吉之助がいなくなる切なさは、島の民もみな同じ

大河ドラマ「西郷(せご)どん」

吉之助と愛加那を見守り続けてきた、ふたりの“家族”たち。演じる皆さんに、それぞれの思いを伺いました。

島の言葉だから、伝わる思いがある。

龍 佐民 役・柄本 明さん

この時代の島民は、本当に大変だったと思いますね。富堅や愛加那が思うように、佐民だって薩摩に対する恨みはあるでしょうが、全面に出してしまうと負け戦になりますからね。島民のリーダーとして、みんなが生き延びるための選択をしているのでしょう。(佐民は)きれいな格好をしていますが、いろいろな苦労をなさったんじゃないですかね。

そんな中で、薩摩からやってきた西郷さんという人の本質は、わりと早い段階から気づいていたんじゃないかと思いますね。亮平くんは目を見て言葉のやりとりをする人だから、とてもいいですよ。あの体のデカさもね(笑)。

愛加那というのは、一途いちずな思いを貫く女性で、それを演じる二階堂ふみさんは感情をぶつけてきます。火のような表現が、役に似合ってますね。

この島の言葉は分かりにくいかもしれませんが、私は、分からないことも重要じゃないかと思いますね。何て言ってるんだろう、ということから広がることってありますでしょう? この島の風土に育った言葉で演じることが、私はとても好きですよ。

ふみさんを抱きしめて、ただ泣きました。

石千代金 役・木内みどりさん

この時代、理不尽でどうにもならないことがいっぱいあって、島の女性はそれを日常的に見てきたと思うんですよ。そんな中で西郷さんという人がやってきて、最初はまったく信用してないんだけど、島のために変革をしてくれたことや、愛加那と一緒になるという覚悟の過程を見てきたから、それは感謝の思いですよね。

だけど、やっぱり愛加那を捨ててでも薩摩へ帰ることになるのは、時代なんだと思います。彼の旅立ちを見送るシーンの時、愛加那がひとり静かに泣いている姿は、そばにいて胸が熱くなりました。カットの声がかかっても、ふみさんの涙がずっと止まらないんですよ。

あの日は海風が冷たかったから、私の服で彼女を包んであげていたら、思わず私まで泣けてきちゃってね。「この時代、女はつらい目にあったよね。そんなつらさや悲しみが、あなたのところに出てきちゃったんだよね」って言いながら、ふたりで抱き合って泣きました。

妹の旦那であり、友人を見送る切なさ。

富堅 役・高橋 努さん

シマンチュの立場からすれば、大きな使命を背負っている吉之助という男は、どこかかわいそうに見えました。生活は苦しくても、みんなで働いて飲んで歌って…という幸せをシマンチュは知っている。吉之助の人間性からすればその喜びが分かるだろうに、時代がそうさせてくれない不幸を、僕は感じました。薩摩に帰る吉之助を見送るシーンは悲しかったですね。リハーサルから本番まで、僕は涙が止まりませんでした。

富堅も、ものすごく傷ついていますよね。吉之助が一番つらいことは、友人としても同じ男としても分かっているし、唯一、血のつながった妹への思いは誰よりも強いわけで。

思い出すのは、愛加那に子どもが産まれた直後のシーンです。あれは吉之助が泣くシーンなんですけど、僕まで号泣しちゃったんですよね(苦笑)。だけど撮影後にモニターを見ると、すごく家族感があっていいなぁと思いました。

だからこそ、菊太郎じゃなく菊次郎と名づけるシーンは、愛加那の気持ちを思うと切なくてしかたがない。とても三味線で「朝花節あさばなぶし」を弾く気がおこらなくって、でもそんな富堅を奥さん・里千代金がうまく促してくれる、家族愛のあるシーンになったと思います。

島唄「行きゅんにゃ加那」がすべてを語ります。

里千代金 役・里アンナさん

里千代金として感じていたのは、血のつながった兄弟である富堅さんと愛加那さんの絆の強さ。とにかく妹を思う富堅さんを尊敬しながら、奥さんとしてはちょっぴりうらやましい気持ちでした。

子どもに菊次郎と名づけるシーンでは、三味線を弾く富堅さんが「とても祝う気分になれない」っておっしゃっていて。そうだろうなって思いつつ、ちょっとでも勇気づけたくて、自然に旦那さまの足に手を置いちゃいました。そうして彼がぽつぽつと響かせる音色に、何とも言えない思いでした。

西郷さんを見送るシーンで歌ったのは、「行きゅんにゃ加那」という島唄です。「お役目を果たしたら戻ってきてください」という2番の歌詞はドラマのオリジナルなのですが、愛加那さんの心情にぴったりですよね。義理の姉として、とても胸が苦しかったです。

私は3歳の頃から祖父に教わってきた島唄なのですが、こうやって人の心によって歌い継がれてきたんだなと改めて実感する思いです。

「行きゅんにゃ加那」
行きゅんにゃ加那(あなたは行ってしまうのですね)
きゃくとぅ忘れて(私のことを忘れて)
行きゅんにゃ加那(あなたは去っていくのですね)
出発うたち出発うたちゃが(離れてみると)
スラー 行き苦しゃ(心が苦しいのです)

むどぅてぃもれ(戻ってきてください)
お役目果たせば(お役目を果たしたなら)
むどぅてぃもれ(戻ってきてください)
妻子とぅじくわぁむとぅちゃ(妻子のもとに)
むどぅてぃもれ(戻ってきてください)
スラー むどぅてぃもれ(戻ってきてください)

2018年(平成30年)大河ドラマ「西郷せごどん」

【放送予定】毎週日曜[総合]後8:00 /[BSプレミアム]後6:00

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