作・脚色をてがけた「君の名前で僕を呼んで」(2017)で、歴代最高齢、初のアカデミー脚色賞を受賞しました。

アカデミー脚色賞、美術賞、衣装デザイン賞受賞、プッチーニはじめクラシックの名曲も印象的な文芸ドラマをご堪能ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「眺めのいい部屋」
5月18日(金)[BSプレミアム]後1:00〜2:58

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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