カンヌ映画祭男優賞を受賞!
ジャック・ニコルソンの名演技が光る!

さらば冬のかもめ【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

8月29日(水)[BSプレミアム]後1:00

窃盗で8年の刑となった水兵を刑務所に護送する任務を命じられた海軍兵のバダスキーとマルホール。旅をするうち、2人は水兵のメドウズが、まだ若く純真なことを知り、人生の楽しみを教えてやろうとしますが…。
今回ご紹介するのは、70年代のアメリカ映画を代表するヒューマンドラマの名作「さらば冬のかもめ」(1973)です。

実は“当て書き”!? ジャック・ニコルソンのはまり役!

主演は当時30代半ばのジャック・ニコルソン。じょうぜつで血気にあふれ、人情味あるバダスキーはニコルソンにピッタリで、カンヌ映画祭で男優賞を受賞、アカデミー賞にもノミネートされ、その演技が絶賛されました。メドウズを演じたランディ・クエイドも、この作品でアカデミー賞にノミネートされ、注目を集めました。

映画脚本もてがける作家・ダリル・ポニクサンの小説を脚本化したのはロバート・タウン。「チャイナタウン」(1974)のオリジナル脚本でアカデミー賞を受賞、クレジットはされないものの、脚本をブラッシュアップする“スクリプト・ドクター”として「俺たちに明日はない」(1967)や「ゴッドファーザー」(1972)に参加するなど、名シナリオライターとして知られています。ニコルソンとは古くからの友人で、ニコルソンを念頭に置いてバダスキーを作りあげたということです。

はみ出し者たちに寄り添う演出をてがけたのはハル・アシュビー。1929年生まれで、編集者として「夜の大捜査線」(1967)でアカデミー賞を受賞、監督となってからは「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」(1971)「シャンプー」(1975)「ウディ・ガスリー わが心のふるさと」(1976)「チャンス」(1979)といった、ユーモアとペーソスにあふれた傑作を次々発表しました。長髪にヒゲをたくわえ、一貫して反権力の姿勢を貫いたアシュビー監督は、ドラッグなどの問題を抱え、59歳の若さで亡くなりましたが、その作品は今も高く評価されています。

照明を抑え、粒子の粗いドキュメンタリーのような映像で、てつく寒さを見事に表現したのは、この作品がデビュー作となった名手マイケル・チャップマン。その後はM・スコセッシ監督やP・カウフマン監督の名作もてがけています。

アシュビー監督は酒場の客として、チャップマンはタクシー運転手として、チラッと出演していますので、ご注目ください。

この作品を敬愛するリチャード・リンクレイター監督は、同じ原作者の小説を映画化し、今年「30年後の同窓会」を発表しました。多くの映画作家からも愛される傑作ロードムービーをお楽しみください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「さらば冬のかもめ」
8月29日(水)[BSプレミアム]後1:00〜2:45

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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