運命的な出会いをした2人の恋の逃避行
一獲千金を夢見てロスに向かうが⋯

トゥルー・ロマンス ディレクターズカット版【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

9月8日(土)[BSプレミアム]前0:15(金曜深夜)

デトロイトのコミックブック店で働き、映画が大好きなクラレンスは、誕生日の夜に出会ったアラバマと激しい恋に落ち、翌日結婚します。ひょんなことから大量のドラッグを手に入れた2人は、マフィア・警察に追われながらも一獲千金を夢見てロスに向かいますが…。
今回ご紹介するのは「トゥルー・ロマンス」(1993)です。

クエンティン・タランティーノ×トニー・スコットの傑作クライムアクション!

オリジナル脚本はクエンティン・タランティーノ。少年時代から映画漬けの日々を送り、古今東西の映画に精通、「パルプ・フィクション」(1994)「キル・ビル」(2003)など、独特のバイオレンス描写やユーモア、ユニークなキャラクター、そして映画愛に満ちた作品は、多くのファンを獲得しています。千葉真一さんのアクション映画が大好きというクラレンスには、タランティーノ自身が反映されています。チャーミングで男気あるアラバマを演じるパトリシア・アークエットは、この映画で世界的に注目されました。共演はブラッド・ピット、デニス・ホッパー、ゲイリー・オールドマン、クリストファー・ウォーケンといった豪華スターたち。タランティーノが作りあげる、じょうぜつなキャラクターと、生き生きとしたダイアローグは、俳優にとって魅力的なのだと思います。

監督はトニー・スコット。お兄さんのリドリーは「エイリアン」(1979)「グラディエーター」(2000)などの名監督です。リドリーと同じロイヤル・カレッジ・オブ・アートで絵画を学んだトニーは、兄とともに数々のCMを製作したのち映画監督となり、大ヒット作「トップガン」(1986)で世界的に知られるようになりました。スピーディーで前衛的とも思えるほど短いカットを目まぐるしいほど重ねたかと思うと、ロングショットをじっくり見せる編集、魔法のように流麗で、映像のスピードを自在に変えるカメラワーク、明暗をきかせたライティングと、スタイリッシュでありながら、卓抜な物語展開と、俳優の個性を生かし、登場人物を強烈に印象づける演出で、「スパイ・ゲーム」(2001)「マイ・ボディガード」(2004)「デジャヴ」(2006)など、数々の傑作を作り、68歳の若さで亡くなりました。アートフィルムのような手法でありながら、多くの観客を魅了するエンターテインメント大作を作り続けたトニーの才能は、誰にも真似まねのできない、傑出したものだと思います。

この作品でも、まるで共犯者になったように、逃避行を続けるカップルに感情移入させる抜群の演出を見せています。90年代を代表する傑作クライム・アクションをお楽しみください。

【放送日時】
プレミアムシネマ「トゥルー・ロマンス ディレクターズカット版」
9月8日(土)[BSプレミアム]前0:15〜2:17(金曜深夜)

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坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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