チャールトン・ヘストン演じる刑事が
合成食品の秘密に迫る!

ソイレント・グリーン【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

7月11日(水)[BSプレミアム]後1:00

2022年、人口増加と大気汚染によって深刻な食糧危機に陥ったニューヨーク。貧富の差が広がり、貧しい人たちは大企業が作った合成食品で飢えを満たしていました。そんななか、殺人事件を捜査していた刑事ソーンは、合成食品の秘密を知ってしまいます。その秘密とは…。
今回ご紹介するのはSF映画「ソイレント・グリーン」(1973)です。

“渋いバイプレーヤー” エドワード・G・ロビンソンの遺作

SF作家・ハリー・ハリソンの小説を映画化したのはリチャード・フライシャー監督。
1940年代から映画監督となり、特撮を駆使した大作「海底2万マイル」(1954)で注目され、犯罪映画、西部劇、戦争映画、ミュージカルと、多彩なジャンルの作品を発表しました。的確で絶妙な構図のショットと見事な編集で、映像で物語を語る天才だったフライシャー監督は、この映画では、名コンビの撮影監督・リチャード・H・クラインとともに、フィルム・ノワールのような陰影に富んだ映像で、陰うつな未来社会を作りあげました。

ソーンを演じるのはチャールトン・ヘストン。精かんで大柄な体格と高い演技力で、史劇「ベン・ハー」(1959)、西部劇「ダンディー少佐」(1964)、ノワール「黒い罠」(1958)、そして、「猿の惑星」(1968)をはじめ数々のSFにも出演した、アメリカ映画を代表する大スターです。

ソーンの父親のような存在の老人・ソルを演じたのはエドワード・G・ロビンソン。1893年、ルーマニアのブカレストで生まれたロビンソンは、10歳のときに家族でアメリカに渡り、演技を学んだ後、舞台や映画に出演するようになりました。30代後半で主演した「犯罪王リコ」(1930)で一躍注目され、ギャング映画やフィルム・ノワールで強烈な個性を発揮、とりわけ悪役で広く知られるようになりました。美術や文学に造詣が深い教養人だったロビンソンは、50年代の赤狩りのため、不遇だった時期もありましたが、60年代以降は「明日になれば他人」(1962)など、渋いバイプレーヤーとして活躍してきました。
フライシャー監督によると、ロビンソンは、この映画のテーマに深く共感し、出演を切望しましたが、撮影中、ほとんど耳が聞こえず、これが最後の映画だと感じていたということです。心優しく、知識と教養にあふれた老賢者・ソルは、演技をこえて、名優ロビンソン本人のようにも感じられます。撮影終了後、ロビンソンは79歳でこの世を去りました。

ベートーベンの「田園」など、クラシックの名曲も印象的です。悪夢のような未来社会。衝撃のラストまで、じっくりご覧ください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「ソイレント・グリーン」
7月11日(水)[BSプレミアム]後1:00〜2:38

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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