まるで浮いてる! 圧倒的な透明度の川が日本にあった

見えないものが見える川 奇跡の清流 銚子川

11月11日(日)[総合]後9:00
【再放送】11月14日(水)[総合]前0:40 ※火曜深夜

見えないものが見える川──

そんなふうに専門家たちから呼ばれる川が三重県南部に流れていることを、みなさんはご存じでしょうか?

奇跡の透明度を誇るその美しい川は「銚子川(ちょうしがわ)」といいます。

河口でも20メートル先まで見通せるほど透き通っており、普通の川では濁って見ることのできない現象や、生き物たちの生態を手に取るように見ることができます。そんな銚子川に迫る番組、NHKスペシャル「見えないものが見える川 奇跡の清流 銚子川」が放送されます。

どれほど美しく、どんな映像が撮れたのか。遠山哲也プロデューサーに、お話を聞いてきました!

 透明だから見られる、川の本当の姿を!

──「見えないものが見える川」というタイトルがなんだか意味深です!
一体、何が見えるのでしょうか? タイトルに込めた思いとは?

銚子川は全長約17キロという短さながら、以前から専門家や自然が好きな人たちの中で“水のきれいな川”として知られていました。特徴はとにかく透明度が際立っていること。「清流」と呼ばれる川の上流はどこも透明度が高いのですが、銚子川は河口まで上流と同じ透明度を保ち、海へ注がれています。つまり、普通の川でも起きているかもしれないけれど水の濁りで見えない現象が、この川では見えてしまうのです。これは全国規模で探しても珍しいこと。そこで「見えないものが見える川」という番組タイトルをつけました。透明だからこそ見られる、川の本当の姿をお届けしたいという思いが企画の出発点です。

──銚子川での撮影はどのように行ったのですか?

撮影は約1年間で、春・夏・秋・冬でそれぞれ10日~2週間程度、銚子川の姿をカメラに収めています。透明度を伝えるには潜水の撮影も非常に重要になるため、NHKの潜水専門カメラマンにも協力を依頼。さらに、この銚子川を知り尽くしているガイドさんにも付いてもらい、津局の陸上撮影班とあわせて10人前後のチームで動いていましたね。

水深は比較的浅いところが多く、深いところでも6、7メートルでしょうか。僕は銚子川でカヌーに乗ったんですが、もう、めちゃくちゃにきれいでした。不純物が少なく、言葉では言い表せない川本来の美しさが広がっていたんです。でも、カヌーに乗って浮かんでいるとき“高度感”があって、ちょっと怖くて…(笑)。透明度が高い分、川底まで何の濁りもなく透き通って見えて、底がかなり下にあるように感じるんですよ。だからすごく高いところにいるような不思議な気分を味わいました。

 銚子川ならではの現象

──通称“ゆらゆら帯”という現象も撮影されたと伺いました。それは一体なんですか?

“ゆらゆら”の正体は、簡単にいうと海と川の境界線です。満ち潮になると、まるでガムシロップが攻めてくるように、海水が川底を伝ってそろそろとあがってきます。他の川でも同じ現象が起こっているはずですが、水が濁っていて見づらくなっているようです。一方、銚子川でははっきり確認することができます。「海の中では満ち潮ってこうなっているんだ」というのを、ぜひご覧ください。

“ゆらゆら帯”は上が川の水、下が海水です。映像でゆらゆら揺れているのがみてとれます。

──1年間に及ぶ撮影で苦労したことは?

自然が相手なので事前に打ち合わせはしていても、その生き物が本当にそこにいるのか、その現象がちゃんと起こるのか、誰にもわからないわけです。そこは苦労しました。

例えば、アユ。“アユ待ち”が長かったんですよ(笑)。清流の代表的な魚と思いきや、一番撮るのが難しかったですね。去年は台風襲来時にアユの産卵時期が重なり、アユがザーっと流されてしまいました。銚子川では河口のほうにもアユがたむろしているですが、みんないなくなってしまって。そうなると、やや上流寄りの隠れやすい場所にいるアユたちが産卵場所まで下ってくるのを待たなければなりません。通常より1か月、2か月ぐらいは産卵のタイミングがずれたかと思います。

──撮影中に、感動したことはありましたかか?

実はその台風が、予想もしていなかったすばらしい銚子川の姿を見せてくれました。先ほどアユが流された話をしましたが、それは水量が増えて水の力が増すからです。つまり、石についたコケや汚れも、全部流してくれるんですよね。だから台風通過後の川は、ピカピカで一番美しい状態に! まるで潤んだような美しさをたたえた銚子川の様子が、この番組のエンディングになっています。水と陸地の境目がわからないぐらい、透明感あふれる川の姿は必見です。

 4Kカメラで撮影した、最高峰の美しさをお届けします

──アユのほかにも、生きものがたくさん住んでいるんですよね?

はい。今回、撮影の最中に新種の生きものも見つけました。銚子川は伏流水(川底の下にある、地下水の流れ)が豊富で、そのなかの石や砂のあいだに、ちっちゃい生き物が住んでいます。その子たちは生き物の死骸など汚れのもとになる有機物を食べ、銚子川の浄化作用にも一役買っていて。そこに住んでいた小さなエビを専門家の方に見ていただいたら「見たことのない変わった形ですね」という言葉が! そこできちんと専門機関でDNAを調べたところ、新種ということが発覚。「チョウシガワメリタヨコエビ」という名前がつきました。

また、「ウナギ」って僕ら素人には珍しくない生き物だと思うんですけど、自然界で泳いでいるうなぎの姿はなかなか撮れないらしいんです。今回はそんな天然のウナギが泳ぎ、しかも捕食シーンの撮影にも成功しました。専門家の方々も「“神映像”が撮れた」とよろこんでくださっています。

(左)この小さな生き物が、新種「チョウシガワメリタヨコエビ」。
(右)銚子川に生息しているうなぎ。正面から見るとこんな顔をしています。

──最後にみどころを教えてください!

日本にはまだこんなふうに手つかずのすばらしい自然が残っていることを改めて感じられる番組作りを心がけました。川のイメージが変わるような、そんな期待を持って見ていただけたらうれしく思います。そしてNHKっぽく言うと(笑)、4Kカメラで撮っているので、潜水画像として最高峰の美しさになっています。映像美という観点でも、お楽しみください。

季節によって表情を変える銚子川。その澄んだ美しさに、目を奪われること間違いなしです!

NHKスペシャル
「見えないものが見える川 奇跡の清流 銚子川」

【放送予定】11月11日(日)[総合]後9:00~9:49

【再放送】11月14日(水)[総合]前0:40 ※火曜深夜

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