小さな手でおしゃべりする子どもたち

ETV特集「静かで、にぎやかな世界 ~手話で生きる子どもたち~」

5月26日(土)[Eテレ]後11:00〜11:59

この学校には静かで、にぎやかな世界が広がっている

子どもたちが目をキラキラさせながら、“手話”で国語の教科書に載っている「春のうた」を朗読する。声はない。でも、子どもたちの“静かで豊かな朗読”を見ていると、早春の爽やかな風が頬をなで、せせらぎの水音が響きわたり、いぬのふぐりのちっちゃな花々が目の前に咲き乱れる。

東京・品川にある明晴学園の教室。幼稚部から中学部まで、耳が聞こえない“ろう”の子どもたち57人が学んでいます。学校はいつも静かで、にぎやか。全国のろう学校では長年、聞こえる人が大半の社会に適応するための教育が重視されてきましたが、この学校が大切にするのは、ろうの子どもたちが聞こえないというマイナスの存在ではなく、耳が聞こえる“聴”の人とは異なる世界を生きている、ということ。聞こえないことを当たり前の状態として受け止め、「目の子ども」として育んでいるのです。授業はすべて、ろう者独自の手話で行われます。

そんな子どもたちも、いずれ学校を巣立っていきます。“ろう”として生きる力を培った子どもたちに対して、社会はちゃんと受け入れる姿勢を持てているか。子どもたちの言葉が問いかけます。番組では、明晴学園の子どもたちと、卒業生の日々をドキュメントします。

【番組プロデューサーより】
子どもの育ちに必要なことって……?

初めてこの学校の子どもたちを見たときに、考えさせられたこと。それは、子どもの育ちに必要なことってなんだろう…ということでした。

明晴学園の子どもたちは、実に生き生きとしています。音がない、という意味では校内は静か。でも、子どもたちは小さな手で、たくさんの言葉を紡いでいて、とってもにぎやかです。

実は、60年以上もの間、多くのろう学校では手話が禁止されてきました。“聴者”が大多数の社会に出た時に困らないように、と力を入れてきたのは発音練習や、口の形を読み取る訓練。でも、音を聞いたことのない子どもが、口の形を見て、言葉を習得するのは簡単なことではありません。

一方、教育特区に認められ、10年前に誕生した明晴学園では、全ての授業をろう者が昔から使ってきた“日本手話”で行うなど、独自の教育を実践しています。日本手話は、文法も日本語とは全く違う別の言語。子どもたちは“手話”という言葉を身につけ、その言葉をつかって思いを伝え、対話し、学びを深めています。そして「ろうである自分のことが好き」とも言っていました。

僕たちの言葉は手話
手話が通じ合うからこその白熱議論

自分たちが思いのままに話せて、通じ合える手話と共に、子どもたちは、“ろう”のまま、自分らしさを大切にしながら育っていきます。子どもたち同士で“忘れ物をどうなくすか”白熱議論したり、先生に隠れて内緒話をしたり…いわば、あたりまえに、普通に学校生活を送っています。そして、自分たちの未来について考え、社会へと一歩踏み出していくのです。

“聴者”が話す音声言語はほとんどでてこない60分ですが、あえて“静かで、にぎやかな世界”を楽しんでいただくために、ノーナレーションとしました! ぜひ、お楽しみください!

ETV特集「静かで、にぎやかな世界 ~手話で生きる子どもたち~」

【放送予定】5月26日(土)Eテレ後11:00〜11:59

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