“朝花節” に込められた、言葉にならないほどの愛。

大河ドラマ「西郷(せご)どん」

愛加那と幸せに暮らしていた吉之助に突然下された薩摩への召還命令。別れのシーンに秘められた二人の思いを、愛加那 役の二階堂ふみさん、吉之助 役の鈴木亮平さんに聞きました。

ただ伝えたかったのは、「愛しています」ということ。

愛加那 役・二階堂ふみさん

第21回「別れの唄」(6月3日放送)には、目をそらしていた不安がのど元まであふれてきて、必死に現実逃避しようとする愛加那さんがいました。旦那さまをふと見た時、「侍の顔」になっている瞬間がたくさんあるんです。その知らない顔を見るたびに、体の中から弱さがあふれてくる感覚でした。

愛加那さんが海へと駆け込むシーンは、その思いがもう抱えきれなくなって、衝動的に逃げたんだと思います。海の中から愛加那さんが見ぬ向こうの世界を眺めたとき、何か感じる思いとともにようやくわれが戻ってきて、感情を振りしぼったシーンです。だけど、感情はとてもうまく言葉にできなくて、(吉之助と愛加那の長男・菊次郎が誕生した時にも歌った)「朝花節あさばなぶし」を歌う。「あなたの先々にいいことがありますように」という歌です。

伝えたかったのは、「あなたを愛しています」ということでした。どうあがいたって別れなくてはいけない状況の中で、やっぱりこの人を愛しているから、幸せを願いたい。旦那さまにも歌ってほしいと促したのは、「あなたも泣いてちゃいけない」っていう思いだったのかもしれません。ここは女性の強さなのかなと思います。

あの時間は、今でも思い出しただけで、涙が出そうになりますね。

決してきれいごとではない、「葛藤」に向き合った時間でした。

吉之助 役・鈴木亮平さん

一蔵どん(大久保一蔵/瑛太)から「西郷吉之助がおらんにゃいかんとじゃ!」と言われて、武士としての責任感をどんと思いださせられた感覚でした。「この世で自分にやるべきことがあるなら成し遂げたい」と、どうしても思ってしまうんですよね。

そして、殿の短刀を見たとき、「命はひとつじゃ」という殿の言葉を思い出す。それが“人生は一度きりなんだ”と響いてきて、自分の命をここで終わらせていいのか?という念に襲われました。

正直、使命感や責任感だけじゃなく、男としての自己顕示欲もあると思います。武士として、父親として、男としての吉之助さんの葛藤を、僕は美化せずにちゃんと表現したいと思いました。感情を描くことが「西郷どん」の大きなテーマだからです。

海での愛加那さんとのシーンは、二階堂ふみさんからの提案もあって、「朝花節」の島唄が取り入れられました。本番では、僕の背中をたたいて愛加那さんが歌い出したんですよね。妻子を置いていこうとする僕に対して、相手の幸せを願う歌を贈ってくれるその思いに、ひと色じゃない感情があふれてきて……。決してきれいごとではなく、どうしていいか分からない、切なさがあふれ出しました。

朝花節あさばなぶし
きゃが 先々(あなたの未来に)
果報かふなくとぅ(幸せなことが)
あらしたぼれ(ありますように)

2018年(平成30年)大河ドラマ「西郷せごどん」

【放送予定】毎週日曜[総合]後8:00 /[BSプレミアム]後6:00

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