2年半で94人の男を殺害する奇妙な計画とは…

ブラジルから来た少年【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

8月17日(金)[BSプレミアム]後1:00

ナチス・ドイツの残党・メンゲレ博士は、潜伏先の南米に同志を集め、2年半で94人の男を殺害する計画を企てます。ナチス再興をもくろむ恐るべき計画とは…。今回ご紹介するのは「ブラジルから来た少年」(1978)です。

俳優たちの演技への飽くなき情熱

メンゲレ博士を演じるのは、名優グレゴリー・ペック。アカデミー主演男優賞を受賞した「アラバマ物語」(1962)や「ローマの休日」(1953)をはじめ、知的で清廉な紳士というイメージが浮かびますが、この作品では狂気の男を熱演、強烈な存在感を放っています。メンゲレ博士の計画を阻止しようとするリーベルマンを演じるのは、ローレンス・オリビエ。数々のシェークスピア劇、映画・舞台で活躍したイギリスを代表する名優です。オリビエは、この映画の前に出演した「マラソンマン」(1976)では、まったく逆のキャラクター、メンゲレのようなナチスの残党を演じており、ペックからもオリビエからも、どんなキャラクターでも演じる、という演技への飽くなき情熱を感じます。

物語の世界に引きこまれてしまうハラハラドキドキの展開

原作はアメリカの小説家・劇作家のアイラ・レヴィンの小説。寡作だったレヴィンですが、「死の接吻」、「ローズマリーの赤ちゃん」、「ステップフォードの妻たち」など、その多くが映画化されています。読みだしたら止まらない、気がついたら朝だった、という“ページターナー”の最高峰の一人とされ、卓抜なアイデアとプロット、精緻な文章は、スティーブン・キングをはじめ、多くの作家から尊敬されています。 この物語はまったくのフィクションですが、メンゲレ博士は実在の人物で、リーベルマンも、世界中に逃亡したナチス・ドイツの戦犯を追跡するナチ・ハンターとして活動した実在の人物、サイモン・ヴィーゼンタールがモデルとなっています。荒唐無稽でありえない、と思いながらも、物語の世界に引きこまれてしまうハラハラドキドキの展開は、まさにレヴィンならではの魅力だと思います。

「猿の惑星」(1968)「パットン大戦車軍団」(1970)などで知られるフランクリン・J・シャフナー監督は、名優たちの名演技をじっくりみせながら、緊張感あふれる演出でこの作品を作りあげました。

音楽は、ジェリー・ゴールドスミス。数々の傑作をてがけた映画音楽界の巨匠です。アクション映画やサスペンス映画を得意とし、シャフナー監督の作品をはじめ、名スコアを作曲しましたが、この作品でも、抜群の音楽で映画を盛りあげています。

サスペンス・スリラーの名作、じっくりお楽しみください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「ブラジルから来た少年」
8月17日(金)[BSプレミアム]後1:00~3:06

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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